ツーショット


任務により火影室に招集されたナルトとネジ。
山積みの書類を前に、少々疲れ気味の顔の綱手が、ほくそ笑んで二人に任務内容を告げた。

「喜べ。今回の任務はナルトにピッタリのものだ」

ナルトの顔がパアッと輝き、期待を込めて綱手に詰め寄った。

「なになに!? もしかしてサスケに近づけるような任務~!?!?」

「残念ながらそれは違う」

ナルトの期待はものの一瞬で見事に砕け散る。

「えー!?」

むくれっ面のナルトはさて置き、
一呼吸置いてから綱手は任務の詳細を告げた。

「任務ランクはD。依頼主は木ノ葉の写真館の主人だ。任務内容は、まあアシスタントみたいなものだな」

「はあー!?」

「ナルト、今回はお前をリーダーとする」

「え…!? 綱手のばあちゃん、それホントか!?」

「ああ」

綱手は、駄々を捏ねられるのも面倒だと、せめてナルトに素直に任務を請け負ってもらおうと今回は珍しくナルトを任務のリーダーに指名したのだった。
否、どちらかというと任務内容的にはネジには少々不向きであったのも事実なのだが………。
木ノ葉崩しの打撃により人手不足だったため、このようなランクの低い任務には、人材の向き不向きなど気にしていられないのも実情であった。

ナルトと綱手の一連のやり取りをただ黙って眺めていたネジに綱手が向き直る。
ネジは任務はしっかり引き受けてくれるのだが、嫌なことははっきり嫌だと言うので少々面倒だと綱手は思うのだった。

「ネジ、今回はナルトがリーダーだ。ナルトを見習って任務に励むように」

「……分かりました」

「うん、しっかりな」

いつもはガイ班での任務や、他のメンバーとの任務でも何かと自身がリーダーになることも多いためか、ネジは少々不服そうではあったが、大人しく了承したため綱手はようやく笑顔になった。

リーダーに指名され、すっかり機嫌良くなった単純なナルトを認めると、綱手は手短に依頼主の写真館の場所と名前を告げた。

「そういう訳だ。ナルト。リーダーなのだから今回はお前にあらゆる判断を任せるぞ」

「しゃあッ! さっさとこんな任務終わらせちまうってばよ!!」



火影室を後にした二人は、さっそく依頼主の写真館へと向かう。

「なぁなぁ~、アシスタントってどういうことすんだろうな~?」

「…さあな」

「でもさ、でもさ!! オレにピッタリな任務って言ってたよな!」

「ああ、そうだな」

「お前に向かなくて、オレにピッタリな任務ってどんなんだろ~。お前ってば一応天才じゃん?」

「……よほど単純な任務なんだろう」

「おい、ネジッ!! そりゃどーゆー意味だってばよ!?」

「……そのままの意味だ」

「へーんっだ! お前ってばオレがリーダーに選ばれたのが悔しいんだろ~!」

ニヤニヤと嘲笑うナルトに、ネジがそっぽ向いてしまったため、会話が打ち切られた。
その後すぐに依頼主の待つ写真館へと到着した。


こじんまりとした写真館の古びたドアをナルトは開けた。ギィ…と木の軋む音がする。
チリンチリンと内側のドア上部にかけられた鈴の音が鳴ると、写真館の主人が奥からパタパタとやって来た。

「任務で来た、うずまきナルトだってばよ!」

「同じく。任務で参りました、日向ネジです」

人の良さそうな初老の男性は二人を交互に見たあと一言『よろしくね』と告げた。
二人は奥の従業員専用の控え室に案内されると、任務の詳細を聞いた。


「アシスタントとして雇っている見習いの子が急遽三日ほど、家庭の事情で店に出られなくなってね…。うちみたいな小さな写真館は私とその子と着付けや化粧などをしてくれる子だけで回しているから…。でもたった三日だし、それで任務を依頼した次第です」

「なるほど、了解したってばよ!」

「……アシスタントとは、具体的には何をするのでしょうか?」

「あ、そうそう! オレもそれ聞こうと思ってたんだ」

「そうだね、専門的な事は私やもう一人の子がやるから、君たちにはレジでの予約受付やお会計、あとよくお子さんが来るから撮影の時に泣かないようにあやしたり、緊張して笑わない子がいるから笑顔にしたりかな」


ネジは理解した。自身がリーダーに指名されなかった理由はそのためであったのかと。
確かに己よりはナルトの方がまだ向いている気がするとネジは納得した。

「……なら、私はレジでの受付やお会計を担当します」

「うーん、どちらかというとね、レジでの業務よりも撮影業務のほうが大変だから積極的にそちらも手伝ってくれるとありがたいなあ」

依頼主からこう言われてはネジには断ることはもはや出来なかった。

「…はい、分かりました……」

「そうだってばよ! お前のその無愛想を直す良い機会だってばよ!」

「…お前、面白がってないか…?」

「んー、や! ……別に~!」

ナルトはニヤニヤ顔を抑えきれずにそう言うと、ネジはそれを見て小さく溜息をつきながら今後三日間を想像して早くもどっと疲れが押し寄せた。

控え室での任務の打ち合わせも早々に、レジでの予約受付の手順や、お会計のやり方などを一通り習い、分からないことは都度確認するという形で進めることになり、二人は開店準備のため店内の掃除に取り掛かった。


to be continued…

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