昼間の屋上で彼女とお弁当食べるのが夢でした
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鉄の臭いが鼻の粘膜を刺激する
それに比例するように真っ赤な景色が俺の視界を支配する
血だまりにたたずむアマイマスクは気にしてないようにこちらへ振り返った
頬には血がついている
一歩、近づいて、また一歩こちらへ来た
歩くたびにピチャリ、と嫌な音が鳴った
返り血で服がほぼ汚れてしまっているにも関わらずアマイマスクのその姿は美しかった
まるで悪魔のインキュバスのようである
「さぁ、それをこちらへ寄こすんだ」
差し出された血で染まった手
指先から血が滴り、床へ落ちる。これだけでも美しさが人を惑わすようだ
どうしてこうなってしまったのか
瞼を閉じ、意味がない逆再生を脳内で繰り返した
事の発端はちょうど三時間前
十時半というお昼より少し早めの時間のことであった
「あ~これどうしよう・・・」
そんな風に唸る俺の前には二つのお弁当箱
大きいサイズと普通のサイズだ
もちろん俺がこんなに食べるわけないので、大きいサイズは別の人のために用意したものである
今俺が座っている四人用のテーブルには俺一人
周りからみたらなんと寂しい光景だろうか
幸い、ピークの時間帯ではないため人はあまりいない
誰かと一緒に食事をするわけでもないので、普通のサイズのほうのお弁当を開いて食べる
自分で作ったものだが、中々のできだ
それはそうだ。今日は張り切って作ったのだから
いつもは甘く作るはずの卵焼きも今日は塩で作った
肉も多めにいれたし、温かい味噌汁もわざわざ持ってきたのに
では何故大きいサイズのお弁当箱があるのか、卵焼きをしょっぱく作ったのか説明させてもらおう
以前、協会の食事場でみんなと飯を共にしていた時俺はお弁当だった
お前はそうやって贅沢をする、とサイタマにイヤミみたいなことを言われたので少しでも節約しようと思ってのことだった
その時にイアイが「美味そうだな」と言ってくれたので今度作ってきてやるよ、という約束をしたのだ
それが今日である
しかし
「怪人が出たらしいから行ってくる。・・・すまない、せっかく作ってきてくれたのに。楽しみにしていたのだが」
「いやいや気にすんな。ケガするなよ!」
「あぁ。ありがとう」
そうして電話を切った
つまりこの大きいサイズのお弁当は本当はイアイの分だった
仕方ないことだ。怪人が出たということならば約束があろうが出動しなければならないのがヒーロー
でも問題はこのお弁当はどうするか、ということである
きっと家に帰る頃には腐っているだろうし、捨てるのも勿体無い
自炊してる人はわかると思うが、自分で作ったものを捨てるというものはなんとも悲しいことである
誰かにあげようかと思い携帯で友人達の名前を見る
「ながら食事はよくないぜ?名無しさん」
「!」
横から声がしたのでビックリして携帯を落としてしまった
すぐに拾おうとしたらすでに拾ってくれてテーブルに置いてくれた
「あ、ありがとうございますゾンビマンさん」
「携帯割れなくてよかったな」
青白い肌をしているがいつも通り元気そうなゾンビマンさんはいつのまにか隣にいた
若干ビビる俺
ゾンビマンさんは俺のことを見ていたが、視線はお弁当のほうへ行った
「この量食べるのか?」
「まさか。そんなに食べれませんよ」
いつのまにか隣に座りお茶まで飲んでいたゾンビマンさん
ま、まぁ四人用のテーブルを一人で使っているのも悪いしいいだろう
距離が近いのはどうにかして欲しいが
俺が手を動かしてしまったら触れてしまいそうだ
お弁当の件を説明するとゾンビマンさんはなるほどな、と言ってお茶のおかわりを淹れた
「なぁ、もし捨てるんだったら俺にくれないか?その弁当」
少し悩んだが、いいですよと言った
どうせ誰か呼んでも同じだろうし
うわ、ゾンビマンさんの眩しい笑顔
イアイも怪人討伐した後は報告書やらなにやらを書かなくてはいけないので一緒にご飯を食べることはできないだろう
ぼっち飯も寂しいところだったし
熱っぽい視線さえ気にしなければゾンビマンさんもいい人だ
食事を一緒にするのは悪くないだろう
ゾンビマンさんへお弁当を手渡しする
すると、お弁当はゾンビマンさんの手に渡る瞬間消えた。上へ
「えっ、あれ。・・・あっ」
見上げてみると、そこには無表情だが威圧を放っているアマイマスクがいた
ちょうど俺とゾンビマンさんの間に立っている。奪ったお弁当箱を持って
お前いつのまにそこにいたんだよ
ていうか弁当返せよ
「おいこらテメェアマイマスク。さっさとその弁当寄こせ」
「・・・」
どうやらゾンビマンさんと同じことを思ってたみたいだ
