策略
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それにしても、また見透かされた。
私、そんな顔してた?
特訓前に心が折れそう……
「こ、ここでお願いします!」
私は慌てて室内の内鍵をする。
「鍵、掛けんの?」
「えっ、だって誰かに見られてたら、恥ずかしいし……」
「ふーん。
恥ずかしい……か……それなら……もっと……」
黒尾くんの独り言は小さくなり、最後の方は何て呟いたのか、全くわからなかった。
彼は誰かに見られて、平気なのだろうか?
彼女でもない私と見つめ合って、恥ずかしくないのだろうか?
そんなことをぼんやりと考えていたら、
「ほら、こっち来いよ。」
パイプ椅子に腰かけた黒尾くんが手招きする。
ついにこのときがキタ!
特訓が開始されるのだ。
「……はい。」
私は彼の向かいに置かれたパイプ椅子に手をかけ、座ろうとした瞬間……
「あ、ごめん。
そこじゃなくて、こっち。」
彼は自分の太腿を指差す。
「えっ?」
「その椅子だと、少し距離があるから……俺の膝に乗って。」
膝に乗るって、私が?
あの距離で?
昼休みのあの状態と同じ……
いや、身体の密着具合からして、今回の方がはるかに恥ずかしい。
「もう……黒尾くん、冗談キツいよ。」
緊張を解そうとしてくれてるのだろう。
笑いながら、パイプ椅子の方に座ると、
「いやいや、俺 マジなんだけど。」
その言葉通り、真剣な顔した彼が椅子から立ち上がると、私の左手を掴んだ。
「えっ、マジ……なんですか?」
彼の発言に固まっていると、
「マジ、マジ。」
ゆっくりと手を引かれ、椅子から立たされる。
「えっ、でもっ、私……重いし。
足の上に座って、折れたりしたら大変でしょ!
だから、ダ……」
「大丈夫。
神谷なんて軽い、軽い。」
私の抗議も虚しく……
椅子に座った黒尾くんが私の身体を強引に自分の膝へと抱え上げる。
「あ、全然平気だって。
っていうか、ちゃんと飯食ってるのか?」
目の前の黒尾くんはニヤりと笑い、私を見つめる。
「た、食べてます!
だから、下ろしてください!」
私、からかわれてるんだ!
彼に横抱き……っていうか、これは世に言うお姫様抱っこをされ、顔に熱が集中するのを感じる。
「顔、真っ赤。
神谷って、林檎みたい。」
「り、リンゴなんかじゃないです!
美味しくないですからっ!」
パニックって、自分で何を言ってるのかわからない状態。
下に下ろしてもらいたくて、ジタバタと足掻くも身体に回された彼の手に力が込められる。
「ダメ。
ほら、大人しくしろ。
危ないだろ?」
黒尾くんにギュッと抱き締められ、耳元で囁かれる。
その途端、強張った身体の力が抜けていく。
「ほら……特訓、するんだろ?
早く終わらせたかったら、俺を見て。」
た、確かに。
この状態を早く終わらせたいなら、黒尾くんと十秒間 視線を合わせればいいのだ。
私は彼の言葉に従い、彼を見つめながら心でカウントする。
たかが十秒。
あっという間に過ぎるって思っていたのに。
黒尾くんの鋭い目に見つめられると、
それは永遠に思えるほど長く感じられ……
「神谷?
おい、十秒過ぎたけど……まだする?」
気が付けば、十秒過ぎていた。
「い、いえ!
結構です!!!」
彼に解放されると、急いで入り口へと向かう。
「遠慮すんなって。」
「遠慮、してません!!」
私は鍵を開けると、黒尾くんから逃げるように資料室から飛び出した。
すると、背後から……
「じゃ、また明日~」
能天気な黒尾くんの声が聞こえてきた。
あ……
頭がクラクラする。
私、これからどうなるんだろ……
私、そんな顔してた?
特訓前に心が折れそう……
「こ、ここでお願いします!」
私は慌てて室内の内鍵をする。
「鍵、掛けんの?」
「えっ、だって誰かに見られてたら、恥ずかしいし……」
「ふーん。
恥ずかしい……か……それなら……もっと……」
黒尾くんの独り言は小さくなり、最後の方は何て呟いたのか、全くわからなかった。
彼は誰かに見られて、平気なのだろうか?
彼女でもない私と見つめ合って、恥ずかしくないのだろうか?
そんなことをぼんやりと考えていたら、
「ほら、こっち来いよ。」
パイプ椅子に腰かけた黒尾くんが手招きする。
ついにこのときがキタ!
特訓が開始されるのだ。
「……はい。」
私は彼の向かいに置かれたパイプ椅子に手をかけ、座ろうとした瞬間……
「あ、ごめん。
そこじゃなくて、こっち。」
彼は自分の太腿を指差す。
「えっ?」
「その椅子だと、少し距離があるから……俺の膝に乗って。」
膝に乗るって、私が?
あの距離で?
昼休みのあの状態と同じ……
いや、身体の密着具合からして、今回の方がはるかに恥ずかしい。
「もう……黒尾くん、冗談キツいよ。」
緊張を解そうとしてくれてるのだろう。
笑いながら、パイプ椅子の方に座ると、
「いやいや、俺 マジなんだけど。」
その言葉通り、真剣な顔した彼が椅子から立ち上がると、私の左手を掴んだ。
「えっ、マジ……なんですか?」
彼の発言に固まっていると、
「マジ、マジ。」
ゆっくりと手を引かれ、椅子から立たされる。
「えっ、でもっ、私……重いし。
足の上に座って、折れたりしたら大変でしょ!
だから、ダ……」
「大丈夫。
神谷なんて軽い、軽い。」
私の抗議も虚しく……
椅子に座った黒尾くんが私の身体を強引に自分の膝へと抱え上げる。
「あ、全然平気だって。
っていうか、ちゃんと飯食ってるのか?」
目の前の黒尾くんはニヤりと笑い、私を見つめる。
「た、食べてます!
だから、下ろしてください!」
私、からかわれてるんだ!
彼に横抱き……っていうか、これは世に言うお姫様抱っこをされ、顔に熱が集中するのを感じる。
「顔、真っ赤。
神谷って、林檎みたい。」
「り、リンゴなんかじゃないです!
美味しくないですからっ!」
パニックって、自分で何を言ってるのかわからない状態。
下に下ろしてもらいたくて、ジタバタと足掻くも身体に回された彼の手に力が込められる。
「ダメ。
ほら、大人しくしろ。
危ないだろ?」
黒尾くんにギュッと抱き締められ、耳元で囁かれる。
その途端、強張った身体の力が抜けていく。
「ほら……特訓、するんだろ?
早く終わらせたかったら、俺を見て。」
た、確かに。
この状態を早く終わらせたいなら、黒尾くんと十秒間 視線を合わせればいいのだ。
私は彼の言葉に従い、彼を見つめながら心でカウントする。
たかが十秒。
あっという間に過ぎるって思っていたのに。
黒尾くんの鋭い目に見つめられると、
それは永遠に思えるほど長く感じられ……
「神谷?
おい、十秒過ぎたけど……まだする?」
気が付けば、十秒過ぎていた。
「い、いえ!
結構です!!!」
彼に解放されると、急いで入り口へと向かう。
「遠慮すんなって。」
「遠慮、してません!!」
私は鍵を開けると、黒尾くんから逃げるように資料室から飛び出した。
すると、背後から……
「じゃ、また明日~」
能天気な黒尾くんの声が聞こえてきた。
あ……
頭がクラクラする。
私、これからどうなるんだろ……