純情ポニーテール
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ゆらゆらゆら。ゆらゆらゆら
歩くたびに揺れるポニーテールの後ろ姿に男子は目を奪われてしまう
細く柔らかい毛束でできた尻尾に白いセーラー服
まさに男子が一度は夢見てた女子をこの世に生まれてきてくれたと言ってもいい
「おはよう」
そう言ってほほ笑む名無しさんに恋してしまった男子は何人になるだろう
清楚で清純。「清」という漢字が似合う
ところが名無しさんの評判が良いのは男子の中だけで、女子の間では不評である
その訳は醜い嫉妬もあるが大半は名無しさんの変わる変わる男関係であった
会話をして一度も同じ男の名前が出てきたことはなかった
見た目と印象を武器に名無しさんはさまざまな男子と遊んでいたのである
別に騙してはいない。向こうから言い寄ってきたのだから承諾しただけだ
自分の人生はそれでいいと思うし後悔もしていない
彼女はハナから人間関係を薄っぺらいものとしか見ていなかったのだ
だからこそ、軽く扱える男は気楽だったのだ
人間にとってこの世で一番苦痛なことは何だろうか
それは人間関係だと社会を生きていてそう思う
それを断ち切っている名無しさんは大分人生を軽く生きている
だが、彼女にとってたった一人恐れている、とは少し違うが好意的ではない別の意味で気になっている男子がいた
バッドという同じクラスメイトの男子だ
彼は名無しさんに”クラスメイト”以外の感情を抱いていないのだ
名無しさんはそれが気に食わなかった
「おはよう、バッド君」
「おー。はよ、名無しさん」
別にすべての男子が自分に惚れるとは思ってはいない
ただ単に他の女子より少し良くしてもらいたいだけだ
少しだけ特別な存在になりたい
だって、自分の良い所なんて生まれ持ってできたこの顔しかないのだから
「あんなの顔だけじゃない」と言う女子には長所を上手く活かして生きて何が悪いのだと言いたくもなる
まぁともかく、だ
このバッドという少年(同い年だが)をどう意識させるかが最近の名無しさんの目標だった
金属バットという名で彼はバッドはヒーローをやっている
ということは、だ。彼が怪我して学校に来る日も少なくはなかった
怪我、といっても擦り傷程度なのだが
「ちょ、大変!保健室行こ?」
「あー?大丈夫だこれくらい。すぐ治る」
「で、でも・・・あ、じゃあこれ使って。気にしなくていいから」
ハンカチを差し出した
「いいのか?サンキュー」
バッドはなんの躊躇いもなく名無しさんが差し出したハンカチを受け取り傷口にあてた
・・・マジか
心の声が漏れそうになったのを慌てて口を塞ぐ
今までの男子はこうされても躊躇い「いいよいいよ悪いし!」となり私が大丈夫と押すと渋々受け取り「今度何かお礼するよ」となる予定であったのに!
全然!それが!ない!!
なんとデリカシーがない男だろうか!
ハッ。それとも彼はヒーローで、女の子にモテモテだから女に優しくされるのは当たり前だと思っているのだろうか
なんとも傲慢な!
「あ、ギャッ、ごごごごごめんなさい!!」
「お?おーわりぃな」
そんなことはないようだ
細目で金属バットとその横をいそいそ通り抜ける女子を見て思った
どうやら彼は怖がられているらしい
それは女子からではなく男子からも
「あ゛ぁ!?テメー何カツアゲしてんだ」
「アヒ、ヒィィ・・・!!すみませんでしたぁぁぁ!!」
まぁそれでも、素直に生きているバッドが羨ましいと言えば羨ましかった
自分は誰かに本心を見せたことがあっただろうか
肉親ですら、本心をさらけ出したことはない
それについてのストレスは男で遊んで発散しているからいいのだが
だが、やはりどこかでバッドを羨ましいという気持ちは押し殺せなかった
1/2ページ