3章:最悪な初顔合わせ
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この場にて唯一と言って良い味方であり絶対的な安心感を与えてくれる母の姿が居なくなったのと同時に若葉は言いようのない不安を抱く。
周りに居るのは言葉の通じぬ屈強な軍人という事もあってか、下手なことをしてしまえば、怪しい動きをしてしまえば、彼等が持っている拳銃で自分なんてあっという間に一瞬殺されてしまうのではないだろうか?という不安を抱いていた時、バシンッと勢いよく背中を叩かれる。
何事だと思いながら背中へと視線を向ければ、そこには何とも言えない顔をして立っているレノックス大佐の姿があった。
若葉と目が合うと彼はニカッと笑いかけてきてくれ、まるでその笑みは大丈夫だと言っているかのように若葉には感じられた。
「・・・・ありがとうございます」
ぎこちなく微笑みながらお礼を告げた若葉の声にレノックスはキョトンとした顔をした後、困ったように目尻を下げると若葉の頭をグリグリとなで回す。
その仕草がまるで幼子を相手にしているかのようなものだったが、若葉にはそれを不快だとは思えなかった。
父を知らない若葉にとってレノックスのこうした行動はなんとなく、父が居たらきっとこうして自分を励ましてくれたのだろうなぁと思えたからだ。
「母さんの再婚相手がレノックスさんみたいな人だったら良いなぁ」
未だ顔も名前も知らない母の再婚相手が気さくでいて、優しそうでいて、包容力のある人ならば、きっと自分も心から母の再婚を喜べるはずだと思った時だ。
レノックスの持っていた携帯が鳴り響く。
若葉に対して英語で何やら断りを告げたレノックスは携帯を耳に当てると誰かと会話を始める。その声には少しばかり焦りがあるように感じられた若葉は、大佐という立場の人もきっと色々と大変なんだろうなぁと思いながら、邪魔にならないようにするため砂浜へと再度視線を向けた時だ。
「・・・・ネコ?」
少し離れた砂浜の上をネコのような生き物が歩いている。
のそのそと歩くネコには毛皮らしきものはないし、身体も柔らかそうなものではない。
毛皮の代わりに全身が金属のようなもので覆われていて、動く度にガシャガシャと何かが擦れ合う音が砂浜に響く。
「・・・・ネコじゃないッ!?」
今になってアレはネコではないのだと理解した若葉が悲鳴のような声でそう叫んだ瞬間、いつの間にか電話を終えたらしいレノックスが若葉の両目を覆う。
「ちょっ!?なに!?」
「・・・・!!・・!?・・・!!!!!!」
尋常ではない声でレノックスは凄まじい勢いで何かを話しているがその内容は全くと言って良いほど若葉の耳に入ってくることはない。
若葉に出来る事は両目を塞いでいるレノックスの手をバシバシと叩くことしか出来なかった。
両目を覆っていた手が離れた若葉は何をするのだというかのようにレノックスへと抗議の眼差しを向けるが、レノックスは何もしていませんと言うかのようにニコニコと微笑んでいるだけだ。
けれど目線は忙しなく動いていて、そしてダラダラと冷汗を流していることから彼が何かしら追い詰められていることだけは若葉にも理解が出来た。
「さっきのネコみたいだけど、ネコじゃない何かは・・・」
先程まで居た場所へと視線を向けるがそこには何も居なかった。
「あれ?」
小首を傾げて砂浜を見つめる事しか出来ずにいた若葉を抱きかかえるかのようにして、レノックスはその場から退散することを選ぶ。
見間違いだったのだろうか?そう思いながら若葉はレノックスと砂浜を交互に見つめるが、先程のものに関する答えなどレノックスが教えてくれることはなかった為、きっと自分が先程見たものはこの軍事基地で密かに作り出されているだろう最新鋭の兵器だったのだろうなと一人結論づけた若葉は、ならば先程のレノックスの動揺も致し方のないことだと密かに納得した。
