第7話 真摯的な振る舞い。すごく、すっごく大事
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「なぁなんでヒーローって対話できないやつ多いんだと思う?」
「あー……まぁ、分かるぞ。しかも話聞いてくれないしな……」
「だよな、だよなぁ!!」
ファミレスでA級2位と3位がジュースを飲みながら話し合っている。
名無しさんの言うことにイアイアンは頷くし、逆も然りだ。
ヒーローをやっていて大変なことを話し合えるのはイアイアンだけであった。
ヒーローは大変だし、辛いけれど、名無しさんがヒーローを続けている理由はイアイアンのおかげでもある。
「イアイ……俺はお前みたいな友人ができて幸せだ……」
「どうしたいきなり。まぁ、俺も名無しさんに会えて良かった」
あまりにもカッコいい発言に、名無しさんの胸がキュンと締まる。
何がイケメン仮面アマイマスクだ。イアイアンのほうがそのヒーロー名が相応しいとすら思ってしまう。
世間は不思議と、名無しさんとイアイアンを邪な目で見ない。
一番長く隣にいるのに、よく遊んでもいるのに、何故なのか。
「この前もオカマイタチが怪人に惚れて大変だった……」
「大変だな、そっちも」
名無しさんとイアイアンの共通点は多い。
順位が近いのでよくタッグを組むし、武器が刀ということもあり、ヒーロー活動でも一緒だ。
手合わせだってする。
何より一番の共通点は、
「「ヒーローって大変だな」」
この気持ちが分かってくれるということ。
命を懸けることが大変なのではない。人間関係が大変であることを、話し合えるのが嬉しかった。
お互い、他のヒーローに振り回されて苦労人である。
「師匠もこの間さ……」
イアイアンの口からS級ヒーロー4位アトミック侍の名前が出る。
それに対して名無しさんは「いいなぁ」という、羨ましさのほうが勝った。
あのS級が師匠であるのが名無しさんにとっては羨ましいものだが、イアイアンは大変だという。
アトミック侍は話を聞かないし、自我を通すので世話が大変だ、とのこと。
それでも名無しさんは羨望の眼差しを向けるばかり。
名無しさんもいつかS級のあの御方が師匠であったら……。
そんな願いは夢のまた夢であろう。
「名無しさんの実力ならその内S級に入れると思うぞ」
「イアイッ……! 他の奴らにイアイの爪垢を飲ませてやりたい」
名無しさんの夢を真面目に聞いてくれるイアイアンに、心の底から感謝する。
こんなにも良い友人ができたのだから、ヒーロー協会に入って良かった。
食事を終え、くだらない事を話しているとサイレンの音がけたたましく鳴った。
ファミレスにいた客は避難のために走る。
名無しさんとイアイアンは刀を抜き、お店から出た。
「行くぞ名無しさん」
「おう」
怪人を倒している最中、「そういえばお金払ってない!!」「……後で払いに行こう」と2人は話していた。
完全に舐められていると思った怪人であったが、すぐに倒されてしまった。
怪人討伐が終わった2人は急いでファミレスに戻ったとのこと。
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