二話
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「こっちだ!みんな!!」
イアイアンを先頭に後ろの者も急ぐ。
彼らはA級でも引けを取らぬ腕の持ち主だ。
すぐに連絡が取れたのが、ブシドリル、テジナーマン、スティンガー、大哲人とは心強い。
このメンバーでならあの怪人を倒せるだろう。
しかし広い野原にいたのは、いや、そこには誰もいなかった。
あるのは、怪人の死体が二つ。
他には何もないし誰もいない。
葉のこすれる音が静かにみんなの耳を通るばかりだ。イアイアンは戸惑い、その場から動けない。
「おい!どこにいるんだ!」
イアイアンが叫ぶが、返事は自然の音ばかりである。
ブシドリルが死体となった怪人を見た。
怪人の身体には複数の弾丸の痕、赤い斜めの線。銃と刀の傷だ。
あきらかに名無しさんが倒したはずだ。
けれど肝心の本人がどこにもいないのだ。貴公子を探し、空が不気味に赤くなってもとうとう名無しさんは見つからなかった。
それから、何日経っても、何週間経っても名無しさんの影すら見当たらない。
ついに彼は行方不明とした扱われた。
協会も名無しさんを本腰を入れ行方を捜した。
名無しさんの行方は、髪一本すら掴めそうにないようだ。
S級もA級も気が気ではなくなる。
イアイアンにいたっては、血の気のない顔が毎日であった。
「俺のせいだ・・・俺のせいでっ・・・」
誰も、何も言える立場ではない。
イアイアンの責任感、ヒーローとしてのプライド。
そして何より、名無しさんとイアイアンの絆だ。励ましの言葉なんて浮かぶわけが無い。
みんな、彼の肩に手を置くだけであった。
名無しさんが行方不明になってから三ヶ月が経った。
そこで吉報が。なんと名無しさんが見つかったのだった。
発見されたのはZ市。
見つけたのは、S級ヒーロージェノスであった。名無しさんの様子はやつれてはいるが、特に見た目は大きな怪我はなさそうだ。
ジェノスはいち早く協会へと連絡を入れ、名無しさんは今A市の協会本部で療養中らしい。
腕にチューブを繋がれ、点滴を打っている最中協会のスタッフなどに話を詳しく聞かれる。
何故、行方不明となったのか?その間何をしていたのか?どうしてZ市にいたのか・・・質問は様々だ
だが貴公子が答えられた質問は一個も無い。
「いや・・・・・・本当によく覚えてないんだ。すまん・・・」
頭を抱える。
だが、いい。名無しさんが帰ってきて、無事なら良いではないか。
「へへ良かったぜ!お前とボウリングする約束してたもんな」
涙目でイナズマックスが言った。名無しさんは笑う。
良かった、戻ってきてくれて
騒ぎとなっていた名無しさん行方不明の事件はやがて静かとなった。
その後、名無しさんは大変な思いをさんざんしていた。
アマイマスクには鬼のように怒られ、師のフラッシュには甘やかされ、タツマキには暴言を吐かれつつ心配され、ジェノスには毎日お見舞いに来てもらい、ゾンビマンには抱きしめられ・・・。
名無しさんの無事を誰よりも願っていたイアイアンは泣きながら何回も謝罪していた。
泣いていたのは彼だけではない。名無しさんの友人達、みんな彼が無事であったことに泣いていた。
大袈裟だな、みんな。なんて名無しさんは笑っていたが内心は嬉しく思っていたのであった。
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