物語に出てくるお姫様と王子様は幸せになりましたとさ
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※イアソル
※両片想い(貴公子→イアイ強め)
彼女は、男でありたかった。ならなくてはいけなかった
絵本に出てくるキラキラとしたお姫様を守る立場でいなければならない
いつだって、悪に立ち向かう勇敢な男になろうとしていた
そういった風に生きなければならないことを、彼女は全てを受け入れ周りの理想の王子様になろうとしたのだ
ーーけれど、彼女は王子様になれなかった
「俺がもし、女だったらイアイのこときっと好きになってただろうな」
「・・・俺も、だ」
そんな、告白もどきをしてしまい既に数日が経った
だが特別に変わったことはない。いつものように名無しさんはイアイアンの左側に立ち、イアイアンは名無しさんへ笑いかける
その笑顔が苦しいことも変わらなかった
ほんの僅かな変化といえば、名無しさんがイアイアンへ期待を抱いてしまうことだけである
余計に自分が苦しむことを知っていながら、わざわざ泥の船を作りそれに乗っているのはどうしてだろう
こんなものさっさと捨ててしまえばいいのに
男になりきれない自分が、女である自分が大っ嫌いであった
自己険悪が内だけに抑えようと名無しさんは必死だ
「頭に糸くずついてるぞ」
「え、と、取れた?」
「ここだ」
暖かく、大きな手が触れただけで体温が上がる
「取れたぞ」
「あ、ありがと」
イアイアンへの好意に気づいた時から、女の自分が思い出され欲が我慢できなくなる
彼にもっと触れてもらいたいと、見てもらいたいという気持ちが引っ張られるのを抑える日々だ
今、イアイアンの隣に立っていられるのは友人という関係だから許されているのは理解している
だが抑えに抑えた欲は、友人という蓋から溢れ出しハッピーエンドの絵本を勝手に書き出した
それが綺麗な物語でないと知りながらも
一冊目がハッピーエンドでも、二冊目が物語の途中で燃やされてしまっても
名無しさんはお姫様のような幸せに手を伸ばしてしまった
「イアイ、今度の休み暇か?」
「あぁ空いてるが」
「どっか遊びに行こうぜ!あそこ行きたい。あの、テレビでやってたとこ」
「あそこか。名無しさん好きそうだったしな」
自分のことをわかってくれているイアイアンに、嬉しさを隠しきれない
イアイアンを見上げ微笑む
「他の奴らも誘うか?」
「んー。イアイが誘いやついたら」
「・・・じゃあ、今更だし二人でいいか」
無い期待を想像するのは容易いことだし、楽しかった
せめて今だけは楽しみたかった。友人という関係に甘え、長く彼の隣に立ちお姫様のような気持ちになりたかったのだ
しかし、ドレスを引き裂かれるのは唐突である
家に届いた一通のお見合いの手紙と、イアイアンが他のヒーローと話していた時だ
「イアイ~頼むよ・・・本当一生のお願い・・・」
「だから、そういったのは苦手なんだ」
「俺を助けるためだと思って・・・」
「・・・・」
「頼む!!」
「・・・仕方ないな」
「やったマジ!?サンキュー!」
「俺もそろそろ出会いを探さないとな」
何の話かもわかったし、前ならそこの会話にすら飛び込んでいただろう
だが混ざれなかった。いっそ姿を見せていないのに逃げ出したくなったほどだ
急に、地面がなくなり気持ち悪くなるほど体が軽くなる気がした
勝手に期待を抱いて、夢を見ていたのは自分であったのに
いつまでも覚めない夢の世界で生きていたつもりだったのだろうか
足を踏み出せたのは自分自身を嘲笑してからだった
「あー、悪い遅くなった」
「やっと来たかよ名無しさんー!。あ、なぁなぁ合コン行かね?」
「断りまーす」
「あーあ、やっぱな」
スティンガーは名無しさんが断ることを知っていて駄目元で聞いてきたのだろう
イアイアンとは違いすぐに食い下がった
産まれた時から、許されていなかったのだ
名無しさんが誰かを好きになることが
自由に生きていけないことなど、ゼロ歳の時から知っていたのに、今更になってその理不尽さに涙を流しそうになる
もし、自分が自由に生きて好きな人の傍にいて気持ちを共有できていたとしたら
どれだけ幸せだっただろうか
名無しさんの額縁の中の世界では測れない
この手で、この目で、しっかりと貴方に触れたかった。見たかった
名無しさんは元々の自分の役割を思い出す
自分は、王子様役ではないか
イアイアンはさながら町人だろうか
普通の町人で、普通に恋愛して、普通に幸せとなる
悲しいかな。王子様よりも町人のほうが幸せに生きるだなんて
いいや、そうではなくてはいけない
だって、王子はいずれ王となり町を、市民の幸せを一番に願わなくてはいけないのだから
