ただいま、と言うとおかえり、と返してくれる幸せ
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「ちょっとゾンビマン。らしくないね」
「わりぃ・・・番犬マン」
「いつもよりグチャグチャじゃないか」
「あぁ。再生に時間かかりそうだから先に帰っててくれてかまわない」
「じゃあお言葉に甘えてそうするよ」
下半身から下がない
いつもなら腕が吹っ飛んだり、足がちぎれたりする程度なんだが今日はひどい
別に油断したわけじゃない
ただ、場所が悪かった
ここはでかい川が流れている土手だ
別に水が苦手っていうわけじゃない
川が苦手なのだ
再生に時間がかかりそうなので、少し寝ようと目をとじる
そして浮かぶのはいつもあの光景だ
「成功のようです」
「そうか。ならもうホルマリンに入れとかなくていいな。25号と同じ部屋にでも入れとけ」
「わかりました」
俺は無から作られた存在だった
だから名前も親も何もない
あるのは何をされても死なない体と実験の日々
今までホルマリンの中での生活だったが、こんどから部屋になるらしい
やっと、少しだけ人間になれる
「ほら、ここが今日から君の部屋だ。25号と一緒だ。仲良くするといい」
「・・・」
「・・・」
あの時お互い無言だったことをおぼえてる
最初に喋ったのはあっちだった
「えと・・・あの・・・初めまして」
「・・・」
人と喋る、ということがわからなかった俺はしばらく無言だった
「ここの部屋、本棚と布団しかないの。つまらないんだ」
「・・・」
それでもあいつはずっと俺に喋りかけてくれた
何回も何回も
「あ、名前まだだったね。私25号。あなたは?」
「・・・66号」
やっと俺は喋った
そうしたら嬉しそうに笑って
「そっか、よろしくね66号!」
それから、日にちが立つにつれ俺は喋るようになっていった
知らない言葉もあったりしたが、それを丁寧に教えてくれたりしてくれた
この部屋には本があるのでそれで勉強することがあるんだという
いつのまにか、過去のことまで喋れる仲にまでなっていた
「25号も嫌な運命になっちまったな。科学の力で生まれて、実験ばっかりで」
「あー・・・いや、私たぶんみんなとちょっと違うんだ」
「違う?」
「うん。ここのほとんどの人は人工受精で生まれたんだろうけど、私売られたんだ」
「は?」
「親にね。お金がなかったし口減らしにもなって一石二鳥だったんだろうね」
「・・・」
「そんな顔しないでよ66号。これでも私、充分充実してるんだから」
「はぁ?こんな実験ばっかでどこが充実してるんだよ」
「確かに実験は辛いけど、きちんとご飯は食べられるし、寝床もあるし。何より66号に会えてよかった」
「・・・お、おう」
「やだ照れてるのー?かっわいい」
「照れてねぇ!!」
25号との会話は楽しかった
「ねぇ、私25号じゃなくてきちんと名前があったんだよ。だから66号には名前で呼んでほしいな」
「いいぜ。なんていうんだ?」
「名無しさん」
「名無しさん、か・・・」
「どうせだから66号も名前で呼びたい!」
「俺にそんなもんねぇぞ」
「じゃあ私がつけてあげる。殺しても死なないから・・・ゾンビ・・・ゾンビマンとかどう?」
「ゾンビマンって・・・。まぁ、いいぜ。それで」
「へへー、ゾンビマン!」
「なんだ名無しさん?」
初めてもらい物をした
名前なんてどうでもいいと思ってたが、それがこんなにも嬉しいとは思ってなかった
呼んだり、呼ばれたりすることが嬉しい
ある日、実験から帰ってきたときのこと
「おかえり、ゾンビマン」
「おかえり?なんだそりゃ」
「なんかね、家に帰ってきたら言うセリフなんだって。家族みたいでいいなーって思って」
「ふぅん・・・」
「それでゾンビマンはただいまーって返すんだよ。ほら、やってみ?」
「ただいま。・・・これなんか意味あんのか?」
「さぁ・・・。けどなんかよくない?」
「・・・まぁ」
それから、実験から帰ってきたらおかえり、ただいまと挨拶するのが当たり前になっていった
