3 壊れてく

「ちょっといいかい?」

昼間に突然知らない人間たちがやってきた。
「俺はコウと同じ村に住んでるんだが、最近帰りが遅くてな。ちと不安になったもんで、あいつの跡をつけてたんだ」
心臓がうるさい。手が震える。
これはもう終わりの時だとぼくは悟っていた。

「そしたらここに辿り着いてな。談笑が聞こえたもんだから誰かと一緒にいるんだろうとは思ったが子供だったか」
「あんた、こんな所じゃ不便だろう?村に来なさい」
人間たちは怪訝そうな顔でぼくを見ている。
「ほら おいで。話は村で聞くから」
「そ…外、出られなくて…」
怪しむ顔。
「どうして?」
「病気…」
しかめ面。
「なおさら1人じゃいかんだろう、さぁおいで」
無理矢理腕を掴まれ、外に引き摺り出された。


「──あ、ぁ゛あ…!!」
痛み。怖い目。大人数の人間。備中くわ。
──父。怖い目。大人数の人間。炎と斧。
「やっぱり化け物だ!コウを誑かしたんだろう、殺してやる!!」

「やめろ!!」

最後に目に映ったのは、怖い顔をした人間たちと急いでこちらに向かってくるコウの姿。
コウは日光と人間たちから守るようにぼくに覆い被さった。

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悲鳴と 鈍い音と 血の匂いがしていたが 頭の中がめちゃくちゃでぐちゃぐちゃで、世界が遠のいていった。


2 優しい時間
4 月