第9話 隣にいてくれると安心するんだ
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「なぁゲンジ」
「なんだ名無しさん」
「お前がさ、隣にいてくれると安心するんだ」
「……」
「ごめんって! だからスタンロッドしまってくれ!!」
思わず出てしまった言葉に、ゲンジは怒りを抑えられない。
言葉だけ見れば綺麗であろう。しかし、名無しさんが本当に言いたいことを理解してしまった。
そんなゲンジに何度も謝罪し、怒りを収めた。
名無しさんとゲンジは協会内の休憩室にいた。
2人で怪人を倒し、報告書を提出して許可待ちである。
立ったまま会話していて、ふとゲンジが自分より小さいことを改めて感じて、感謝した。
「どうやったら背伸びるんだろ……」
名無しさんがため息交じりに言う。
ゲンジはその言葉に共感するばかりだ。
身長が小さいと、スティンガーやイナズマックスに馬鹿にされるばかり。
屈辱ばかり味わされる。
グッと拳を握り、馬鹿にされた言葉を思い出してしまう。
「早寝って本当に背伸びるのだろうか」
ゲンジが持っている牛乳を飲みながら言う。
「うーん……俺いつも10時に寝てる」
「早いな。だがその身長を見るに……」
「う、うるせぇ!!」
早寝早起きは大事! と大きな声で言ってしまう。
咳払いをして冷製さを取り戻した。
「牛乳いっぱい飲むのもなぁ」
「俺は腹壊した」
「でも……」
ゲンジの持っている飲み物を指差した。
お腹を壊すリスクと、もしかして身長が伸びるかもしれないリターン。
あまりにも釣り合っていないリスクとリターンだけれども、ゲンジはリスクを承知でリターンを取っている。
そういえば、この間ゲンジがトイレに籠っていたのを思い出す。
「なんかビタミンCと一緒に取ると良いって聞いたことある」
「そうなのか」
ゲンジがさっそく、近くに合った自販機でオレンジジュースを買った。
牛乳とオレンジジュース。誰が見ても良い組み合わせとは言えない。
思わずウヘェ、と名無しさんが言ってしまった。
それはそうだよな、と買ったオレンジジュースを名無しさんに渡す。
「サンキュ。ま、コツコツと頑張ろうぜゲンジ」
「そうだな。あと10センチ伸ばしてみせる!」
そんな事を話していると、協会のスタッフに呼ばれた。
報告書の受理も終わったようだ。
持っている飲み物を、全て飲み協会の出入り口へと向かった。
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