「ソニックゥゥゥゥゥゥゥゥ!!私と勝負しろ!!」


そう応援団並みの声で叫んで堂々と他人の窓を開けて入ってきたのは一人前より一歩足りないくノ一の名無しさん
やれやれとため息をはいて磨いていた刀を刀掛けへ戻す
冷静なソニックのその行動が気に入らないのか名無しさんはまたしても人見知りの犬のようにキャンキャン吠える
この女は村一番のおてんば娘でソニックの幼馴染だ
昔は私のほうが強かった、私のほうが速かったなどと耳にタコができそうなくらい毎日聞いているそんな言葉もうウンザリだ
大事なのは昔ではなく今だ。今はもう俺のほうが強いし速い、というのがソニックの本音だったが今更名無しさんにそんなこと言っても無駄だろう


「いい加減にしろ名無しさん。また痛い目に合いたいのか」

「うるさい!!私はお前に勝つまで諦めないんだから!!」


痛い目といってもソニックはかなり手加減をしてあげている
いくらウンザリしているとはいえ女性だし世話になった幼馴染だ
今回もソニックにとってはあくびがでるぐらいのスピードで決着をつけてやる
決着がついたにもかかわらずいまだにキャンキャン吠えている名無しさんにまたしてもため息がでる
もう何十年も付き合っている仲なので名無しさんの扱いには慣れていた


「･･･少し強くなったな。あともう少し腕の振りの無駄をなくせ」

「･･･!」


背景に花が咲いたように笑う名無しさんにソニックもため息まじりの笑みがでる
なんだかんだいいつつ昔コテンパンにされていた相手を逆立場に追い込むのは悪いことではない
明日もどうせ同じように来るのだろう


「そうやっていつまで俺にかまって欲しくて勝負に挑み続けてくるのやら」


ちょっと茶化してやろうと冗談を言ってやる


「はっ!?」


しかし思ってた反応と違った
名無しさんは顔を真っ赤にさせて女性なのにもかかわらず唾を飛ばしながら叫ぶ


「何言っちゃってるの!?別にソニックに構って欲しいとか、相手にして欲しいとか思ってないんだからこのニートォォォォォォ!!」


これまでに見たこともない速さで名無しさんは来た窓から戻っていった
しばらく時間が経ってから彼女の気持ちに気づいたソニックが彼女を追いかけてどうなったのかはまた明日の話である