策略
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「あ……」
そう言えば、さっき 午後の授業開始のチャイムが鳴っていたっけ……
踊り場にいた神谷は急いで階段を下りて、俺の隣に立つ。
「すみません。」
さっきまで赤面状態だった彼女の顔が一変。
担任や他の教師から注意されることがないせいだろうか、血の気の引いた顔で担任に謝っている。
「すみません、じゃない!
お前ら、チャイムが聞こえなかったのか?」
ちょっと機嫌が悪いのか、担任は語気を強めて怒鳴っている。
お陰でさっきまでの良い雰囲気は一掃されてしまった。
このままだと、真面目な神谷だから 担任の小言を真に受けてしまう……
「っていうか……先生も授業でしょ?
急がなくていいの?」
「…………」
とりあえず 担任が黙り込んだ内に、この場から立ち去ろう。
俺は愛想笑いを浮かべながら、神谷の右手首を掴み、
「ほら、行くぞ。」
二人で教室へ向かって走り始めた。
◇◇◇◇◇◇◇
「……神谷、神谷?」
いきなり視界に飛び込んでくる夜久くんの顔。
それはちょっと怒っているように見えた。
「……はい?」
私、何かしたっけ?
突然のことに驚きながら、身体を起こす。
授業は終わってしまったのか、周りはいつの間にか休憩時間に突入していたようだ。
「はい?じゃない。
ボーッとしてるけど、大丈夫?」
「えっ?」
「授業も遅れるし、昼休み 何かあった?」
夜久くんの指摘に急に顔が熱くなっていく。
「な、何も……ないよ。」
いつも思うけど、この人は本当に鋭いな。
そんなに私……
わかり易いの?!
はぐらかすように微笑むが、上手く笑えてない気がする。
「本当に?
クロに何か言われたんじゃない?
さっきの授業、一緒に遅れて来たし。」
その瞬間、心臓が大きく高鳴る。
「そんなこと、ないよ。」
まだ特訓もしてもらってないのに、こんなことで反応しちゃダメだ!
折角、わかり易い自分を変えようとしてるのに!!
私は気を紛らわすように、机の上に広げた教科書やノートを片付ける。
「本当に?」
はぐらかす私を見て、挙動不審に感じたのか。
夜久くんの追求は続く。
いつもなら、ここで根負けするところだけど、今日の私は違う。
「本当。
私は委員の仕事で遅れただけだし、黒尾くんと一緒だったのは偶然だよ。」
教室に戻る前、黒尾くんに言われた台詞を口にする。
いつも親身になってくれる夜久くんに嘘をつくのは気が引けるけど、これも特訓の一つ(←黒尾くん談)。
それも夜久くんを頼らずに自分のコンプレックスを克服する為だ。
「あ、そう。」
私の言葉を信じたのか、諦めたのか……
彼はそう言うと、面白くなかったのだろう。
おもむろに席を立った。
ごめんね、夜久くん。
◇◇◇◇◇◇◇
「……っし、準備完了。」
放課後、約束した資料室で落ち合った黒尾くんが室内のカーテンを締め切る。
ベージュの布の隙間から漏れる西日が大気中に舞う埃を照らす。
ここは人があまり出入りしないのだろう。
室内は少しカビ臭くて苦手だと思った瞬間、
「嫌なら、屋上でするか?」
突然、黒尾くんが場所を変えるかと提案してきた。
「お、屋上?!」
「埃っぽくて嫌だなーって顔してたから。
解放感があるところの方がいいかなって思って。」
黒尾くんは何が面白いのか、
ニヤニヤ笑いながら、壁に立て掛けてあるパイプ椅子を部屋の中央で組み立て始める。
屋上なんて、とんでもない!
カップルの憩いのスポットと化している場所で、特訓を見られてる方が抵抗がある。
そう言えば、さっき 午後の授業開始のチャイムが鳴っていたっけ……
踊り場にいた神谷は急いで階段を下りて、俺の隣に立つ。
「すみません。」
さっきまで赤面状態だった彼女の顔が一変。
担任や他の教師から注意されることがないせいだろうか、血の気の引いた顔で担任に謝っている。
「すみません、じゃない!
お前ら、チャイムが聞こえなかったのか?」
ちょっと機嫌が悪いのか、担任は語気を強めて怒鳴っている。
お陰でさっきまでの良い雰囲気は一掃されてしまった。
このままだと、真面目な神谷だから 担任の小言を真に受けてしまう……
「っていうか……先生も授業でしょ?
急がなくていいの?」
「…………」
とりあえず 担任が黙り込んだ内に、この場から立ち去ろう。
俺は愛想笑いを浮かべながら、神谷の右手首を掴み、
「ほら、行くぞ。」
二人で教室へ向かって走り始めた。
◇◇◇◇◇◇◇
「……神谷、神谷?」
いきなり視界に飛び込んでくる夜久くんの顔。
それはちょっと怒っているように見えた。
「……はい?」
私、何かしたっけ?
突然のことに驚きながら、身体を起こす。
授業は終わってしまったのか、周りはいつの間にか休憩時間に突入していたようだ。
「はい?じゃない。
ボーッとしてるけど、大丈夫?」
「えっ?」
「授業も遅れるし、昼休み 何かあった?」
夜久くんの指摘に急に顔が熱くなっていく。
「な、何も……ないよ。」
いつも思うけど、この人は本当に鋭いな。
そんなに私……
わかり易いの?!
はぐらかすように微笑むが、上手く笑えてない気がする。
「本当に?
クロに何か言われたんじゃない?
さっきの授業、一緒に遅れて来たし。」
その瞬間、心臓が大きく高鳴る。
「そんなこと、ないよ。」
まだ特訓もしてもらってないのに、こんなことで反応しちゃダメだ!
折角、わかり易い自分を変えようとしてるのに!!
私は気を紛らわすように、机の上に広げた教科書やノートを片付ける。
「本当に?」
はぐらかす私を見て、挙動不審に感じたのか。
夜久くんの追求は続く。
いつもなら、ここで根負けするところだけど、今日の私は違う。
「本当。
私は委員の仕事で遅れただけだし、黒尾くんと一緒だったのは偶然だよ。」
教室に戻る前、黒尾くんに言われた台詞を口にする。
いつも親身になってくれる夜久くんに嘘をつくのは気が引けるけど、これも特訓の一つ(←黒尾くん談)。
それも夜久くんを頼らずに自分のコンプレックスを克服する為だ。
「あ、そう。」
私の言葉を信じたのか、諦めたのか……
彼はそう言うと、面白くなかったのだろう。
おもむろに席を立った。
ごめんね、夜久くん。
◇◇◇◇◇◇◇
「……っし、準備完了。」
放課後、約束した資料室で落ち合った黒尾くんが室内のカーテンを締め切る。
ベージュの布の隙間から漏れる西日が大気中に舞う埃を照らす。
ここは人があまり出入りしないのだろう。
室内は少しカビ臭くて苦手だと思った瞬間、
「嫌なら、屋上でするか?」
突然、黒尾くんが場所を変えるかと提案してきた。
「お、屋上?!」
「埃っぽくて嫌だなーって顔してたから。
解放感があるところの方がいいかなって思って。」
黒尾くんは何が面白いのか、
ニヤニヤ笑いながら、壁に立て掛けてあるパイプ椅子を部屋の中央で組み立て始める。
屋上なんて、とんでもない!
カップルの憩いのスポットと化している場所で、特訓を見られてる方が抵抗がある。