第3話 他人を踏みにじってでも、自分の命大事
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ヒーローというのは、毎日が生死の賭けである。
いつ死ぬか分からない。今日も生きてて良かった、と刀を鞘に納めながら感謝するのだ。
そんな俺は今、命の危機にある。
今まで以上の緊張感と恐怖。焦り、震え。
冷や汗が背中をつたい、膝が固まる。
じりじりと、”彼”は距離を詰めてきた。
「俺のアツい抱擁を受け取ってくれ!! 名無しさんちゃん!!」
「ギャアアアアアアアア!!!」
ダッと名無しさんへとタックルの勢いで走るプリズナー。
叫びながら走る名無しさん。
驚きの目で彼らを見るのは、一般人か女性ヒーロー。
同情の目で名無しさんを見つめるのは、男性ヒーロー……もとい、ぷりぷりプリズナーの被害にあった事ある男性ヒーローだ。
可哀想な事に、名無しさんはたまたまC市の協会に用があり、たまたまプリズナーと居合わせてしまったのだ。
偶然が重なった悲劇。
どれだけ人命を救っていようと、神は無慈悲に試練を与えるものである。
「誰か助けてくださぁぁぁぁい!!」
そう叫んでも誰も助けてくれる人はいなかった。
信ずるは己の強さのみ。
協会内の障害物を駆使し、必死で逃げる。
「どうして逃げるんだ名無しさんちゃん! 久々に会えたというのに!!」
ヒーローでありながら服役という矛盾を抱えた巨躯の男に追いかけられて、逃げない者がいるのだろうか。
1/2ページ