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君との見る月
君の名前は?
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翌朝。
朝食が終わると総触れが行われることになった。
三日月が刀剣を広間に集めている間に私は自室で準備をしていた。
審神者の衣装に身を包み、鏡を見ながら髪を纏める。
身支度を整えて鏡に映る姿は、ずっと尊敬していた姉そのもの。
でも。
私は偽物で。
本丸に来る前、親族の集まる所で審神者を継ぐのが私だと発表したときの親族の顔を思い出してしまう。
皆、一様になぜ私なんだと。
姉が亡くなったなら、私じゃなくても実力者は居たから。
でも、血筋で私が継ぐのが正当となり。
コソコソと否定される言葉が聞こえてきて。
姉ではなく、私が代わりに死ねば良かったのに。
あの子じゃ、本丸が潰れるのも時間の問題だと。
居たたまれなかった。
私だって、できることならお姉ちゃんに残って欲しかった。
「主、用意ができました。広間に参りましょう。」
三日月が部屋の外に迎えに来てくれた。
そっと障子を開けると、障子の横に座る三日月か立ち上がり、先を歩いてくれる。
ゆっくりと歩いても、どんどん広間に近付くにつれて心拍は上がり、手が震え始める。
昔から本丸に居る刀剣はもちろん私と姉を知ってる物も多い。
姉が審神者になると皆思っていたハズだから。
親族の冷たい視線が頭を過る。
またあの視線を浴びるのかと思うと、恐怖しかない。
広間に着き、障子の前で膝を着いた三日月は、私の様子に気付いて立ち上がった。
「大丈夫です。ここにいる刀剣達は皆心良い者達ですから。」
そう言って、震える手をそっと撫でてくれた。
「………はい………。」
入りたくはない。
でも、これからここを統率しなきゃいけないから。
ゆっくりと開けられた障子をくぐり、皆が座る目の前に用意された席に座る。
なるべく顔を見ないように。
視線を下げて待つ。
「昨夜、この本丸の新しい審神者として、先代のお孫様に当たる雛菊様がいらっしゃった。」
私の名前を出した途端、ざわめく刀剣達。
「皆、静かに。これから、雛菊様がお話になる。心して聞くように。」
そう言うと、三日月は私に視線を送った。
震える手を着物の中でぎゅっと握り、視線を上げると。
やはり、皆、一様にこちらを見ている。
「新しく、審神者を継承しましたっ………。」
視線を向けられることが怖くて、言葉に詰まってしまう。
心臓が早鐘を打ち、視線が泳いでしまう。
「………雛菊と言います………。
姉と違い、まだまだ実力はありませんが、精進したいと思います。
よろしく………お願いいたします………。」
呼吸が浅くなり、話終わる前には視線を落としてしまった。
深々と礼をして、冷たくなる手をまた強く握った。
何を言われるのか。
また自分を否定されるのか。
色々考えていると。
「新しい主様は、先代と違ってまっこて小さな子じゃのー!」
聞きなれない訛りに顔を上げると。
目をキラキラさせた男があぐらをかいて笑っていた。
「こら、陸奥守、主の前で失礼だろ!」
横に居た長い髪を束ねた男が、陸奥守と呼ばれる男の頭を叩く。
「いてっ!和泉守もいちいち叩くなや!しかし、主があまりに緊張しちゅーに、和ませようと思ってのう。」
二人のやり取りを見てると。
「二人とも煩くてすみません。私はへし切と申します。」
二人の横に居た刀剣が二人を尻目に挨拶をしてくれた。
「あ、はい………。」
「あ、一人だけズルいぞ!俺は岩融だ!退屈はさせんぞ!」
「俺は燭台切と申します。食事に関しては任せてください。」
一人が自己紹介を始めたことで、次から次へと話始める刀剣達。
対応に困ってしまい、返事も曖昧になってしまう。
「あ、えっと……」
その時。
「こら、お前ら!うるせぇ!!」
一番端に座っていた日本号がいきなり怒号を上げると、一気に部屋が静まり返った。
「一気に話したら、主が驚くだろ。会ったことある奴は自己紹介必要ねぇだろ。初めての奴は、追々自己紹介しろ。
主を煩わせるな。」
なぁ、と三日月に振ると、三日月は笑っていて。
「いやぁ、いつも以上に皆が元気でわしも呆気に取られた。」
日本号も三日月も呆れたように笑っていて、私はどう対応したらいいか分からなくて。
でも。
ここの刀剣達は、明らかに親族とは違う。
そう思えた。
どうにか騒ぎも収まり、食事などの時にでも少しずつ覚えてくれということになった。
「では、以上で今日の総触れは終いにする。」
三日月の言葉で私が立ち上がり、広間を出る。
三日月はそれぞれの指示に入るとのことだったから、一人で部屋に戻ることにした。
離れるにつれて緊張の糸がとけて。
