第88話 炭団に目鼻。蓼食う虫も好き好き
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「ちょうど落っこちた所でテメーと会えて良かった」
ガロウがサイコスを挑発する。
しかしサイコスはそんな挑発には乗らずに、淡々としている。
まるで、虫にでも話しかけるように。
実力でいえば、ガロウはサイコスに勝てただろう。サイコスの弱点も見抜いた。
しかし、ガロウはまだ齢18だ。
心理と言葉による挑発は、ガロウにとっての弱点と言えただろう。
「キミ……ポチを引き付けている間に子供をうまく逃がしたつもりでいるようだが、その子供は未だ上にウロウロと迷っているぞ」
「何だと?」
「それに、名無しさんも大怪我を負っている。残念ながら怪人に見つかって処理されるだろうな」
「!!」
ガロウの弱点は、挑発だったか。それとも、名無しさんか。
ガロウにとって、どうでもいい、裏切り者で、倒すべきヒーローで、憎むべき相手なのに。
名無しさんが怪人に倒される?
それを聞いて全身の毛が逆立ち、頭に血が上ってしまう。
その隙がいけなかった。怒りで目の前しか見れなかった。
ドムッッ
ガロウの周りの地面が、ガロウごと下に凹む。
まるで、そこだけ重力が重くなったように。
「気を抜いたな。瞬間的にキミ周辺の重力をウンと上げた」
ガロウが人の形を保っているのは、流石怪人というべきか。
意識が飛び、ガロウは動けない。サイコスはそんなガロウを見下ろす。
サイコスはすぐに目線を変え、ここへ来ている客に意識を向ける。
「ふん、どちらが生き残るか…」
ヒーロー協会と怪人協会の戦いが、始まった。
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