奇妙な猫を拾いまして
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ー自分は、一体どうなったのだろうか
意識はある。だから、死んではいないのだろう。記憶もしっかりとある。確か、俺は
「お前は強すぎだ」
強すぎる男と戦い、敗れたはず。負けたことに後悔はない。久々に高鳴る戦闘をしたのだから。
自分は死んだと思ったのだが…….。薄っすらと目を開ける。
そこには水色の、汚い空であった。一瞬だけだが見覚えのある空。そうだ、地球だ。ということはここは地球なのか。
それはそうか。俺が息絶えた場は地球であったのだから。
身体を動かしてみると、なんだかいつもと違う感じがした。
「・・・なんだ、これは」
視線が、低い気がする。それに、二足歩行ではない・・・?
ゆっくり、一歩を踏み出してみる。すると自然に腕がでてしまっていた。
よく身体を見れば毛がたくさん生えていた。俺はこんなに毛深くなかったはずだ。
それになんだ。この臀部に生えている尾は。
一体今、自分自身がどのような姿になっているのかまったく見当がつかない。頼りない足で、とりあえず進んでみることにした。
ガヤガヤガヤ、と遠くから聞こえる。なるほど、聴覚がよくなっている。
「ね、ねぇ見てあの猫」
「ひっ。な、何あれ・・・」
・・・何ということだ。地球人はサイタマしか会っていないが、地球人はこんなに大きいものだったのか?
いやそんなことはないだろう。いくら何でもあのサイズは地球ではありえないであろう。
いや違うな。俺が縮んでいるのか。それなら視線が低く、地球人がでかいのも納得がいく。
話を聞こうと歩み寄ってみた。
「ちょ!やだこっちくるんだけど!!」
「やだ気持ち悪い!!あっち行け!!」
地球人の態度に怒りの感情が沸いてしまった。この俺が話しを聞こうとしているのになんて態度だ。どんな生物でも俺の姿を見れば黙ったはずなのに。
手に持っていたものを振りかざされた
避けると、人間二人は走り去っていった。
一体なんだというのだ。
こちらから攻撃してやろうかと思ったが、道にできた水に映った自分の姿に呆然とした
「こ、これは一体・・・」
胴は長く全体的に白色だ。自分が腕だと思っていたものは足で合計四本ある
耳は頭の上に二本生えている
なんだ、なんなのだこの生物は。本当に俺なのか。
前の俺と同じなのは目が一つだけということだけか。
上を見上げてみると、同じような生態をした者がいた。そいつは俺のことを見ると身体を跳ね上がらせどこかへ走っていってしまった。
詳しい話を聞きたかったものだが・・・
とりあえず、同胞と呼べるものを探そうとまた歩き始めた。
言語も伝わらなかったのもこの姿のせいなのだろうか。
色々と考えながら同胞を探していた。
「ぎゃ、ぎゃっ!!何この猫!!気色悪い!!あっちいけー!!」
『フギャッ!』
人間の住処の前を通ったら、いきなり武器を振られた。避けるのは容易いが人間は諦める様子がない。
ここは逃げるか勝ちか。攻撃する隙もない。
この姿では戦闘することもままならないのか。素早くこの場を離れできる限り走った。
空が水色から橙色に変わっていく。
何度か同胞に会ったもののみんな逃げていった。どの同胞たちも目は二つであった。この一つ目が逃げられる原因だろうか。
どいつも恐怖の感情が見えた。それは、人間も同じであった。
人間に関しては武器を振るってくるのが厄介だ。
「おい」
「・・・?」
後ろから声をかけられ振り向くと、同胞の姿。初めて声をかけられたので驚いてしまった。
黒い毛並みに目は水にかすかな緑を混ぜたような瞳をしている。もっとも片目は傷を負っているようで見えていないようだ。
「なるほど。一つ目という噂は本当だったようだな。初めて会ったぜ」
「ちょうどいい。聞きたいことがたくさんある」
「おいおい。話を聞くのはこっちからだぜ」
やはり同じ姿をしているだけあって、言葉は通じたようであった。
しかしまぁこの俺を前にして中々な口のきき方だ。一通りの話を聞いたら少し痛い目を見させてやろう。
「お前どっから来た?新入りはまずこの俺様に挨拶するってのがこの町のルールだ」
「貴様がここのボス?フン、笑わせてくれるな。そんな弱そうな見た目で何ができる」
「お前も猫だろーがっ!!」
「ネコ・・・?まぁいい。貴様は少し傲慢さが過ぎるな。そんなんでボスが務まるものか」
「てめぇ・・・こらしめてやる!」
すると、背中の毛を立て顔を下に向けて斜めに傾けた。目は楕円のものから丸くなり、耳は後ろ側に倒している。
尾は太くなり先っぽは下を向いていた。
見て分かる戦闘態勢。
いいだろう。話し合いより力ずくのほうが分かりやすい。この姿での戦闘の仕方はわからぬが・・・やってやろう。
「生意気な口きけねぇようにしてやるぜ」
「それは敗者が必ず言う言葉だな」
ここのボスがどれほどのものか、見てやろう!
「お母さーん。猫ちゃんたちが喧嘩してるー」
「あらまぁ。メスの取り合いかしらねー」
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