七話
夢小説設定
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「……」
アマイマスクは美しい顔に歪みを作っていた。名無しさんが失踪してからというもの彼は死に物狂いであった。
彼はもう何日寝てないだろうか。
原因もわからない行方不明に協会側も頭を抱え匙を投げ出したくなっていた。
それはそうだ。
だって協会は今日も出現する怪人の対処に忙しいのだ。
そんな人一人探すことになど構って入られない。
協会側が動かないなら自分たちが動くしかない。
そう思うアマイマスクはA級を集め、話し合いをし、名無しさんの行方を捜している。
だが、情報は何一つ入ってはこない。
情報がなければ探すあてもない。みんな頭に血が昇っている。
「もうこんなことしても意味がないのでは」
誰かが呟いた。
言葉は空気に消えたと思われた。
が、ヒュッと何かが長いテーブルに落ちる。テーブルはヒビが入り向こう側まで行くと、真っ二つに割れた。
「「「……!!」」」
アマイマスクが踵を落としたのだ。
それだけでこんなに大きなテーブルが割れるとは。
「いいから、見つけるぞ」
アマイマスクの顔にいくつもの筋が浮かび上がる。
その場が凍てついた。
まだ煙が上がるその場から静かに足をどける。それと同時に顔の筋も治まった。
アマイマスクはみんなに背を向け、映し出された地図を見た。
最後に名無しさんが目撃された場所にはバツ印。
「どこに行ったんだ」
呟くと、ポケットから音が鳴る。見れば「非通知」の表示。
普段俳優など表立ったことをしているアマイマスクはイタズラの電話がかかってくることもしばしばあるので電話に出ることは無い。
だがこの時は頭に血が昇っていることもあり電話にでてしまった。
「もしもし」
「……アマイ」
「!!」
電話の向こうの相手はずっと捜していた、求めていた、軍人貴公子である。
アマイマスクは信じられなかった。
「本当に、君なのか?」
「……」
名無しさんは喋らない。けれどアマイマスクは気にしていなかった。
「今どこにいるんだ?何してる?」
「今……は」
「君が今何してようと関係ないから帰ってこい。今自分がどんな状況にあるのかわかっているのか」
言葉は責めるもののアマイマスクは安心していた。
名無しさんが無事であることに、生きていることに。
いくら強くても最悪のケースはあり得る。
アマイマスクの口元には微かに笑みが作られる。
後は名無しさんが自分の前に現れてくれればもう他に何もいらない
「助けて」
そんなか細い声に、顔が動いた。
「……助けて」
聞き間違えではない。
確かに助けて、と言っている。アマイマスクは眉をしかめた。
「どういうこと?君、今どこにいるの」
「今Z市の……」
居場所を聞けば、そこはZ市のはなれではないか。
どうしてそんなところに。と思ったが今は深く考えている暇はない。
「わかったすぐ行く」
「ありがとう。それと、みんなで来てくれないか」
何故、聞こうと思ったが声を出す前に電話を切られてしまった。
少しの間呆然と携帯を眺める。一体何なのだろうか。
疑問を胸に抱きながら、A級全員で名無しさんの言った場所へと行った。
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