毎日会えるBLノベルができるまで。「なまほれ」編
#5 10話までを振り返って
こんにちは、“なまほれ”こと『生意気な年下にうっかり惚れられまして。』の柚木ちとせです。
前回のメイキングでは、「#4 連載小説としての“一話”の組み立て方」についてお話しました。
今回は「10話までを振り返って」についてお話したいと思います。
本日更新の最新話が13話で、すでに1,000文字前後で10話、10,000文字を軽く超えるほど更新してきました。
改めて、それぞれの話数で何を伝えたかったか、今までの流れなどを追いつつ解説したいと思います。
(「#1」などのタイトルをクリックすると、該当の話に飛びますので見比べてみると良いかもしれません)
#1~#10を個々で振り返る
#1
ここは#3 引きとなる一話目を作るで解説しているとおりで、とにかく二人の関係性やキャラ性をわかりやすく、引きになるように作りました。
#2
「起承転結」の「起」にあたります。
ここでは、「主人公の椋太が働いている環境」をイメージできるように舞台を説明しつつ、かつ椋太のチャラ男っぽいキャラクターを表現しました。
チャラ男で本来ノンケの椋太が、生意気な年下である澤村に振り回されていく「土台」を作るイメージでした。
ここでは次の引きになるべく、澤村が気になり存在として登場しています。
あまり創作に関係ない与太話ですが、彼らの働いているオフィスビルは実際に都内某所に存在しており、どちらかというとこの場所にこのキャラがいる!というところに萌えを感じる私的には、実在する場所でキャラを動かすのを好んで行うのでした。
こちらのビルにプライベートはもちろん、仕事でお邪魔したことが何度かあるので、動かすのはスムーズでした。
#3
結構苦戦したあたりです。何故かと言うと、「なぜ二人が絡むようになったか」の説明と、「椋太が澤村を意識する切欠」を作らないといけない重要な箇所だったからです。
誰もが経験したことのある「学校」を舞台とした学園モノと違い、「オフィスラブ」、「リーマン系」は背景がそれぞれ異なるため、ある程度の説明が必要となります。
「説明しすぎてもだめ」(ラブストーリーにはそこまで関係ないから)、「わからなすぎてもだめ」(二人の関係性がわかりづらくなるから)という二律背反をいかにバランスを取っていくかに苦労しました。
また、その説明があるからこそ、「ラブ」にあたる「二人のファーストインプレッション」を印象的に表現できるようにこちらもかなり苦労しながら書いた覚えがあります。
#4
ここは#3の続きで、長いため分割したというのが正しいところです(笑)が、分割するにあたって「無愛想な澤村のキャラクター性」を強調しています。
#5
「起承転結」の「承」に入っていきます(起承の区切りは曖昧ですが)。
ここでは「椋太から澤村への印象の変化」を意識して書いています。
ここも何気苦戦しました。どこに苦戦したかというと、澤村がしゃべってくれない……(苦笑)。もともとしゃべらない無愛想キャラなので、仕方なく周りに解説キャラを置いて彼のキャラ性を語ってもらっています。
#5を作成した時点でチェックしてもらった際に「プロジェクトメンバーの他の子たちとの親密度があがってゆく……!(笑)」と言われたくらいでした。
#6
ここでも前回に引き続き、「椋太から澤村への印象の変化」を意識して書いています。
特に、実は澤村は前から椋太のこと知っていたよエピソードがココで語られます。
澤村的にはなにかしら椋太に対して思うところがあるようです、という伏線のようなものです。
また、二人がいろいろと喧嘩する、澤村がちょっと生意気というところも強調しています。
喧嘩するほどお互い気になるというところで私的には「BLのラブポイント」です。
#7
こちらは前回に引き続き、「BLのラブポイント」を意識しています。
このままだとたんなるオフィスモノでオフィスラブにならない!という焦りもあったりなかったりしながら、澤村の謎の行動に振り回される椋太を書きました。
あとは#2で約束していた彼女の伏線をココで回収します。ここも、必要ないんじゃないか、説明が長いんじゃないかと悩みましたが、主人公がノンケでチャラ男という部分と、あまり今までは遊びではないけど、そこまで真剣な付き合いはできていない雰囲気みたいなのを出したくて書いていました。
本気の恋ではないというところですね。では本気の恋はどこに……?
#8
ここからようやく、出だしの#1のあたりに戻ってくる形です。
#1で振り返りのような書き方で、二人の関係性をわかりやすく書き、#2~#7までで出会いを描きました。
#8ではある程度関係性が築かれ始めていて、その説明である「二人のいつものやり取り」を意識して書きました。
その中でも、探り探りお互いの関係を進めている形です。
私が忘れがちなラブ要素も意識しつつ進めています。
#9
こちらも引き続き、「お互いの関係性」を説明しつつ、徐々に理解し合っていく形です。
特に、普段何を考えているかわからない澤村のことを、椋太がある程度分析・認識しています。
いろいろ誤解している部分もあったけど、椋太からの信頼感が上がります。
なかなか関係を進めづらい二人ですが、少しづつ椋太の中に澤村が入り込んで言っているイメージになっていけば良いなと思って書きました。
#10
「起承転結」の「転その1」的なエピソードの始まりです。
連載小説かつ、わかりやすさがテーマの本作は、あまり展開がなさすぎても良くないので何度か「転」をやろうとおもい、まずはじめの「転」を早くもぶつけました。
ゆったりとした二人の空気感を楽しむ「ボーイズ・イン・ブルー」と異なる部分です。
ああいった作品はとても憧れるのですが、私には難しいので、かわりに自分の持ち前であると思われる、「よ、まってました!」的王道BL展開を山あり谷ありで見せていきたいというところからここでの「転」に至っています。
「二人っきりのオフィス」という定番シチュエーションもポイントです。
読んでいる人が、あーこれこれ!とイメージしてもらえるように意識しています。
話は#11の急展開に続く形の助走ではありますが、くるぞ……くるぞ……!感を感じていただければいいなと思っています。
10話を振り返って総括
10話書く中で、下記を押さえながら執筆しました。
- 起承転結の流れを意識する
- キャラクター性を出す
- 関係性の推移を自然に表す
- BLらしいラブの欠片を散りばめる
プロットを執筆した時点である程度の流れは作っていますが、それに沿ってうまく進められているか、何度も確認しながら書いています。
プロット途中まで。ネタバレ部分はモザイク……
今回準備期間が短かったこともあり、本当に大まかな流れしか作っていないので、執筆している中で想定していた設定が変わったり等のゆれはどうしても出てきてしまいますが、作品として良ければ、そして矛盾がなければ変えていくこともあります。
戦略はあくまでブラさず、戦術だけ少し変えていく形ですね。
振り返りということでとても長くなってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。
本来なら最後まで書いてから振り返ったりするところを、連載ということと、準備期間が短いところから少し端折った形での進行とはなりますが、創作の参考になれば幸いです。
次回は「表紙イラストの発注から制作まで」について話したいと思います。