※両片想い(貴公子→イアイ強め)
彼女は、男でありたかった。ならなくてはいけなかった
絵本に出てくるキラキラとしたお姫様を守る立場でいなければならない
いつだって、悪に立ち向かう勇敢な男になろうとしていた
そういった風に生きなければならないことを、彼女は全てを受け入れ周りの理想の王子様になろうとしたのだ
ーーけれど、彼女は王子様になれなかった
「俺がもし、女だったらイアイのこときっと好きになってただろうな」
「・・・俺も、だ」
そんな、告白もどきをしてしまい既に数日が経った
だが特別に変わったことはない。いつものように名無しさんはイアイアンの左側に立ち、イアイアンは名無しさんへ笑いかける
その笑顔が苦しいことも変わらなかった
ほんの僅かな変化といえば、名無しさんがイアイアンへ期待を抱いてしまうことだけである
余計に自分が苦しむことを知っていながら、わざわざ泥の船を作りそれに乗っているのはどうしてだろう
こんなものさっさと捨ててしまえばいいのに
男になりきれない自分が、女である自分が大っ嫌いであった
自己険悪が内だけに抑えようと名無しさんは必死だ
「頭に糸くずついてるぞ」
「え、と、取れた?」
「ここだ」
暖かく、大きな手が触れただけで体温が上がる
「取れたぞ」
「あ、ありがと」
イアイアンへの好意に気づいた時から、女の自分が思い出され欲が我慢できなくなる
彼にもっと触れてもらいたいと、見てもらいたいという気持ちが引っ張られるのを抑える日々だ
今、イアイアンの隣に立っていられるのは友人という関係だから許されているのは理解している
だが抑えに抑えた欲は、友人という蓋から溢れ出しハッピーエンドの絵本を勝手に書き出した
それが綺麗な物語でないと知りながらも
一冊目がハッピーエンドでも、二冊目が物語の途中で燃やされてしまっても
名無しさんはお姫様のような幸せに手を伸ばしてしまった
「イアイ、今度の休み暇か?」
「あぁ空いてるが」
「どっか遊びに行こうぜ!あそこ行きたい。あの、テレビでやってたとこ」
「あそこか。名無しさん好きそうだったしな」
自分のことをわかってくれているイアイアンに、嬉しさを隠しきれない
イアイアンを見上げ微笑む
「他の奴らも誘うか?」
「んー。イアイが誘いやついたら」
「・・・じゃあ、今更だし二人でいいか」
無い期待を想像するのは容易いことだし、楽しかった
せめて今だけは楽しみたかった。友人という関係に甘え、長く彼の隣に立ちお姫様のような気持ちになりたかったのだ
しかし、ドレスを引き裂かれるのは唐突である
家に届いた一通のお見合いの手紙と、イアイアンが他のヒーローと話していた時だ
「イアイ~頼むよ・・・本当一生のお願い・・・」
「だから、そういったのは苦手なんだ」
「俺を助けるためだと思って・・・」
「・・・・」
「頼む!!」
「・・・仕方ないな」
「やったマジ!?サンキュー!」
「俺もそろそろ出会いを探さないとな」
何の話かもわかったし、前ならそこの会話にすら飛び込んでいただろう
だが混ざれなかった。いっそ姿を見せていないのに逃げ出したくなったほどだ
急に、地面がなくなり気持ち悪くなるほど体が軽くなる気がした
勝手に期待を抱いて、夢を見ていたのは自分であったのに
いつまでも覚めない夢の世界で生きていたつもりだったのだろうか
足を踏み出せたのは自分自身を嘲笑してからだった
「あー、悪い遅くなった」
「やっと来たかよ名無しさんー!。あ、なぁなぁ合コン行かね?」
「断りまーす」
「あーあ、やっぱな」
スティンガーは名無しさんが断ることを知っていて駄目元で聞いてきたのだろう
イアイアンとは違いすぐに食い下がった
産まれた時から、許されていなかったのだ
名無しさんが誰かを好きになることが
自由に生きていけないことなど、ゼロ歳の時から知っていたのに、今更になってその理不尽さに涙を流しそうになる
もし、自分が自由に生きて好きな人の傍にいて気持ちを共有できていたとしたら
どれだけ幸せだっただろうか
名無しさんの額縁の中の世界では測れない
この手で、この目で、しっかりと貴方に触れたかった。見たかった
名無しさんは元々の自分の役割を思い出す
自分は、王子様役ではないか
イアイアンはさながら町人だろうか
普通の町人で、普通に恋愛して、普通に幸せとなる
悲しいかな。王子様よりも町人のほうが幸せに生きるだなんて
いいや、そうではなくてはいけない
だって、王子はいずれ王となり町を、市民の幸せを一番に願わなくてはいけないのだから
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