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君との見る月
君の名前は?
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ある日のこと。
「本日は、以前より協定を結んでおります別本丸の審神者様が参りますからね。」
部隊を見送り、のんびりしようと思っていると、三日月が話しかけてきた。
先代の審神者より、協定を結んだ別の本丸があるのは聞いていた。
三日月や日本号、色んな刀剣がその本丸から来たのも、聞いていたから。
どんな本丸なのかはとても気になっていた。
「来るって、何をしに?」
会ったことがあるわけでもないし、最後に来たのも相当前になると思う。
「さぁ、理由は聞いてないが、主が代替わりしたから、挨拶ではないのか?」
三日月も詳しくは聞いてないらしく。
「でも、昔いた本丸の主様なら、そちらから来た刀剣達は会いたいよね?
声、かけといた方が良いかな?」
日本号も同じ本丸だし。
でも、それを聞いて、三日月は良い顔をしなかった。
「いやぁ、声はかけなくてよろしかろう?
皆、昔の事だしな。」
何があったのかは分からないけど、三日月自身あんまり会いたくないみたいだった。
「そっかぁ………。わかった。」
三日月もそうしたいのなら、それで良いと思った。
その審神者との出会いが、全てを狂わすなんて思わなかった………。
午後になり、審神者が到着したとの知らせを受けて、広間に向かう。
広間には、審神者様が頭を垂れて待っていた。
上座に座り、着物を直すと、審神者様は顔を上げた。
「お初にお目にかかります。
以前より協定させていただいております、紅葉と申します。」
紅葉と言う審神者様は、とても美しく、私よりはるかに艶やかだった。
「あ、はじめまして。本丸を引き継ぎました、雛菊と申します。」
ペコリと頭を下げると、紅葉様は上から下まで繁々と見てふぅん、と何かを納得した顔をする。
「継ぐのは、御姉様の方だと思ってましたが、雛菊様でしたのね。
まだまだ就任したばかりでは、大変でしょ?」
明らかに私は認められていない。
自分になんかできるの?とでも言いたい顔。
「まだまだ勉強することは沢山あります。
でも、頑張って行きたいと思います。」
自分より、はるかに上の実力者に、苦笑いしか返せない。
紅葉様は、ニヤリと笑うと、キセルを出して、近侍が火をつける。
「今日は、ご挨拶と、雛菊様にお願いがあって来ましたの。」
ふぅ、と煙を吐き出すと。
私の横に座る三日月に視線を向けた。
「私の本丸より、以前差し上げました、三日月や日本号、宗三左文字を返して頂きたく参りました。」
その言葉に、三日月も私も固まる。
なぜ急に返せなんて……。
「私の本丸がね、最近激務が続いたせいで、何体か刀剣を失いまして。
そこに来て、幸いこちらは充分な刀剣がそろってるようですので、そろそろ返して頂いても良いんじゃ無いかと思いましてね?」
嬉しそうに、三日月を見て煙を吐き出す。
三日月は、まるで軽蔑でもするように、紅葉様を見ている。
どうかしら?
そんなことを急に振られても、とても困る。
「すみません、私の本丸でも、皆活躍してくれている方々です。
それに、私の一存で決められるものではないので、一度、3人と話をさせてください。」
正直、三日月と日本号を返せと言われるのはとても辛い。
困った表情を見て、紅葉様は呆れた顔をする。
「審神者なのに、自分の一存で決めれないなんて無いわよ?
