文体スケッチ
記事一覧
上高地
20190831(土)16:41コメントする ( 0 )
エメラルドの原石の上を水が流れている。浅瀬の川。
川辺の間に丸い小石が群れを成して出来た孤島。
青々と茂る目に鮮やかな緑の森。その向こうに聳え立つ山々の頂きは、砂糖をまぶしたような雪が残っている。
穏やかなせせらぎ。
複数の鳥の鳴き声の中には、不如帰。
旅に疲れた自然の分身が、できあがった孤島で体を休めている。
追記
麦茶
20190829(木)16:41コメントする ( 1 )
揺らぐ視界。焼け付くアスファルト。炎天下。かさつく喉。それを潤す液体への渇望。オアシスかに思えた道端の四角い機械箱には、売切の赤い文字が浮かんでいた。やっとの思いで辿り着いた扉は開けると外とは違う熱気で噎せ返りそう。幽鬼のような足取りで、真っ直ぐに冷気を求めて走る。はじけるような泡も、甘味もなくていい。開いた扉の向こうには、やかんから移されたばかりの茶色い液体が光を持って輝いていた。