子供と顔色の悪い大人
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「あれ、こんなところにクレープ屋さんがある」
声変わりのしていない声が聞こえる。
そちらの方を向くと、黒いランドセルを背負い、飴を舐めている子供がいた。
「もしかして、あのクレープ屋か?」
もう一つ、声が低い男性の声。
子供の隣には体格のいい、肌が青白い大人がいた。
2人はこちらを見ている。
顔を確認し、私は緊張が走った。
確かあの2人はS級ヒーローの童帝とゾンビマンだ。
驚いた、こんな公園に有名人が来るとは。
「ねぇーゾンビマンさん、クレープ食べたいなぁ」
「食えばいいじゃねぇか」
「食べたいなぁ」
「……」
童帝がうるうるとした瞳でゾンビマンを見る。
ゾンビマンはそっぽを向き、タバコを取り出す。
おそらく、童帝はゾンビマンの財布を期待しているのだろう。
子供の目に負けたのか、ゾンビマンはため息を吐きながらタバコをしまう。
タバコの代わりに取り出したのは、財布だ。
「一つ貸しだぞ」
「やったぁー!」
アマイマスクさんのおかげで、私のクレープ屋はその他のテレビ取材やヒーローも来てくれるようになった。
だが、S級ヒーロー相手はテレビ取材と同じぐらい緊張する。
目の前に立つゾンビマンは、風格があり少し怖さすらある。
「ジャンボチョコレートクレープ一つ!」
そんな怖さを和らげてくれたのは、童帝の注文の声だ。
かしこまりました、と言い、レジに打ち込む。
ゾンビマンは何か頼むのだろうか。
チラリと彼を見る。
眉間に皺を寄せ、メニューをじっくり見ている。
ビクビクしながら彼の注文を待つ。
「じゃあ、俺はバターシュガーで」
「かひゅこまりました!」
噛んでしまった。恥ずかしい。
そんな恥ずかしさを隠すようにクレープ作りを始めた。
「美味しい! 噂通りだね」
「確かに美味いな。お姉さんありがとな」
彼らがここのクレープ屋の常連になり、仲良くなるのはまた後日のことだった。
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