ここにいる刀剣は皆自分の物なんだから。」
そう言われて、少しだけ、この人とは合わないと思ってしまう。
「例え私が決められる権限があっても、こうゆうことは本人達に決めてほしいんです。」
このままでは押しきられそうだったけど。
しっかりと目を見て拒否をした。
「そう………じゃあ、一週間あげる。日本号達に話して決めさせなさい。」
つまらない、とでも言うように。
そっと立ち上がる。
「迎えが来るまで、少し外を見せてもらうわ。では、一週間後に。」
よろしくね、
そう言って部屋から出ていった。
一気に気が抜けて、正座していた足を崩すと。
「お疲れ様でした。審神者様には、誰か見張りをつけましょう。」
お茶を出してくれて、三日月は他の刀剣に指示を出していた。
(でも、どうしよう……。)
3人を返せと言われても、やはり私にはあちらに帰ってほしくはなくて。
ため息をつきながらふと見ると。
先程まで紅葉様が座っていた所にキセルが置いてある。
「あ………。」
たぶん、そんなに離れてないだろう。
「ちょっと、私も外行ってくるね?」
三日月にそう告げると外に出て歩き出した。
そんなに時間はかかってないから離れては居ないと思ったのに、あたりに紅葉様が見当たらない。
キョロキョロと探しながら丁度馬小屋に出た。
今日は確か日本号が馬当番してたはず。
「日本号、居る~?」
小屋の中に居ると思って覗き込んだとき。
目にした物に圧倒されて、固まった。
藁の上に座り込む日本号の後ろ姿と
日本号に馬乗りになり、顔を抱えて口付けをする紅葉様………
ばっと、小屋の入り口に姿を隠したけど。
一瞬、紅葉様と目が合ってしまった。
紅葉様は………ニヤリと笑っていた。
「ねぇ、日本号。
昔みたいにもっと私を求めて?」
小屋の中から聞こえてくる声に耳を塞ぎたくなる。
「日本号、ステキ。体もしっかりして、私好みになったわ……。」
何が起きてるのかは分からなかったけど。
そこに居ちゃいけない気がして、走り出す。
闇雲に走り、生垣を曲がった時。
-ドンッ-
人にぶつかり、転びそうになる。
地面にぶつかるより先に、ふわりと体が包まれる。
「主よ、どうした?そんなに慌てて。」
恐る恐る目を開けると、そこには三日月が私を抱き締めて居てくれた。
「あ、………三日月………。」
少しだけ切れた息を整えて。
三日月にキセルを差し出す。
「これ、紅葉様が忘れてったんだけど。
今、日本号と話してるみたいだから、頃合い見て渡してあげて………。」
そう言ってキセルを渡すと。
返事も聞かずに走り出す。
見ちゃいけないものを見た。
日本号は、きっと紅葉様が好きだったんだろう。
恋仲だったのかもしれない。
そんなことを考えることが怖い………。
主に頼まれてキセルを届けに馬小屋に来た。
少しだけ覗けば、日本号に馬乗りになり体を押さえ込む昔の審神者。
嬉しそうに、艶やかな笑みで日本号に口付けを続ける。
「もっと、昔みたいに、私のこと求めて。」
審神者は嬉しそうに動くのに。
背を向けた日本号はピクリとも動かない。
しばらく様子を伺っていると。
「いいかげん離れろよ。」
痺れを切らした日本号が、やんわりと審神者を押し退けて立ち上がる。
「何にも知らなかったあの頃と一緒にしないでくれ。
俺はアンタに付いてた頃の俺じゃねぇ。
今はちゃんとした審神者に使えてる。」
少しだけムッとした表情をしたけど。
審神者も立ち上がり日本号の腰に抱きつく。
「今の方がもちろんステキよ。迎えに来て上げたんだから。」
帰りましょ。って言葉に、日本号がキレそうになる。
「失礼します。紅葉様、迎えの者が到着しましたので玄関まで送りましょう。」
二人のやり取りにうんざりして、入っていくと、日本号から審神者が離れた。
キセルを渡して、審神者の顔を見る。
「私も日本号も、今は大切な主がおります。
あまり返事は期待しないでくだされ。」
その言葉に、審神者の表情がイラつく。
「いくら主が居たって、貴方達が生まれたのは私の本丸よ。
帰ってきて私を守りなさい。
それができないなら。
この本丸も、あの主も、どうなるか、知らないわよ。」
ニヤニヤと。
胸焼けのする笑いをして、馬小屋を出ていった。
「……くそがっ!なんで今さらアイツがここに来るんだよ?」
知らなかった日本号は相当機嫌が悪いのか、さっきまで触れられていた唇をグシグシ拭くと、酒を煽る。
「すまぬ。伝達が遅くなった。それと、お前達の情事、主が見たかもしれん。」
謝りながらも、さっき見た主の表情を思い出し、伝えると。
日本号の表情が焦りに変わる。
「なんでこんなとこっ………。」
「主は今回、あっちの本丸に戻るかをワシらに決めさせると言っていた。
主に、勘違いをさせたと思うなら、早めに誤解を解けよ?」
そう言って馬小屋を後にする。
紅葉様の居る本丸は、強き者は雑巾のようになるまで使われる。
弱き者は昔からこちらの本丸に捨てられる。
そうやって繋がってきた。
日本号とワシも同じく捨てられた。
だから、あの本丸に未練などないし、戻りたいとも思わない。
しかし、最終的に決めるのは主だから。
どうか、事が悪くならぬよう、今は動かねば………
「本日は、以前より協定を結んでおります別本丸の審神者様が参りますからね。」
部隊を見送り、のんびりしようと思っていると、三日月が話しかけてきた。
先代の審神者より、協定を結んだ別の本丸があるのは聞いていた。
三日月や日本号、色んな刀剣がその本丸から来たのも、聞いていたから。
どんな本丸なのかはとても気になっていた。
「来るって、何をしに?」
会ったことがあるわけでもないし、最後に来たのも相当前になると思う。
「さぁ、理由は聞いてないが、主が代替わりしたから、挨拶ではないのか?」
三日月も詳しくは聞いてないらしく。
「でも、昔いた本丸の主様なら、そちらから来た刀剣達は会いたいよね?