言われると、あぁ自分は生きていてもいい存在なんだなと思った
「わりぃ・・・番犬マン」
「いつもよりグチャグチャじゃないか」
「あぁ。再生に時間かかりそうだから先に帰っててくれてかまわない」
「じゃあお言葉に甘えてそうするよ」
下半身から下がない
いつもなら腕が吹っ飛んだり、足がちぎれたりする程度なんだが今日はひどい
別に油断したわけじゃない
ただ、場所が悪かった
ここはでかい川が流れている土手だ
別に水が苦手っていうわけじゃない
川が苦手なのだ
再生に時間がかかりそうなので、少し寝ようと目をとじる
そして浮かぶのはいつもあの光景だ
「成功のようです」
「そうか。ならもうホルマリンに入れとかなくていいな。25号と同じ部屋にでも入れとけ」
「わかりました」
俺は無から作られた存在だった
だから名前も親も何もない
あるのは何をされても死なない体と実験の日々
今までホルマリンの中での生活だったが、こんどから部屋になるらしい
やっと、少しだけ人間になれる
「ほら、ここが今日から君の部屋だ。25号と一緒だ。仲良くするといい」
「・・・」
「・・・」
あの時お互い無言だったことをおぼえてる
最初に喋ったのはあっちだった
「えと・・・あの・・・初めまして」
「・・・」
人と喋る、ということがわからなかった俺はしばらく無言だった
「ここの部屋、本棚と布団しかないの。つまらないんだ」
「・・・」
それでもあいつはずっと俺に喋りかけてくれた
何回も何回も
「あ、名前まだだったね。私25号。あなたは?」
「・・・66号」
やっと俺は喋った
そうしたら嬉しそうに笑って
「そっか、よろしくね66号!」
それから、日にちが立つにつれ俺は喋るようになっていった
知らない言葉もあったりしたが、それを丁寧に教えてくれたりしてくれた
この部屋には本があるのでそれで勉強することがあるんだという
いつのまにか、過去のことまで喋れる仲にまでなっていた
「25号も嫌な運命になっちまったな。科学の力で生まれて、実験ばっかりで」
「あー・・・いや、私たぶんみんなとちょっと違うんだ」
「違う?」
「うん。ここのほとんどの人は人工受精で生まれたんだろうけど、私売られたんだ」
「は?」
「親にね。お金がなかったし口減らしにもなって一石二鳥だったんだろうね」
「・・・」
「そんな顔しないでよ66号。これでも私、充分充実してるんだから」
「はぁ?こんな実験ばっかでどこが充実してるんだよ」
「確かに実験は辛いけど、きちんとご飯は食べられるし、寝床もあるし。何より66号に会えてよかった」
「・・・お、おう」
「やだ照れてるのー?かっわいい」
「照れてねぇ!!」
25号との会話は楽しかった
「ねぇ、私25号じゃなくてきちんと名前があったんだよ。だから66号には名前で呼んでほしいな」
「いいぜ。なんていうんだ?」
「名無しさん」
「名無しさん、か・・・」
「どうせだから66号も名前で呼びたい!」
「俺にそんなもんねぇぞ」
「じゃあ私がつけてあげる。殺しても死なないから・・・ゾンビ・・・ゾンビマンとかどう?」
「ゾンビマンって・・・。まぁ、いいぜ。それで」
「へへー、ゾンビマン!」
「なんだ名無しさん?」
初めてもらい物をした
名前なんてどうでもいいと思ってたが、それがこんなにも嬉しいとは思ってなかった
呼んだり、呼ばれたりすることが嬉しい
ある日、実験から帰ってきたときのこと
「おかえり、ゾンビマン」
「おかえり?なんだそりゃ」
「なんかね、家に帰ってきたら言うセリフなんだって。家族みたいでいいなーって思って」
「ふぅん・・・」
「それでゾンビマンはただいまーって返すんだよ。ほら、やってみ?」
「ただいま。・・・これなんか意味あんのか?」
「さぁ・・・。けどなんかよくない?」
「・・・まぁ」
それから、実験から帰ってきたらおかえり、ただいまと挨拶するのが当たり前になっていった
言われると、あぁ自分は生きていてもいい存在なんだなと思った
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