ここはレノックスのためにも見なかったことにした方が良いと判断すると、砂浜に視線を向けることなく前だけを見て足を動かし続けた。
周りに居るのは言葉の通じぬ屈強な軍人という事もあってか、下手なことをしてしまえば、怪しい動きをしてしまえば、彼等が持っている拳銃で自分なんてあっという間に一瞬殺されてしまうのではないだろうか?という不安を抱いていた時、バシンッと勢いよく背中を叩かれる。
何事だと思いながら背中へと視線を向ければ、そこには何とも言えない顔をして立っているレノックス大佐の姿があった。
若葉と目が合うと彼はニカッと笑いかけてきてくれ、まるでその笑みは大丈夫だと言っているかのように若葉には感じられた。
「・・・・ありがとうございます」
ぎこちなく微笑みながらお礼を告げた若葉の声にレノックスはキョトンとした顔をした後、困ったように目尻を下げると若葉の頭をグリグリとなで回す。
その仕草がまるで幼子を相手にしているかのようなものだったが、若葉にはそれを不快だとは思えなかった。
父を知らない若葉にとってレノックスのこうした行動はなんとなく、父が居たらきっとこうして自分を励ましてくれたのだろうなぁと思えたからだ。
「母さんの再婚相手がレノックスさんみたいな人だったら良いなぁ」
未だ顔も名前も知らない母の再婚相手が気さくでいて、優しそうでいて、包容力のある人ならば、きっと自分も心から母の再婚を喜べるはずだと思った時だ。
レノックスの持っていた携帯が鳴り響く。
若葉に対して英語で何やら断りを告げたレノックスは携帯を耳に当てると誰かと会話を始める。その声には少しばかり焦りがあるように感じられた若葉は、大佐という立場の人もきっと色々と大変なんだろうなぁと思いながら、邪魔にならないようにするため砂浜へと再度視線を向けた時だ。
「・・・・ネコ?」
少し離れた砂浜の上をネコのような生き物が歩いている。
のそのそと歩くネコには毛皮らしきものはないし、身体も柔らかそうなものではない。
毛皮の代わりに全身が金属のようなもので覆われていて、動く度にガシャガシャと何かが擦れ合う音が砂浜に響く。
「・・・・ネコじゃないッ!?」
今になってアレはネコではないのだと理解した若葉が悲鳴のような声でそう叫んだ瞬間、いつの間にか電話を終えたらしいレノックスが若葉の両目を覆う。
「ちょっ!?なに!?」
「・・・・!!・・!?・・・!!!!!!」
尋常ではない声でレノックスは凄まじい勢いで何かを話しているがその内容は全くと言って良いほど若葉の耳に入ってくることはない。
若葉に出来る事は両目を塞いでいるレノックスの手をバシバシと叩くことしか出来なかった。
両目を覆っていた手が離れた若葉は何をするのだというかのようにレノックスへと抗議の眼差しを向けるが、レノックスは何もしていませんと言うかのようにニコニコと微笑んでいるだけだ。
けれど目線は忙しなく動いていて、そしてダラダラと冷汗を流していることから彼が何かしら追い詰められていることだけは若葉にも理解が出来た。
「さっきのネコみたいだけど、ネコじゃない何かは・・・」
先程まで居た場所へと視線を向けるがそこには何も居なかった。
「あれ?」
小首を傾げて砂浜を見つめる事しか出来ずにいた若葉を抱きかかえるかのようにして、レノックスはその場から退散することを選ぶ。
見間違いだったのだろうか?そう思いながら若葉はレノックスと砂浜を交互に見つめるが、先程のものに関する答えなどレノックスが教えてくれることはなかった為、きっと自分が先程見たものはこの軍事基地で密かに作り出されているだろう最新鋭の兵器だったのだろうなと一人結論づけた若葉は、ならば先程のレノックスの動揺も致し方のないことだと密かに納得した。
ここはレノックスのためにも見なかったことにした方が良いと判断すると、砂浜に視線を向けることなく前だけを見て足を動かし続けた。