いざ新天地へ
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辺りが少し騒がしくなってきた。
電車の乗継案内のアナウンスも微かに聞こえる。
「ん……」
ゆっくりと瞼を開くと、車窓から眩い光が射し込んでいた。
薄暗いうちに東京駅を発った新幹線は仙台へ向け、順調に走行中。
車内は私が眠っている間に、座席は朝の通勤客や旅行客でほぼ埋まっていた。
「降りたら、ちょっと何か食べない?
お腹も空いてきたし。」
「でも、この時間に開いてる店って限られてるけど、大丈夫か?」
「大丈夫よ。
ファストフードなら、どこか開いてそうじゃない?」
前の座席に座るカップルの会話を聞きながら、体勢を起こして腕時計を見る。
あと数分後には駅に到着する時刻だ。
ここまでのスケジュールは予定通り。
だが、問題はここからだ。
祖父母に挨拶して荷物を置き、すぐに役所に行って手続きをする。
その後、仕立てた制服や新しい教科書を受け取りに行く。
あと、美容室にも寄って、この金髪をどうにかしてもらわないと……
あれこれ考えているうちに新幹線は次第に減速し、駅のプラットホームが見えてきた。
降車する乗客達も座席からゆっくりと立ち上がり、出入口のあるデッキに向かって移動を始める。
その光景を眺めながら、私も足下に置いていた鞄を掴んで通路へ向かう。
柄にもなく、緊張しているのか……足が微かに震えている。
1ヶ月前に入試の為に訪れたときも、こんな風に震えていたのを覚えていた。
宮城にはもう何度も訪れているはずなのに、何故か いつまで経っても緊張してしまう。
ここが今日から、私の居場所になるっていうのに……
早く慣れないと。
到着のアナウンスが私の重い溜め息を掻き消すように流れ、新幹線はゆっくりと停車した。
その後、一拍置いて 扉が開き、乗客達が一斉にホームへと降りて行く。
私も後を追うように新幹線から降りると、
「つばさ!」
私の名前を叫ぶ声が聞こえてきた。
ごった返す人混みの中、ぐるりと見回すと、少し離れた場所から大きく手を振る叔母・南雲 砂羽の姿が飛び込んできた。
「あれっ?
砂羽さん、仕事じゃ……」
叔母はラジオ局でラジオパーソナリティーをやっていて、今朝は仕事の打ち合わせがあるので 迎えに行けないと聞いていた。
もしかして、打ち合わせはなくなったのだろうか?
ズカズカと近付いてくる叔母をぼんやりと眺めているとすごい剣幕で睨まれる。
いつも綺麗にメイクしている叔母の顔から大量の汗が流れ、美しい曲線を描いているはずのアイラインが黒く滲んでいた。
「9時から本番よ、打ち合わせ 抜けて来たの!!!」
ここまで走ってきたのか、ぜぃぜぃと荒い呼吸を繰り返す。
「ど、どうしたの?
そんなに急いで……」
いつもの穏やかな叔母はどこへいってしまったのか。
恐る恐る様子を窺っていると、突然 肩を掴まれ、
「今日、何の日か……わかってる?」
鬼のような形相は激怒した母の面影と重なる。
こんな叔母を見るのは初めてだ。
電車の乗継案内のアナウンスも微かに聞こえる。
「ん……」
ゆっくりと瞼を開くと、車窓から眩い光が射し込んでいた。
薄暗いうちに東京駅を発った新幹線は仙台へ向け、順調に走行中。
車内は私が眠っている間に、座席は朝の通勤客や旅行客でほぼ埋まっていた。
「降りたら、ちょっと何か食べない?
お腹も空いてきたし。」
「でも、この時間に開いてる店って限られてるけど、大丈夫か?」
「大丈夫よ。
ファストフードなら、どこか開いてそうじゃない?」
前の座席に座るカップルの会話を聞きながら、体勢を起こして腕時計を見る。
あと数分後には駅に到着する時刻だ。
ここまでのスケジュールは予定通り。
だが、問題はここからだ。
祖父母に挨拶して荷物を置き、すぐに役所に行って手続きをする。
その後、仕立てた制服や新しい教科書を受け取りに行く。
あと、美容室にも寄って、この金髪をどうにかしてもらわないと……
あれこれ考えているうちに新幹線は次第に減速し、駅のプラットホームが見えてきた。
降車する乗客達も座席からゆっくりと立ち上がり、出入口のあるデッキに向かって移動を始める。
その光景を眺めながら、私も足下に置いていた鞄を掴んで通路へ向かう。
柄にもなく、緊張しているのか……足が微かに震えている。
1ヶ月前に入試の為に訪れたときも、こんな風に震えていたのを覚えていた。
宮城にはもう何度も訪れているはずなのに、何故か いつまで経っても緊張してしまう。
ここが今日から、私の居場所になるっていうのに……
早く慣れないと。
到着のアナウンスが私の重い溜め息を掻き消すように流れ、新幹線はゆっくりと停車した。
その後、一拍置いて 扉が開き、乗客達が一斉にホームへと降りて行く。
私も後を追うように新幹線から降りると、
「つばさ!」
私の名前を叫ぶ声が聞こえてきた。
ごった返す人混みの中、ぐるりと見回すと、少し離れた場所から大きく手を振る叔母・南雲 砂羽の姿が飛び込んできた。
「あれっ?
砂羽さん、仕事じゃ……」
叔母はラジオ局でラジオパーソナリティーをやっていて、今朝は仕事の打ち合わせがあるので 迎えに行けないと聞いていた。
もしかして、打ち合わせはなくなったのだろうか?
ズカズカと近付いてくる叔母をぼんやりと眺めているとすごい剣幕で睨まれる。
いつも綺麗にメイクしている叔母の顔から大量の汗が流れ、美しい曲線を描いているはずのアイラインが黒く滲んでいた。
「9時から本番よ、打ち合わせ 抜けて来たの!!!」
ここまで走ってきたのか、ぜぃぜぃと荒い呼吸を繰り返す。
「ど、どうしたの?
そんなに急いで……」
いつもの穏やかな叔母はどこへいってしまったのか。
恐る恐る様子を窺っていると、突然 肩を掴まれ、
「今日、何の日か……わかってる?」
鬼のような形相は激怒した母の面影と重なる。
こんな叔母を見るのは初めてだ。