手が震え始める。
呼吸が浅くなり、息苦しくなる。
(………怖かった………)
フラフラと、歩きながら息を整えようとしてるけど。
どんどん苦しくなってきて。
(だめだ………)
膝から力が抜けて倒れそうになったとき。
「おっとっ。」
不意に後ろから聞こえた声と、体を抱き止める腕。
浅い息のまま、見上げると。
体を抱き抱えてるのは日本号。
「に……ほんご……?」
まだ、ハァハァと息ができないままでいると。
「大丈夫か?」
普通じゃない状態なのは伝わったようだった。
「ごめん………ちょっと………緊張してて………。」
苦しい………と、日本号の服を掴むと。
軽々と私を抱えて歩き出した。
向かった先は私の自室。
部屋に入り、障子を閉めると、抱えたまま下ろしてくれて。
「ゆっくり呼吸しろ。もう大丈夫だから。」
そう言いながら背中を擦ってくれる。
抱えられてるせいで、私の顔は日本号の胸に押し当てられて。
日本号の服を強く掴んでいると、その手をそっと掴んでくてれ、力を抜かせようとする。
「………よしよし。お疲れさん。」
ゆっくりと。
少しずつ呼吸が楽になり、日本号にもたれ掛かる。
「ごめんなさい………。」
やっと呼吸が落ち着いて。
日本号を見上げると、心配そうに顔を覗き込んでくる。
「やっと落ち着いたか?」
力が抜けてるせいで、ただ頷くだけだけど。
優しく頭を撫でてくれる。
「そんなに緊張することだったのか?」
お前らしくない。
そう笑ってくれた。
「お姉ちゃんじゃないってわかったとき、刀剣達ががっかりするんじゃないかって不安だった………。」
怖かった。
また否定されることが。
でも、日本号は抱き締めたまま笑ってくれる。
「雛菊が、今まであっちの世界でどれだけ姉様と比べられてきたかは知らねぇけど。
こっちではお前が主なんだ。
刀剣にしてみたら嬉しいんだよ。
主が出来たことで、また調査依頼とか、政府から入るからな。
それに。雛菊は先代のじい様に比べたら可愛いからな。」
男所帯だから、嬉しいんだと教えてくれた。
受け入れてもらえたことが嬉しくて。
思わず日本号に抱きついてしまう。
「おいおいっ、何してんだよ?」
不意討ちを喰らったことで、日本号は慌ててたけど。
「昔はよくこうしてたでしょ。」
許して。
そう言って、胸の中で笑った。
「昔ねぇ………」
日本号は意味あり気に笑っていたけど。
私は、この本丸を受け継いだ。
お姉ちゃんほどの統率力はまだないけど。
がんばりたいと。
暖かい胸の中で
思っていた………
朝食が終わると総触れが行われることになった。
三日月が刀剣を広間に集めている間に私は自室で準備をしていた。
審神者の衣装に身を包み、鏡を見ながら髪を纏める。
身支度を整えて鏡に映る姿は、ずっと尊敬していた姉そのもの。
でも。
私は偽物で。
本丸に来る前、親族の集まる所で審神者を継ぐのが私だと発表したときの親族の顔を思い出してしまう。
皆、一様になぜ私なんだと。
姉が亡くなったなら、私じゃなくても実力者は居たから。
でも、血筋で私が継ぐのが正当となり。
コソコソと否定される言葉が聞こえてきて。
姉ではなく、私が代わりに死ねば良かったのに。
あの子じゃ、本丸が潰れるのも時間の問題だと。
居たたまれなかった。
私だって、できることならお姉ちゃんに残って欲しかった。
「主、用意ができました。広間に参りましょう。」
三日月が部屋の外に迎えに来てくれた。
そっと障子を開けると、障子の横に座る三日月か立ち上がり、先を歩いてくれる。
ゆっくりと歩いても、どんどん広間に近付くにつれて心拍は上がり、手が震え始める。
昔から本丸に居る刀剣はもちろん私と姉を知ってる物も多い。
姉が審神者になると皆思っていたハズだから。
親族の冷たい視線が頭を過る。
またあの視線を浴びるのかと思うと、恐怖しかない。
広間に着き、障子の前で膝を着いた三日月は、私の様子に気付いて立ち上がった。
「大丈夫です。ここにいる刀剣達は皆心良い者達ですから。」
そう言って、震える手をそっと撫でてくれた。
「………はい………。」
入りたくはない。
でも、これからここを統率しなきゃいけないから。
ゆっくりと開けられた障子をくぐり、皆が座る目の前に用意された席に座る。
なるべく顔を見ないように。
視線を下げて待つ。
「昨夜、この本丸の新しい審神者として、先代のお孫様に当たる雛菊様がいらっしゃった。」
私の名前を出した途端、ざわめく刀剣達。
「皆、静かに。これから、雛菊様がお話になる。心して聞くように。」
そう言うと、三日月は私に視線を送った。
震える手を着物の中でぎゅっと握り、視線を上げると。
やはり、皆、一様にこちらを見ている。
「新しく、審神者を継承しましたっ………。」
視線を向けられることが怖くて、言葉に詰まってしまう。
