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ふたつの霧と空色の王様

「はい?……あ、リボーン!久しぶり、何してたんだよお前」
鳴り出した電話を取った綱吉は、はじめ首を傾げていたが直ぐに弾んだ声を上げた。珍しい事だと骸とクロームはそれぞれの暇つぶしから顔を上げて綱吉を見る。
リボーン。
その名を骸は聞いたことがある。黄のアルコバレーノで、かつて綱吉の家庭教師をしていた、現少年。(話によると家庭教師時代は赤ん坊だったらしい)
「ふーん。一回遊びに行くね。うん、骸とクロームも連れて……え、今日?」
二人の見ている前で話はどんどんまとまって――綱吉の様子からすると、まとめさせられている。それほど、件の家庭教師は綱吉に対して強い影響力があるらしかった。
「ああ、じゃあすぐ行く」
言って電話を切ると、綱吉は仕事道具を片付けながら二人を呼んだ。
「骸、クローム」
「どうしたんですかボンゴレ」
「なに、ぼす?」
聞いた二人に返された声は、
「出掛けるよ!!」
とても、とても楽しそうだった。




両脇に骸とクロームを連れ、鼻歌混じりで歩く綱吉を、漆黒の服を纏う男が呼び止めた。片手には剣が握られ、眼光は穏やかだが、奥に暗く光るものがある。
「子供たちと外出か、ドン・ボンゴレ。あと少しで提出できそうな書類があったのだが」
「ごめんテュール、書類は後回しかな。リボーンの呼び出しで、学校まであいつの新しい教え子に会いに行くんだ」
手を合わせて謝る綱吉に気にせずともいい、とフォローを入れて男――テュールは何かを考えるように顎に手を当ててふむ、と声を零した。
「新しい……そうか、決まったのか」
そう言いながら納得するように頷く彼につられて、綱吉もこくこくと頷く。
「うん。キャバッローネのご子息らしいけど」
「――ああ、」
「知ってるの?」
「スクアーロと同級で、話には聞いている。……そうだ、学校へ行くのならついでにあの子達の様子も見てきてくれ」
了解。気軽に答えて綱吉は笑った。テュールもあの子達が大事なんだねえ、と言えば、ボンゴレには負けると苦笑交じりの言葉が返る。
「書類は今日中にフレイに届けさせよう。珍しいことだ、子達と羽を伸ばしてこい」
「ありがとう、じゃ」


「……あの方は?」
去りゆく黒い背中を見ながら骸が聞く。
「ヴァリアーの首領だよ。剣帝テュール……強いから、喧嘩は売らないでね。あの人のことだから買いはしないと思うけど…」
「しませんよ」
「うん、ぼすのいいつけはまもるよ」
骸は即答し、クロームも深く首を上下させる。
「二人ともいいこだねー」
その反応に満足したのか、場所も構わず二人を抱きしめようとした綱吉の足を、骸が思い切り踏みつけた。




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学生ヴァリアー、出さなきゃ。
テュールさんとこの話でのヴァリアーは捏造120%でお届けする所存。フレイもヴァリアーです。
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