お前のためにできることはハンバーガーを食すことだけ
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「お前に頼み事がある」
そう、イナズマックスに真面目な顔をして言われたものだからお茶を飲む手を止めてしまった
ずいぶん都合よく、珍しく二人っきりになったなと思えば話が合ったからであったか
まったく気づかなかった
「いいぜ。どうした」
「くぅ・・・本当はこんなことを頼むのは恥ずかしいことだとはわかっている。けど・・・。・・・みんなには内緒にしててくれ。男の約束だ」
「わかった」
”男”の約束という言葉に少し罪悪感を感じながらイナズマックスの話を聞くことにした
イナズマックスは俺と正面を向き合っていたが、視線は下斜めを向いてしまった
よほど言いにくいことなのだろうか
こうして友人が腹を割って、しかも勇気をだして悩みを打ち明けようとしてくれているのだから俺もそれなりの心持で聞いてあげなくては
自然と背筋が伸びる
「実はな、これは約二週間ほど前の話・・・・・・」
「あ、そういう感じでくる?」
イナズマックスが話を始めた
そう、その時俺は昼食に少しおしゃれなハンバーガーショップに行ったんだ。
メニューを注文し、席についていた
すると隣で女の人が転んだ。そう、持っていた飲み物を床にぶちまけながら
「あ、大丈夫ですか?」
「ごごごごめんなさい・・・!!ありがとうございます!」
「いやそれはいいんだけどよ。怪我は?」
「なさそう・・・です」
「そっか。店員さん呼んでくるから待っててくれ」
「あ、ありがとうございます!」
「・・・・・!!」
今でもあの笑顔は忘れられない
重苦しい曇天の夜に、雲の切れ間から一つだけ輝く星を見つけたかのような・・・そんな気持ちになったんだ
その日から俺はそこのハンバーガーショップに通うようになった
彼女はそこが行きつけらしい
俺たちは次第に仲良くなり――そして今、彼女からデートを誘われた!
「・・・というわけなんだ」
「なるほど」
まるで漫画のような出来事だ
案外ヒーローという職業に就いているものはそういった異性と関係を築くのは難しい
いつ怪我をしたっておかしくないし、優先しなくてはいけないのはいつだって市民の安全だ
そういう条件をすべて飲み込み、関係が発展するというのは珍しいことなのだ
現在A級ヒーローでも彼女がいるのはわずかなのはそれが原因だ
上位になればなるほど、人気は上がるが心を預ける異性はいなくなる
しかし人間は、本能的にそういった関係を欲してしまう生き物だ
イナズマックスも彼女が欲しいと、好んでもらいたいと思うのも当たり前である
「・・・で、今の話でなんで俺の協力が必要なんだ?」
「え、えぇと・・・その、あのよぉ・・・」
まるで女の子みたいに、視線を斜め下にしもじもじするイナズマックスを見て帰ろうとした
残念ながら肩を掴まれたので帰れない
「頼む名無しさん!!明日のデートついてきてくれねぇか!?」
「は?」
「いやマジ俺一人じゃ不安なんだって死にそうなんだって無理」
「何女っぽいこと言ってんだよ!?男なら頑張れよ!?」
「だって嫌われるようなことしちまうかもしれねーだろ!?そこでお前のフォローが」
「俺だってそういう経験ねーし!?他の奴らに頼めば・・・あっ」
そこでやっと気づく
他の奴らと言ってもまともな奴がいないことを
スティンガーは気遣いができないだろうし
イアイは女性が得意ではない
ゲンジはそういうのは得意じゃない、と断られたそう
・・・つまり頼れるのは俺だけになる
「頼むよぉ名無しさん・・・お前しかいないんだよぉ・・・」
ううむどうするべきか
俺だって一回も女性経験などしたことないし、何をしていいのかわからない
けれど友人のイナズマックスの良い所はたくさん知っている
なら・・・それをその彼女に伝えることぐらいはできるのではないだろうか
「あー・・・わかったよ。明日のデート、付き添うよ」
「マジ!?サンキュー!!」
「その代わり何か奢れよ」
「オッケーオッケー!なんでもこい!!」
とても喜ぶイナズマックスに、子供かよ、と思う反面自分も頑張ろうと意気込む
友人の頼みだ。断れない
イナズマックスの晴れ舞台に協力してやろうじゃねぇか
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