心臓が早鐘を打ち、視線が泳いでしまう。
「………雛菊と言います………。
姉と違い、まだまだ実力はありませんが、精進したいと思います。
よろしく………お願いいたします………。」
呼吸が浅くなり、話終わる前には視線を落としてしまった。
深々と礼をして、冷たくなる手をまた強く握った。
何を言われるのか。
また自分を否定されるのか。
色々考えていると。
「新しい主様は、先代と違ってまっこて小さな子じゃのー!」
聞きなれない訛りに顔を上げると。
目をキラキラさせた男があぐらをかいて笑っていた。
「こら、陸奥守、主の前で失礼だろ!」
横に居た長い髪を束ねた男が、陸奥守と呼ばれる男の頭を叩く。
「いてっ!和泉守もいちいち叩くなや!しかし、主があまりに緊張しちゅーに、和ませようと思ってのう。」
二人のやり取りを見てると。
「二人とも煩くてすみません。私はへし切と申します。」
二人の横に居た刀剣が二人を尻目に挨拶をしてくれた。
「あ、はい………。」
「あ、一人だけズルいぞ!俺は岩融だ!退屈はさせんぞ!」
「俺は燭台切と申します。食事に関しては任せてください。」
一人が自己紹介を始めたことで、次から次へと話始める刀剣達。
対応に困ってしまい、返事も曖昧になってしまう。
「あ、えっと……」
その時。
「こら、お前ら!うるせぇ!!」
一番端に座っていた日本号がいきなり怒号を上げると、一気に部屋が静まり返った。
「一気に話したら、主が驚くだろ。会ったことある奴は自己紹介必要ねぇだろ。初めての奴は、追々自己紹介しろ。
主を煩わせるな。」
なぁ、と三日月に振ると、三日月は笑っていて。
「いやぁ、いつも以上に皆が元気でわしも呆気に取られた。」
日本号も三日月も呆れたように笑っていて、私はどう対応したらいいか分からなくて。
でも。
ここの刀剣達は、明らかに親族とは違う。
そう思えた。
どうにか騒ぎも収まり、食事などの時にでも少しずつ覚えてくれということになった。
「では、以上で今日の総触れは終いにする。」
三日月の言葉で私が立ち上がり、広間を出る。
三日月はそれぞれの指示に入るとのことだったから、一人で部屋に戻ることにした。
離れるにつれて緊張の糸がとけて。
手が震え始める。
呼吸が浅くなり、息苦しくなる。
(………怖かった………)
フラフラと、歩きながら息を整えようとしてるけど。
どんどん苦しくなってきて。
(だめだ………)
膝から力が抜けて倒れそうになったとき。
「おっとっ。」
不意に後ろから聞こえた声と、体を抱き止める腕。
浅い息のまま、見上げると。
体を抱き抱えてるのは日本号。
「に……ほんご……?」
まだ、ハァハァと息ができないままでいると。
「大丈夫か?」
普通じゃない状態なのは伝わったようだった。
「ごめん………ちょっと………緊張してて………。」
苦しい………と、日本号の服を掴むと。
軽々と私を抱えて歩き出した。
向かった先は私の自室。
部屋に入り、障子を閉めると、抱えたまま下ろしてくれて。
「ゆっくり呼吸しろ。もう大丈夫だから。」
そう言いながら背中を擦ってくれる。
抱えられてるせいで、私の顔は日本号の胸に押し当てられて。
日本号の服を強く掴んでいると、その手をそっと掴んでくてれ、力を抜かせようとする。
「………よしよし。お疲れさん。」
ゆっくりと。
少しずつ呼吸が楽になり、日本号にもたれ掛かる。
「ごめんなさい………。」
やっと呼吸が落ち着いて。
日本号を見上げると、心配そうに顔を覗き込んでくる。
「やっと落ち着いたか?」
力が抜けてるせいで、ただ頷くだけだけど。
優しく頭を撫でてくれる。
「そんなに緊張することだったのか?」
お前らしくない。
そう笑ってくれた。
「お姉ちゃんじゃないってわかったとき、刀剣達ががっかりするんじゃないかって不安だった………。」
怖かった。
また否定されることが。
でも、日本号は抱き締めたまま笑ってくれる。
「雛菊が、今まであっちの世界でどれだけ姉様と比べられてきたかは知らねぇけど。
こっちではお前が主なんだ。
刀剣にしてみたら嬉しいんだよ。
主が出来たことで、また調査依頼とか、政府から入るからな。
それに。雛菊は先代のじい様に比べたら可愛いからな。」
男所帯だから、嬉しいんだと教えてくれた。
受け入れてもらえたことが嬉しくて。
思わず日本号に抱きついてしまう。
「おいおいっ、何してんだよ?」
不意討ちを喰らったことで、日本号は慌ててたけど。
「昔はよくこうしてたでしょ。」
許して。
そう言って、胸の中で笑った。
「昔ねぇ………」
日本号は意味あり気に笑っていたけど。
私は、この本丸を受け継いだ。
お姉ちゃんほどの統率力はまだないけど。
がんばりたいと。
暖かい胸の中で
思っていた………