声、かけといた方が良いかな?」
日本号も同じ本丸だし。
でも、それを聞いて、三日月は良い顔をしなかった。
「いやぁ、声はかけなくてよろしかろう?
皆、昔の事だしな。」
何があったのかは分からないけど、三日月自身あんまり会いたくないみたいだった。
「そっかぁ………。わかった。」
三日月もそうしたいのなら、それで良いと思った。
その審神者との出会いが、全てを狂わすなんて思わなかった………。
午後になり、審神者が到着したとの知らせを受けて、広間に向かう。
広間には、審神者様が頭を垂れて待っていた。
上座に座り、着物を直すと、審神者様は顔を上げた。
「お初にお目にかかります。
以前より協定させていただいております、紅葉と申します。」
紅葉と言う審神者様は、とても美しく、私よりはるかに艶やかだった。
「あ、はじめまして。本丸を引き継ぎました、雛菊と申します。」
ペコリと頭を下げると、紅葉様は上から下まで繁々と見てふぅん、と何かを納得した顔をする。
「継ぐのは、御姉様の方だと思ってましたが、雛菊様でしたのね。
まだまだ就任したばかりでは、大変でしょ?」
明らかに私は認められていない。
自分になんかできるの?とでも言いたい顔。
「まだまだ勉強することは沢山あります。
でも、頑張って行きたいと思います。」
自分より、はるかに上の実力者に、苦笑いしか返せない。
紅葉様は、ニヤリと笑うと、キセルを出して、近侍が火をつける。
「今日は、ご挨拶と、雛菊様にお願いがあって来ましたの。」
ふぅ、と煙を吐き出すと。
私の横に座る三日月に視線を向けた。
「私の本丸より、以前差し上げました、三日月や日本号、宗三左文字を返して頂きたく参りました。」
その言葉に、三日月も私も固まる。
なぜ急に返せなんて……。
「私の本丸がね、最近激務が続いたせいで、何体か刀剣を失いまして。
そこに来て、幸いこちらは充分な刀剣がそろってるようですので、そろそろ返して頂いても良いんじゃ無いかと思いましてね?」
嬉しそうに、三日月を見て煙を吐き出す。
三日月は、まるで軽蔑でもするように、紅葉様を見ている。
どうかしら?
そんなことを急に振られても、とても困る。
「すみません、私の本丸でも、皆活躍してくれている方々です。
それに、私の一存で決められるものではないので、一度、3人と話をさせてください。」
正直、三日月と日本号を返せと言われるのはとても辛い。
困った表情を見て、紅葉様は呆れた顔をする。
「審神者なのに、自分の一存で決めれないなんて無いわよ?
