あれっいつの間に
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「イアイくん可愛いねぇ。お菓子あげようねぇ」
「……ありがとうございます」
イアイアンの手のひらには沢山の小さなお菓子が盛られた。
お礼は複雑な気持ちで言ってしまた理由は、二つある。
一つめは、23にもなって人からお菓子を貰うのは恥ずかしい。
二つめは、目の前にいる名無しさんだ。名無しさんに子ども扱いされているのが癪に障る。
名無しさんはアトミック侍の親族だという。なのでよく道場に遊びに来ていた。
おかげでブシドリルとはお酒仲間、オカマイタチとは女子会仲間、イアイアンは可愛い弟という関係になっていた。
イアイアンは名無しさんから子供扱いされているのが嫌だった。
名無しさんはイアイアンより二つ年上だ。あまり歳の差がないのにも関わらず、名無しさんはイアイアンを可愛い可愛い言われている。
可愛い、ということは男として見られていない。男として見られていない、ということは異性として見られていない。
恋心を抱いている人から異性として見られていないのは、あまりにも辛いものだ。
近くにいるのに触れない、というようなもどかしさ。
名無しさんに男として見られるためにはどうしたらいいのか。
「そりゃお前、思いっきり抱きしめろ。男なんだから勢いが大事だ」
イアイアンはブシドリルへ、名無しさんのことを相談する。
相談した相手が間違っていたのか、ブシドリルの恋愛の知識が古いのか。
参考にならない。急に抱きしめられるなんて嫌に決まっている。
それに自分がされて嫌なことはしないほうがいいだろう。自分だって、急に名無しさんに抱きしめられたら……と想像した。
いや、名無しさんから抱きしめることができるなら気にしない。というより嬉しいという気持ちになるだろう。
別の人で考えてみる。目の前にいるブシドリルに抱きしめられたら……。
やはりいきなり抱きしめるという案は却下とした。
次に相談したのはオカマイタチだ。
この中で一番名無しさんと仲がいいのがオカマイタチだ。よく話しているし、遊びに行っている。
名無しさんのこともよく知っているだろう。好みのタイプなどが分かればいいのだが。
「うーん難しいわね」
オカマイタチが腕を組んで脳を働かせる。精一杯、イアイアンと名無しさんのことを考えているのだろう。
それで出た結論が難しい。という答えだ。
イアイアンが肩を落とす。
「だって名無しさん、貴方のこと弟としか見ていないんだもの」
「そうか……」
オカマイタチは垂れているイアイアンの肩へ手を乗せる。まるで、励ますかのように。
「大丈夫よ! あの子も恋愛しないってわけではないし、私も協力するわ」
「……感謝する」
「そうねぇ……ベタだけれど、車道側歩くとか、荷物持ってあげるとかじゃないかしら」
「残念ながらやったことあるが、何も起きなかった」
「あら……」
オカマイタチの声はイアイアンへの同情心が見て取れる。
何をしても名無しさんはイアイアンへ胸をときめかせることができない。
まぁいい。ゆっくり考えるとしよう。
どうせ、名無しさんの歳に追いつくことはないのだから。
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