第91話 強くなってやるんだから、君よりも
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「(強い……!)」
最初にガロウを観察したのはアマイマスクだ。
しかし、観察していた者は消えた。
『"イケメン仮面アマイマスク"ヒーローは美しくあるべき?』
ガロウがいつの間にか、アマイマスクの後ろにいた。
「アマイ……!?」
名無しさんが驚きの声を上げる。
アマイマスクは名無しさんの声とは正反対に冷静だ。
手に力が集まる。この距離ならば殺せると。
力が集まるのは全身だ。美しい顔に覚悟を出す。
ボッ
音がなるほどの裏拳は、空気を切っただけ。
そこから、ガロウは動き始めた。
一人一人のヒーローに嫌味と現実を配る。
しかし、何故だろうか。アマイマスクの隣にいた名無しさんに声をかけなかったのは。
名無しさんは、大切な友人が踏みにじられていても動けなかった。
ガロウを、ただ見つめるだけ。
全員がガロウを畳みかけ、反撃されても名無しさんは動けない。
あれがガロウだと信じたくなかったから。
地下からフラッシュが出てきても、名無しさんはガロウを見つめる。
『デザートは"閃光のフラッシュ"か……。今夜は豪華だな』
名無しさんが動いたのは、閃光のフラッシュが最後に攻撃してから。
誰も立ち上がらず、意識を失ってから。
立ち上がる。震える手で刀を握った。力を入れろ、脚に。
『あ゛……?』
ガロウがやっと名無しさんを見た。
『あぁ、お前か。雑魚すぎて見えてなかったぜ』
「……!」
名無しさんが刀を振るう。ガロウは避けない。
確かに、刃がガロウの肩に触れている。
しかし血すら出ていない。
ガロウが名無しさんの刀を折る。
そして、顔に一発。
名無しさんは風船のように吹っ飛んだ。
ガロウは自身の拳を見る。どうして、本気を出さなかった?
「ガ……ロ……」
立ち上がる名無しさんを、今度は踏みつぶした。
何度も、何度も、何度も。
どうして、手を抜いてしまうのだろう。どうして、力が入らないのだろう。
コイツは、だって、
思ったことを口にする、
『テメェは裏切りもんのクソ野郎だ!! 楽しかったか? 過去の俺を嘲笑い! 馬鹿にして!! クソヒーローになってよぉ!! テメェなんか友達なんかじゃッ……!!!』
ガロウは足を止める。名無しさんがとうに動かなかったから。
動かない名無しさんの首を掴む。
片方の手で胸に手を当てた。かすかに、静かに、まだ動いている。
名無しさんの口がかすかに動いていた。何か言っている。
耳元に、名無しさんの口を近づけた。
「ごめ……ね……」
謝罪。その言葉は、ガロウにとって一番腹が立ち、聞きたくない言葉。
名無しさんを地面へ叩きつける。
これで死んだか。清清した。
名無しさんの手が痙攣し、やがて動かなくなった。
ガロウはそれを見届け、他のヒーロー達を見た。
『最後だ、立て!』
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