アマイマスクはゾンビマンさんを無視している
ゾンビマンさんはさっきの笑顔は消え去り、眉をこれでもか、というほど中央に寄せていた
まるでヤンキーである
アマイマスクはゾンビマンさんをいないかのように扱い、俺のほうへ向いた
「名無しさんが作ってきたんだって?このお弁当」
「まぁ・・・」
「フッ、仕方ない。君の料理の腕がどれほどのものか僕がみてあげよう。だからこれは僕がもらう」
「あ゛ぁ!?」
ガタッと椅子をならし立ち上がるゾンビマンさん
お互いそんなに身長差はないので、自然と目と目がバッチリ合う
睨み合っていて、今すぐケンカと言う名の導火線に火がつきそうだった
二人の間に割って入りたいけれど、無理です。だって怖いし
アマイマスクとか俳優の顔じゃないぞ
ゾンビマンさんもヒーローなのだから極道みたいな顔やめましょうよ
怖いと先ほど述べたが、本音の六割ぐらいは面倒だからだ
両者の睨み合いはどちらも引いていない
むしろ押している
「ふざけんな俺が最初にもらったんだよ」
「別に言った者勝ちじゃない」
「せっかくの名無しさんの愛のこもった弁当なんだぞ。それをテメェに渡すもんか」
「君は不死身なんだろう?だったら何食べても大丈夫なんだからその辺の草でも食べていたまえ」
みなさん聞いていますか。これがみんなの憧れるヒーロー達のケンカです
これがもし学生ヒーロー達のケンカであったなら百歩譲っていいだろう
しかしこの人達はいい歳した大人である
弁当一つでケンカするなんて世の中物騒なものだ
残念ながら俺はこの場を平和にできるほどの力量は持っていない
「上等だ。今から俳優業はしばらく休止って電話入れとけ」
「フン。君こそ清掃員を呼んでおくんだな。肉の破片をここに残さないようにな」
ゾンビマンさんがコートの裏側から拳銃を取り出す
銃の焦点はアマイマスクのこめかみだ
アマイマスクはお弁当をテーブルに置き貝殻のような手をコキキ、とならしている
そして俺は頭を抱えた
どうしてこうなるんだ。俺は何も悪いことはしていないはず
発砲音が響いた
しかしその音にかき消すように、すぐに肉が引き裂かれるような音がなる
視界の端に見えた人間の腕
あぁもう嫌だ。後ろ絶対振り返りたくない
俺は食べていた弁当を包みなおした
今この状況で飯食える人がいるのならば見習って弟子にしていただきたい
それに比例するように真っ赤な景色が俺の視界を支配する
血だまりにたたずむアマイマスクは気にしてないようにこちらへ振り返った
頬には血がついている
一歩、近づいて、また一歩こちらへ来た
歩くたびにピチャリ、と嫌な音が鳴った
返り血で服がほぼ汚れてしまっているにも関わらずアマイマスクのその姿は美しかった
まるで悪魔のインキュバスのようである
「さぁ、それをこちらへ寄こすんだ」
差し出された血で染まった手
指先から血が滴り、床へ落ちる。これだけでも美しさが人を惑わすようだ
どうしてこうなってしまったのか
瞼を閉じ、意味がない逆再生を脳内で繰り返した
事の発端はちょうど三時間前
十時半というお昼より少し早めの時間のことであった
「あ~これどうしよう・・・」
そんな風に唸る俺の前には二つのお弁当箱
大きいサイズと普通のサイズだ
もちろん俺がこんなに食べるわけないので、大きいサイズは別の人のために用意したものである
今俺が座っている四人用のテーブルには俺一人
周りからみたらなんと寂しい光景だろうか
幸い、ピークの時間帯ではないため人はあまりいない
誰かと一緒に食事をするわけでもないので、普通のサイズのほうのお弁当を開いて食べる
自分で作ったものだが、中々のできだ
それはそうだ。今日は張り切って作ったのだから
いつもは甘く作るはずの卵焼きも今日は塩で作った
肉も多めにいれたし、温かい味噌汁もわざわざ持ってきたのに
では何故大きいサイズのお弁当箱があるのか、卵焼きをしょっぱく作ったのか説明させてもらおう
以前、協会の食事場でみんなと飯を共にしていた時俺はお弁当だった
お前はそうやって贅沢をする、とサイタマにイヤミみたいなことを言われたので少しでも節約しようと思ってのことだった
その時にイアイが「美味そうだな」と言ってくれたので今度作ってきてやるよ、という約束をしたのだ
それが今日である
しかし
「怪人が出たらしいから行ってくる。・・・すまない、せっかく作ってきてくれたのに。楽しみにしていたのだが」
「いやいや気にすんな。ケガするなよ!」
「あぁ。ありがとう」
そうして電話を切った
つまりこの大きいサイズのお弁当は本当はイアイの分だった
仕方ないことだ。怪人が出たということならば約束があろうが出動しなければならないのがヒーロー