ここにいる刀剣は皆自分の物なんだから。」
そう言われて、少しだけ、この人とは合わないと思ってしまう。
「例え私が決められる権限があっても、こうゆうことは本人達に決めてほしいんです。」
このままでは押しきられそうだったけど。
しっかりと目を見て拒否をした。
「そう………じゃあ、一週間あげる。日本号達に話して決めさせなさい。」
つまらない、とでも言うように。
そっと立ち上がる。
「迎えが来るまで、少し外を見せてもらうわ。では、一週間後に。」
よろしくね、
そう言って部屋から出ていった。
一気に気が抜けて、正座していた足を崩すと。
「お疲れ様でした。審神者様には、誰か見張りをつけましょう。」
お茶を出してくれて、三日月は他の刀剣に指示を出していた。
(でも、どうしよう……。)
3人を返せと言われても、やはり私にはあちらに帰ってほしくはなくて。
ため息をつきながらふと見ると。
先程まで紅葉様が座っていた所にキセルが置いてある。
「あ………。」
たぶん、そんなに離れてないだろう。
「ちょっと、私も外行ってくるね?」
三日月にそう告げると外に出て歩き出した。
そんなに時間はかかってないから離れては居ないと思ったのに、あたりに紅葉様が見当たらない。
キョロキョロと探しながら丁度馬小屋に出た。
今日は確か日本号が馬当番してたはず。
「日本号、居る~?」
小屋の中に居ると思って覗き込んだとき。
目にした物に圧倒されて、固まった。
藁の上に座り込む日本号の後ろ姿と
日本号に馬乗りになり、顔を抱えて口付けをする紅葉様………
ばっと、小屋の入り口に姿を隠したけど。
一瞬、紅葉様と目が合ってしまった。
紅葉様は………ニヤリと笑っていた。
「ねぇ、日本号。
昔みたいにもっと私を求めて?」
小屋の中から聞こえてくる声に耳を塞ぎたくなる。
「日本号、ステキ。体もしっかりして、私好みになったわ……。」
何が起きてるのかは分からなかったけど。
そこに居ちゃいけない気がして、走り出す。
闇雲に走り、生垣を曲がった時。
-ドンッ-
人にぶつかり、転びそうになる。
地面にぶつかるより先に、ふわりと体が包まれる。
「主よ、どうした?そんなに慌てて。」
恐る恐る目を開けると、そこには三日月が私を抱き締めて居てくれた。
「あ、………三日月………。」
少しだけ切れた息を整えて。
三日月にキセルを差し出す。
「これ、紅葉様が忘れてったんだけど。
今、日本号と話してるみたいだから、頃合い見て渡してあげて………。」
そう言ってキセルを渡すと。
返事も聞かずに走り出す。
見ちゃいけないものを見た。
日本号は、きっと紅葉様が好きだったんだろう。
恋仲だったのかもしれない。
そんなことを考えることが怖い………。
主に頼まれてキセルを届けに馬小屋に来た。
少しだけ覗けば、日本号に馬乗りになり体を押さえ込む昔の審神者。
嬉しそうに、艶やかな笑みで日本号に口付けを続ける。
「もっと、昔みたいに、私のこと求めて。」
審神者は嬉しそうに動くのに。
背を向けた日本号はピクリとも動かない。
しばらく様子を伺っていると。
「いいかげん離れろよ。」
痺れを切らした日本号が、やんわりと審神者を押し退けて立ち上がる。
「何にも知らなかったあの頃と一緒にしないでくれ。
俺はアンタに付いてた頃の俺じゃねぇ。
今はちゃんとした審神者に使えてる。」
少しだけムッとした表情をしたけど。
審神者も立ち上がり日本号の腰に抱きつく。
「今の方がもちろんステキよ。迎えに来て上げたんだから。」
帰りましょ。って言葉に、日本号がキレそうになる。
「失礼します。紅葉様、迎えの者が到着しましたので玄関まで送りましょう。」
二人のやり取りにうんざりして、入っていくと、日本号から審神者が離れた。
キセルを渡して、審神者の顔を見る。
「私も日本号も、今は大切な主がおります。
あまり返事は期待しないでくだされ。」
その言葉に、審神者の表情がイラつく。
「いくら主が居たって、貴方達が生まれたのは私の本丸よ。
帰ってきて私を守りなさい。
それができないなら。
この本丸も、あの主も、どうなるか、知らないわよ。」
ニヤニヤと。
胸焼けのする笑いをして、馬小屋を出ていった。
「……くそがっ!なんで今さらアイツがここに来るんだよ?」
知らなかった日本号は相当機嫌が悪いのか、さっきまで触れられていた唇をグシグシ拭くと、酒を煽る。
「すまぬ。伝達が遅くなった。それと、お前達の情事、主が見たかもしれん。」
謝りながらも、さっき見た主の表情を思い出し、伝えると。
日本号の表情が焦りに変わる。
「なんでこんなとこっ………。」
「主は今回、あっちの本丸に戻るかをワシらに決めさせると言っていた。
主に、勘違いをさせたと思うなら、早めに誤解を解けよ?」
そう言って馬小屋を後にする。
紅葉様の居る本丸は、強き者は雑巾のようになるまで使われる。
弱き者は昔からこちらの本丸に捨てられる。
そうやって繋がってきた。
日本号とワシも同じく捨てられた。
だから、あの本丸に未練などないし、戻りたいとも思わない。
しかし、最終的に決めるのは主だから。
どうか、事が悪くならぬよう、今は動かねば………