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Ciao,il mio iride

「コロネロ君に聞いたよ、ラルちゃんに会ったんだってね」
雲雀の研究室へ届け物をした帰り、ひょっこりと姿を見せた京子はそう言ってツナに、いつものようににこりと笑いかけた。
「ラルちゃん、元気そうだった?」
「……う、うん」
問いかけをする京子を、ツナは不思議に思いながら肯定を返す。
「……そっか、ツナちゃんは私の時のこと、知らないんだよね。誰かが話しちゃう前に、聞いてくれる?」
ツナが頷くと、京子は彼女が知らない過去を、静かに話しだした。
「双子って分かったときは、本当に大騒ぎでね。アルコバレーノの子達は前からラルちゃんが生まれる可能性について言ってたみたいだけど、いつそうなるか分からなかったから」
そこまでの説明は、雲雀がしたものと同じだった。けれどツナは、その時に何があったか、知らない。
「ラルちゃんは産まれたときとっても危ない状態で、私もしばらく寝込んじゃって、……それを気にしてるのかな、ラルちゃん私と会ってくれないの」
「……一度も?」
「うん。どうしてるかとかはコロネロ君から聞くんだけどね。……きっかけが見つけられなくなっちゃったみたい」
私もラルちゃんも、きっと勇気が出なくて会えずにいるの。
それか、と言葉を続ける京子は悲しげに眉を下げる。
「それとも、嫌われちゃったかな」
「……そんな事無いと思うよ」
それだけしか言えなかったツナに、けれど京子は微笑んだ。
「有難う、ツナちゃん」




夢の中、すっかり慣れた暗闇の空間で溜息を吐いたツナの耳に、リボーンの声が降った。
「なに難しい顔してやがる」
「京子ちゃんとラルちゃんのこと、考えてた」
「……やけに気にしてんだな」
意外そうなリボーンに、頷いてツナは答える。
「うん、仲良くできたほうが、いいのになって思って」
昼間の京子の、元気のない様子を思い出して、彼女はそう考えていた。初めてあった日にも、京子は憂いの表情を浮かべていた覚えがある。
「京子ちゃん、すっごく心配してるみたいだし」
そこまで言って、ツナは不意に眉を下げ、しょげたように言う。
「オレ、お節介かなあ」
「さあな。だがあの件はコロネロも手を焼いてるぞ」
「そうなの?」
京子をマザーに持つもう一人の子供の状況を知らないツナが聞くと、リボーンはそうだぞ、と肯定しあっさりとその理由も答えた。
「ラルは……あと京子もなかなか強情だからな」
「……そうなんだ」
ラルはリボーンの言うとおり、強情そうだったとツナは思い返す。京子はおっとりとした印象を受けていたが、その反面、頑固な一面も持ち合わせるらしいことは、ツナにとって意外な事実だった。
「だが、コロネロにとっちゃあいつらはどっちも家族だ、どうにかしたいんだろう。ただ、あんまり効果は上がってないがな」
「…………家族、か」
ぽつりと零される言葉。その声にいつもとは違う響きを感じ取り、リボーンは思わずツナの名を呼ぶ。
「……ツナ?」
すると、彼女は首を横に振って答えた。
「ううん、なんでもない」
「……って顔には見えねえぞ。どうした?」
相変わらず、ツナからリボーンは見えないのに、向こうからは筒抜けのようだ。頬にぺちぺちと手のひらを当てながら、ツナは曖昧に答えた。
「ちょっと……考え事?」
「何をだ」
目を閉じ、苦笑してツナはまた答える。
「…………内緒」
「……ダメツナにも言えねえ事があるのか」
貶すようにリボーンは言葉を返したが、彼がそれ以上詳細を聞くことは無かった。




「ごめんな、リボーン」
見慣れた柄の天井を眺めながらツナは膨らむ腹部を撫で、静かな声を紡いだ。
「お前が心配してくれてるのは分かるけど…………オレも、勇気がないみたいだ」
タグを握り締める。こぶしの下の心臓が、普段よりも速い速度で動くのを感じる。
誰にだって秘密はある。只、ツナのそれは途方もなく大きな事態を引き起こしかねないものだった。
だから、それを彼女は誰にも告げない。そう、約束している。
「いつかは、お前に話せるのかな」
誰にも言えなかったことを。あの子供に。
そうしたら、どうなるだろう、あの子は何と思うだろう。取り留めのないことを思いながら、ツナは気だるげに瞳を閉じた。




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女の子は難しいなあ(2回目)。
シリアス展開は好きだけど書くのが難しすぎました。もっと鍛えないと。
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