夏が響き渡る
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夏は好きだ。
響き渡る蝉の声も。
ジリジリとした太陽の熱も。
冬よりも騒がしい夏が好きだった。
イベントが多いのも魅力的。
暑さから逃れるようなプール。
主役の太陽が沈んだ頃、漸く出番だ! とばかりに打ち上がる色とりどりの花火。
そして何より、好きだった、大切だったアマイさんと付き合えた季節だ。
出会いは大したことではない。
テレビ業界で、私はただのADだった。
たまによくあるAD弄りからアマイさんとは話すようになった。
今でも忘れられない。
二人で撮影ビルの窓から花火を見たのを。
「君の事が、……名無しさんの事が好きだ」
テレビで見るような、ハッキリとした声ではなく、花火の音に負けてしまうような声だった。
好きな人が、自分の事好きだなんて。
そんな奇跡に、現実に、恐怖を覚えた。
聞き逃してしまおうか、そう思ってしまった。
けど、アマイさんの方を振り向いてしまったのでそうもいかない。
全身が硬直してしまうのに対し、身体の中は激しく脈打つ。
「で、返事は?」
言い方こそ、人に物を聞く態度かと思うものだがその声は花火が打ち上がった後の硝煙に近かった。
勇気を、振り絞る。
「……はい! 喜んで!」
泣きながら、アマイさんに抱きついたのを覚えている。
夏の熱い日にも関わらず、アマイさんはぎゅっと抱きしめてくれた。
アマイさんと付き合い始めてから、もっと夏が好きになった。
2人で楽しむプールも、海も今までと比べ物にならないほど楽しかったのだ。
私が水着を着て、出てきたときパーカーを羽織らせてくれたのに、笑うとアマイさんはふいっと横を向いてしまったね。
夏祭りの日に、人が多いのにも関わらず、アマイさんは私を見つけてくれた。
いつだってそうだ。
デートの時、アマイさんは必ず私を見つけてくれる。
ピンクの浴衣を着る私に、「白い浴衣も似合いそうだね」なんて、言ってくれるものだから、
来年のために、白い浴衣を買ったのはまだアマ
暑い日の夜に、アマイさんと身体を重ねるのも好きだった。
汗ばみ、火照る身体が密着し、アマイさんの荒い呼吸に脳髄を溶かされていくようだ。
全身がアマイさんに染められるのが幸せだった。
来年の夏も、こうして過ごせるだろうか。
秋は、旅行に行った。
冬は、クリスマスを一緒に過ごした。
春は、桜の木の下で一緒に眠ったりした。
一年中、とっても幸せだった。
そして最も好きな季節が来たのだ。
二回目の、幸せな季節。
約束した夏祭り。
昨年、奮発して買った白い浴衣。
アマイさん喜んでくれるといいな、と思いながら髪の毛も、お化粧もしっかり頑張って。
陽気な足取りで、お祭り会場へと向かった。
人がたくさんいて、とってもうるさい。
思わず耳を塞ぎたくなった。
走らなければならないのに、履きなれない下駄に躓きそうになる。
「あっ……」
せっかくの白い浴衣が、盛大に汚れる。
あーあ、アマイさん。私の事、見つけてくれるかな?
響き渡る蝉の声も。
ジリジリとした太陽の熱も。
冬よりも騒がしい夏が好きだった。
イベントが多いのも魅力的。
暑さから逃れるようなプール。
主役の太陽が沈んだ頃、漸く出番だ! とばかりに打ち上がる色とりどりの花火。
そして何より、好きだった、大切だったアマイさんと付き合えた季節だ。
出会いは大したことではない。
テレビ業界で、私はただのADだった。
たまによくあるAD弄りからアマイさんとは話すようになった。
今でも忘れられない。
二人で撮影ビルの窓から花火を見たのを。
「君の事が、……名無しさんの事が好きだ」
テレビで見るような、ハッキリとした声ではなく、花火の音に負けてしまうような声だった。
好きな人が、自分の事好きだなんて。
そんな奇跡に、現実に、恐怖を覚えた。
聞き逃してしまおうか、そう思ってしまった。
けど、アマイさんの方を振り向いてしまったのでそうもいかない。
全身が硬直してしまうのに対し、身体の中は激しく脈打つ。
「で、返事は?」
言い方こそ、人に物を聞く態度かと思うものだがその声は花火が打ち上がった後の硝煙に近かった。
勇気を、振り絞る。
「……はい! 喜んで!」
泣きながら、アマイさんに抱きついたのを覚えている。
夏の熱い日にも関わらず、アマイさんはぎゅっと抱きしめてくれた。
アマイさんと付き合い始めてから、もっと夏が好きになった。
2人で楽しむプールも、海も今までと比べ物にならないほど楽しかったのだ。
私が水着を着て、出てきたときパーカーを羽織らせてくれたのに、笑うとアマイさんはふいっと横を向いてしまったね。
夏祭りの日に、人が多いのにも関わらず、アマイさんは私を見つけてくれた。
いつだってそうだ。
デートの時、アマイさんは必ず私を見つけてくれる。
ピンクの浴衣を着る私に、「白い浴衣も似合いそうだね」なんて、言ってくれるものだから、
来年のために、白い浴衣を買ったのはまだアマ
暑い日の夜に、アマイさんと身体を重ねるのも好きだった。
汗ばみ、火照る身体が密着し、アマイさんの荒い呼吸に脳髄を溶かされていくようだ。
全身がアマイさんに染められるのが幸せだった。
来年の夏も、こうして過ごせるだろうか。
秋は、旅行に行った。
冬は、クリスマスを一緒に過ごした。
春は、桜の木の下で一緒に眠ったりした。
一年中、とっても幸せだった。
そして最も好きな季節が来たのだ。
二回目の、幸せな季節。
約束した夏祭り。
昨年、奮発して買った白い浴衣。
アマイさん喜んでくれるといいな、と思いながら髪の毛も、お化粧もしっかり頑張って。
陽気な足取りで、お祭り会場へと向かった。
人がたくさんいて、とってもうるさい。
思わず耳を塞ぎたくなった。
走らなければならないのに、履きなれない下駄に躓きそうになる。
「あっ……」
せっかくの白い浴衣が、盛大に汚れる。
あーあ、アマイさん。私の事、見つけてくれるかな?
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