師匠と弟子の人
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私のクレープ屋さんは、モバイルオーダーに対応していない。
今のところ私一人であるため、やることが多いと対応しきれない可能性があるからだ。
もう少し経ったらモバイルオーダーも受け付けるようにしたいものだが。
「ツナマヨクレープと、チリコンカンクレープ、あと、イチゴデラックスクレープとチョコバナナクレープを一つずつ。16時頃に取りにくるわね」
「かしこまりました」
こういった予約なら受け付けている。
わざわざ来てもらうのは申し訳ないが、今のところはこの予約方法が対応できる。
受け取り時間の30分前に、クレープ受付を一旦終了して、作るのに専念できるからだ。
それにしても、私も大分ヒーローには慣れてきたものだ。
今予約してきたのはA級ヒーローのオカマイタチだ。
目の前で見たオカマイタチは、女子として尊敬できる人であった。
肌にはシミもくすみも無く、赤ちゃんのように綺麗で、髪もCMで見るくらいツヤツヤだ。
うぅむ、私も気を付けなければ。
それにしても、4個も頼むとは。
道場の人たちと食べるのだろうか。一人で4個も食べないだろう。
しかししょっぱい物と甘い物をバランスが良いので、一人でも食べるのも可能性とはあるか……?
そして16時。
約束ピッタリの時間に彼らは来た。
オカマイタチだけではなく、他に三人のヒーローを引き連れてきた。
彼らの顔は知っている。
アトミック侍とイアイアンとブシドリルだ。
豪華な面々に目を見開く。
「予約ありがとうな、カマ」
「いえ師匠!」
「そうだぜ師匠。だってコイツは負けたんだからな」
「ンキー! 今日はちょっと調子が悪かっただけよ!!」
ブシドリルがアゴヒゲを触りながら言う。
察するに、何かで勝負して、負けて、罰ゲームとして予約係を任されたのだろうか。
ヒーローでも罰ゲームをやるのだなと思うと、微笑ましかった。
「こらお前ら。店の前で騒いだら迷惑だろう」
イアイアンが彼らを鎮めた。
この中で一番年下だろうに、一番しっかりしているとは。
さて、クレープも全て出来上がったことだし渡していこう。
正直、誰がどのクレープを食べるのか想像できなかった。
男性陣がしょっぱいクレープで、オカマイタチが甘いクレープというイメージだが、しょっぱいクレープと甘いクレープが2つずつである。
私の予想は、アトミック侍かブシドリルが意外と甘い物系なのではと想像している。
案外、歳を取っても甘い物が好きな人も多いのだ。
「ツナマヨクレープのお客様」
「はいよ」
受け取ったのはアトミック侍だ。
なるほど、ではブシドリルが甘い物系か?
「チョコバナナクレープのお客様」
「ありがとうねん」
受け取ったのがオカマイタチだった。
なん…だと…!? てっきり、イチゴデラックスクレープかと思っていたのに。
ブシドリルがこの生クリームモリモリクレープを食べるのか……胃もたれしてしまうのでは?
「イチゴデラックスクレープのお客様」
「ありがとうございます」
そう受け取ったのは、まさかのイアイアンだった。
エッと小さくマスクの中で呟いた。
このクレープを食べるのはイアイアンだと!?
強面なのに、生クリームモリモリクレープを食べるとはギャップがある。
彼のファンになってしまいそうだ。
「チリコンカンクレープのお客様」
「おう、ありがとな」
最後のクレープを受け取ったのは勿論ブシドリルだ。
意外な結果に、笑ってしまいそうだった。
「んもーブシドリルだも師匠も生クリームが美味しいクレープ屋さんなんだから、甘いのにすればよかったのに」
「なんだ知らないのか」
「歳を取ると、甘いものは」
「「胸やけと胃もたれがすごい」」
アトミック侍とブシドリルのハモった発言に、笑いを堪える。
まだそんなに歳を取ったように思えないんだけどな。
イアイアンは、そんなやり取りは聞かず、生クリームをむさぼっている。
か、可愛い……!!
営業が終わり次第、私はイアイアンのファンクラブがないか調べた。
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