SSS
初めの1歩
2023/03/28 22:002人旅
「コレはシセルくんの分。コッチはキミの分の弁当だ。ハラが減ったら食べてくれ」
「ありがたいが……どちらも多くないか?」
「旅ってのは、キモチも胃袋も大きくさせるものだぞ。いくら持っていてもソンはないな」
「そんなモンか…。それじゃあ、ありがたくいただいておくよ、ジョード刑事」
「ああ。それと、頼まれていたシセルくんの折りたたみ式キャリーだ」
「助かるよ。《今》のオレはそんなベンリなモノは持っていないからな」
と、ジョードからヨミエルへ黒く四角い、メッシュ状のキャリーケースが手渡される。右手には弁当、左手は真っ赤なスーツケース。その上にシセルの家となるキャリーをヨミエルがくくり付けた。
「なかなかの大荷物だな、ヨミエル」
「そうだな。《大冒険》の始まりってカンジだろう?」
足元でシッポを立て、荷物を点検していたシセルからの“コア”を通した呼びかけに、ヨミエルはニヤリと笑って応える。
(まずは第一歩、というところか)
たくさんの旅行雑誌を読み、行き先を決めたのはヨミエルだ。きっと、未知のモノに出会えるだろう。シセルは胸を高鳴らせると、勢いを付けてヨミエルの肩に飛び乗り、そこからするりとキャリーの中に潜り込んだ。
「ありがたいが……どちらも多くないか?」
「旅ってのは、キモチも胃袋も大きくさせるものだぞ。いくら持っていてもソンはないな」
「そんなモンか…。それじゃあ、ありがたくいただいておくよ、ジョード刑事」
「ああ。それと、頼まれていたシセルくんの折りたたみ式キャリーだ」
「助かるよ。《今》のオレはそんなベンリなモノは持っていないからな」
と、ジョードからヨミエルへ黒く四角い、メッシュ状のキャリーケースが手渡される。右手には弁当、左手は真っ赤なスーツケース。その上にシセルの家となるキャリーをヨミエルがくくり付けた。
「なかなかの大荷物だな、ヨミエル」
「そうだな。《大冒険》の始まりってカンジだろう?」
足元でシッポを立て、荷物を点検していたシセルからの“コア”を通した呼びかけに、ヨミエルはニヤリと笑って応える。
(まずは第一歩、というところか)
たくさんの旅行雑誌を読み、行き先を決めたのはヨミエルだ。きっと、未知のモノに出会えるだろう。シセルは胸を高鳴らせると、勢いを付けてヨミエルの肩に飛び乗り、そこからするりとキャリーの中に潜り込んだ。