何もしないクズが産まれた日
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※名前は苗字入れるといいかも
※上京生活録イチジョウ29話
※一条のバイト後輩設定
※一条は少し好意を持っている
※村上とは数回ご飯行ったことあるぐらいの知り合い
「何も成し遂げていないのに成人を迎えた、愚かな男が……!」
面倒な事になった、と村上は震えながら変な行動をする一条を止める。
消しゴムを食べようとしたり、プレゼントしたスマートスピーカーとディベートしようとしたりする一条を。
お酒が飲めるようになった一条はまだ明るいうちからビールを流し込む。
アルコールが脳に浸透し「どうでもいいや」という信号を出し続けている。
一条が部屋でバク宙をしたあたりで村上は救援を呼ぶことになった。
美沢と田中が来てくれた事で村上は胸を撫でおろすが、安堵したのは一瞬だけ。
皆が村上に「俺をビンタしてくれ」と頼み、順番にビンタをしていた時のこと。
最初にビンタされ泣いていた一条が、泣き止み携帯を手に持っていた。
2人きりであれば村上は止めていただろう。しかし、今は美沢と田中に絡まれ一条の事を見ていなかった。
プルルルル、という電話音が響いてから村上は気づいた。
「もしもし。一条さん……?」
「名無しさんかぁ? 先輩の誕生日パーティに来ないなんてどういうつもりだぁ?」
「え!? 一条さん今日誕生日なんですか!?」
「さっさと来い。そしてオレの生誕を呪え。罵倒しろ。蔑め」
「えぇ……」
あぁやってしまった。と村上は頭を抱える。来るわけないじゃないか。そんな電話で。
どうしてあんな事を、と村上は一条を心の中で攻めた。あんな言い方も無いし、たかがバイト関係なのに自分から誕生日だとアピールするのはいかがなものか。
しかし、まだ未成年の村上は知らない。
人は酔っ払うと変な勇気を持ってしまい、好きな人に電話をかけてしまう習性があることを。勿論人それぞれだと思うが。
名無しさんはあんな電話が来てどう思っただろうか。
自分であればドン引き。バイトの先輩からあんな電話が来たら次の日気まずくなってしまう。
明日の朝どう一条を励まそう、と村上は思考を変えた。
ピンポーン
数十分後、チャイムが鳴り村上はビクリと大きく体が動いてしまった。
こんな時間にチャイム……? 近隣からの騒音注意だろうか、と内心ため息をつきながら扉を開ける。
「こんばんは」
「名無しさんさん!?」
名無しさんを中に入れる事を忘れ、村上は名無しさんを凝視してしまった。
本物がどうか分からなず人形かと思ったが、名無しさんの鼻をすする音で現実に返る。
「すっすみません! 中入ってください……!」
「ありがとうござます、お邪魔しまーす!」
名無しさんを居間まで案内する途中、村上はドキドキと不安で心臓が動いていた。
この扉を開けてしまうと一条の醜態を見てしまうことになる。
そう思うと、一応一条の恋を応援する村上は開けることが出来なかった。
しかし、開けないとこの先が進まない。
目をギュッと瞑りながら扉を開けた。
「やっと来たか」
「お誕生日おめでとうございます一条さん」
「そんなことはどうでもいい!!」
「えぇ……」
「おー名無しさんちゃん来たんかぁ」
「こんばんは名無しさんさん」
名無しさんが戸惑うの当然だ。電話では誕生日アピールをしておいて、祝いの言葉をあげたらこれ。
村上が後輩という立場でなかったら。一条に憧れていなかったら縁を切ってもいいぐらいの暴言。
おそるおそる名無しさんを見ると、クスクスと笑っていた。
良かった嫌な顔にはなっていないようだ。
ホッとしたのも束の間。村上は名無しさんが目線をキョロキョロしている。
何だ……? と不思議に思っているところで気づいた。
そうか……ッ! 座る場所が無いんだッ……!!
コタツは四角形。4辺は既に自分たちで埋まっている(村上の所は空いているが名無しさんはそこに勝手に座るような子ではない)
ならば端っこ、だがどこの端っこに座ったらいい?
そんな迷いで名無しさんは未だ立ちっぱなしのまま……!
「名無しさんさん! ここに座ってください」
「え、でも……」
「いいんです。俺そろそろ片づけしようと思っていたので」
「じゃあ……」
名無しさんが村上の座っていた所へ移動しようとした時。
一条は名無しさんの腕を掴んだ。
「ちょっ! 一条さん……」
まずいって!
「オレの誕生日なのに俺の隣に座らないのか!? あんな事言っておいて! 本当はオレの事祝う気なんてないんだろ!」
「そんな事ないですよ」
「だったらァ! 大人しくオレの隣に座って俺の事をビンタしろ!!」
「一条さんッ……!」
支離滅裂な発言をする一条を止めようと村上は一条に近づく。
だが名無しさんは村上に手のひらを見せて制止した。
「一条さん大分出来上がってますね……」
「す、すみません」
「いえ、村上さんが謝ることではないですよ。こういう時は大人しく言うことを聞いて、寝るまで待つのが得策です……!」
名無しさんはキリッとした顔で言う。
まるで歴戦の戦士のように様々な事を経験してきたかのような口ぶり。
ゴクリ、と唾を飲み込み村上は名無しさんの言葉を信じることにした。
名無しさんは持っていた紙袋を床に置き、一条の隣に座る。
1人では余裕なスペースだが2人ではギュウギュウだ。
「おい狭いぞ。お前の下半身がデカ過ぎるせいで」
「アハハ、ごめんなさい。移動した方がいいですか?」
「そんな事は言ってねぇ。脳みそが小さいからオレの言ってる事理解できねぇのか」
一条の他人を見下す癖は好きな人でも同じだった。
シラフの彼であれば名無しさんに対してそんな事は絶対言わない。むしろ、良い先輩風邪を吹かせている。
だがお酒を飲み理性を失った一条は、癖も出てしまうし口も悪くなってしまう。
そんな様子をハラハラと村上は見ていた。
いくら名無しさんが制止したからといって、このまま見ているだけでは駄目だ。
自分がここから出来る事を考える。
「名無しさんさん! 何か飲みますか? ファンタと緑茶ならありますが」
「あ、じゃあここに転がってるビールでいいよ」
「え!?」
村上は驚く。名無しさんの年齢を知らないが、てっきり同い年かと思っていた。
「名無しさんちゃんは4月産まれの20歳やで」
美沢が言う。
「そうだったんですか! 未成年飲酒みたいですね」
「田中さん私の事馬鹿にしてます?」
わははは! と3人が笑うが村上と一条は笑えなかった。
村上は名無しさんが成人している事の驚き。
一条は名無しさんの年齢も誕生日も知らなかったのに美沢は知っていることのショック。
美沢のヤロぉ……! どうしてアイツばっかり……!
「クソ! 何でオレに誕生日教えなかったんだよ!」
「えぇ……」
「ふん! 今日はとことんオレの酒を飲んでもらう……!」
「分かりました。全部飲みますよ」
缶ビールのプルタブを開け、乾杯をした。
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