八話
夢小説設定
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「……ム」
名無しさんが横へよろめく。
「チッ。こんな時に……」
見れば名無しさんは鼻血を出していた。
「クソ」
銃を落とし、両手で頭を抱え始めた。
呻き、苦しそうだ。
紅い瞳が揺れている。足元がふらつき後ろへと下がっていった。
「い、一体……」
だがチャンスだ。立ち上がろうと足に力を込める
しかし上手く身体がいうことを聞いてくれなかった。
イアイアンは歯を食い縛り、アマイマスクは下唇を噛み締める。
すると、二人の耳に拍手が聞こえてきた。
二人がどこからその拍手が聞こえるのか音の元を探した。
すると、森の中から聞こえてくるようで、拍手音は近づいてきている。やがて、音は姿を現わす。
「はははは!すごいねぇ君たち」
暗い森から出てきたのはここには不似合いな白衣を着た身体の薄い男であった。
この男が誰なのかアマイマスクは血の間から見るが、記憶に一切無い。
イアイアンも同じなようであったが、突然目を見開く。
「お前……その紋章!?」
男には白衣の胸ポケットに、独特な紋章の刺繍がされてあった。
「おや、この紋章を覚えているのか。光栄だね」
男が刺繍を指差す。
「……ちょっと、どういうことなの」
話に置いてかれていたアマイマスクがイアイアンへ聞く。
「……あの紋章、見覚えがある。そうだ、あの、怪人だ……!」
脳の中心から思い出される。あの、名無しさんを置いてきてしまった、行方不明となってしまった出来事。
「ピンポーン!正解だ。じゃあ正解のご褒美にあの子がどうしてああなったのか教えてあげよう」
指差す先は、膝をつき、両手で必死に頭を抱え呻く名無しさんの姿。
ぼたぼたと鼻から垂れる血は土へと染みこんでいく。
二人は、自然と白衣の男の話を聞いていた。
立とうと思えば、立てたし、今なら名無しさんへの攻撃が当たることは確実であるはずなのに二人は怪我を言い訳に、男の話を聞く。
男は軽い調子で喋り始めた。
「君達はそこの森の奥にある”大鬼木”を知っているだろう?」
疑問の言葉を投げかけられたのに二人は答えない。
「大鬼木には、かつて悪鬼と恐れられた鬼が息絶えた場として有名な伝説があるだろう。でも、それは伝説ではなかったんだよ!鬼は!かつて本当に存在していた!」
目に興奮をうつして話す。
「大鬼木を、調べてみたら赤い筋が一本あるのに気づいた。さらに調べたら鬼の血液だったんだよ!!わかるかい?伝説の鬼が存在し、しかもその後が残っていた時の興奮が!私はその筋を切り取り、鬼のDNAを採取することに成功した。そこからはわかるだろう?この世に、私は鬼を甦らす!!」
両手を広げ楽しくて楽しくて、仕方ないようだ。
「貴重なDNAだからね、そんなポンポン試すわけにはいかない。だから屈強な男で鬼のDNAをいれ、人間を鬼に変えようとした。だが、人間に鬼の強さは耐えられなかったようで試した二人は失敗。それが、この前君がやられそうになっていた怪人だよ。怪人の様子を見に行ったら、ボロボロの名無しさん君がそこにいるではないか!自分はチャンスだな、と思った。まぁ名無しさん君は身体が貧弱だがヒーローであるし、何より精神力が強い。ボロボロとなった名無しさん君を連れ去るのは私一人でも容易くできてしまったよ。名無しさん君にDNAを投与してみた。しばらく様子を見てたけど、まぁあの子の悶絶と絶叫の姿は目を逸らしたくなっちゃったね。けど……成功した!私は現世に鬼を復活させることに成功したんだよ!DNAは人間の身体の脊髄に寄生する。その後は脳への侵食が始まるのさ。それに伴い激痛が走るらしいね。それがあの姿だ」
あの姿、とはもちろん今の名無しさんの姿。
苦痛の表情を浮かべ汗まで垂らす名無しさんであった。
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