でも問題はこのお弁当はどうするか、ということである
きっと家に帰る頃には腐っているだろうし、捨てるのも勿体無い
自炊してる人はわかると思うが、自分で作ったものを捨てるというものはなんとも悲しいことである
誰かにあげようかと思い携帯で友人達の名前を見る
「ながら食事はよくないぜ?名無しさん」
「!」
横から声がしたのでビックリして携帯を落としてしまった
すぐに拾おうとしたらすでに拾ってくれてテーブルに置いてくれた
「あ、ありがとうございますゾンビマンさん」
「携帯割れなくてよかったな」
青白い肌をしているがいつも通り元気そうなゾンビマンさんはいつのまにか隣にいた
若干ビビる俺
ゾンビマンさんは俺のことを見ていたが、視線はお弁当のほうへ行った
「この量食べるのか?」
「まさか。そんなに食べれませんよ」
いつのまにか隣に座りお茶まで飲んでいたゾンビマンさん
ま、まぁ四人用のテーブルを一人で使っているのも悪いしいいだろう
距離が近いのはどうにかして欲しいが
俺が手を動かしてしまったら触れてしまいそうだ
お弁当の件を説明するとゾンビマンさんはなるほどな、と言ってお茶のおかわりを淹れた
「なぁ、もし捨てるんだったら俺にくれないか?その弁当」
少し悩んだが、いいですよと言った
どうせ誰か呼んでも同じだろうし
うわ、ゾンビマンさんの眩しい笑顔
イアイも怪人討伐した後は報告書やらなにやらを書かなくてはいけないので一緒にご飯を食べることはできないだろう
ぼっち飯も寂しいところだったし
熱っぽい視線さえ気にしなければゾンビマンさんもいい人だ
食事を一緒にするのは悪くないだろう
ゾンビマンさんへお弁当を手渡しする
すると、お弁当はゾンビマンさんの手に渡る瞬間消えた。上へ
「えっ、あれ。・・・あっ」
見上げてみると、そこには無表情だが威圧を放っているアマイマスクがいた
ちょうど俺とゾンビマンさんの間に立っている。奪ったお弁当箱を持って
お前いつのまにそこにいたんだよ
ていうか弁当返せよ
「おいこらテメェアマイマスク。さっさとその弁当寄こせ」
「・・・」
どうやらゾンビマンさんと同じことを思ってたみたいだ
アマイマスクはゾンビマンさんを無視している
ゾンビマンさんはさっきの笑顔は消え去り、眉をこれでもか、というほど中央に寄せていた
まるでヤンキーである
アマイマスクはゾンビマンさんをいないかのように扱い、俺のほうへ向いた
「名無しさんが作ってきたんだって?このお弁当」
「まぁ・・・」
「フッ、仕方ない。君の料理の腕がどれほどのものか僕がみてあげよう。だからこれは僕がもらう」
「あ゛ぁ!?」
ガタッと椅子をならし立ち上がるゾンビマンさん
お互いそんなに身長差はないので、自然と目と目がバッチリ合う
睨み合っていて、今すぐケンカと言う名の導火線に火がつきそうだった
二人の間に割って入りたいけれど、無理です。だって怖いし
アマイマスクとか俳優の顔じゃないぞ
ゾンビマンさんもヒーローなのだから極道みたいな顔やめましょうよ
怖いと先ほど述べたが、本音の六割ぐらいは面倒だからだ
両者の睨み合いはどちらも引いていない
むしろ押している
「ふざけんな俺が最初にもらったんだよ」
「別に言った者勝ちじゃない」
「せっかくの名無しさんの愛のこもった弁当なんだぞ。それをテメェに渡すもんか」
「君は不死身なんだろう?だったら何食べても大丈夫なんだからその辺の草でも食べていたまえ」
みなさん聞いていますか。これがみんなの憧れるヒーロー達のケンカです
これがもし学生ヒーロー達のケンカであったなら百歩譲っていいだろう
しかしこの人達はいい歳した大人である
弁当一つでケンカするなんて世の中物騒なものだ
残念ながら俺はこの場を平和にできるほどの力量は持っていない
「上等だ。今から俳優業はしばらく休止って電話入れとけ」
「フン。君こそ清掃員を呼んでおくんだな。肉の破片をここに残さないようにな」
ゾンビマンさんがコートの裏側から拳銃を取り出す
銃の焦点はアマイマスクのこめかみだ
アマイマスクはお弁当をテーブルに置き貝殻のような手をコキキ、とならしている
そして俺は頭を抱えた
どうしてこうなるんだ。俺は何も悪いことはしていないはず
発砲音が響いた
しかしその音にかき消すように、すぐに肉が引き裂かれるような音がなる
視界の端に見えた人間の腕
あぁもう嫌だ。後ろ絶対振り返りたくない
俺は食べていた弁当を包みなおした
今この状況で飯食える人がいるのならば見習って弟子にしていただきたい
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