第11話 女性が半歩リードしてくれると恋愛ってうまくいくって言ってた
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怪人の死体が名無しさんの足元に転がっている。
名無しさんが持つ刀には血が滴っており、地面にポタポタと垂れていた。
「キャーー! 流石プリンス!」
怪人が発生したというのに、市民は避難していない。
それどころか、怪人と数メートルしか離れていなかった。
皆、軍人貴公子の戦いぶりを見たかったためだ。
黄色い声に、名無しさんは笑顔を返す。
名無しさんとしては、災害レベル虎でも避難して欲しかったものだが、
いや、災害レベル関係なく避難はした方がいい。
どのような怪人か分からないし、こちらが必死に守っても市民が怪我をする可能性は高いのだから。
「ずいぶん人気者なのね」
「タツマキさん」
上から声がするかと思えば、タツマキが2メートルほど浮いていた。
災害レベル虎なのに、どうしてS級のタツマキが?
もしかして、向かった俺が弱いと思ったから?
そんな想像をして、手がわなわなと震えてしまう。
確かに、S級2位とA級2位では圧倒的な差。
タツマキであれば、街に被害など出ず一瞬で怪人を倒すであろう。
自分もまだまだである。
「えっ……と」
「……」
地に降りたタツマキが無言で名無しさんを見ている。
エメラルドのような瞳に、名無しさんは見惚れてしまう。
しばらく見つめあっているのに、先に視線を外したのはタツマキの方であった。
名無しさんはまずい、と背筋を伸ばす。
女性をジロジロと見てしまうのは、失礼であった。
タツマキから視線を外し、血だらけの刀を見た。
気まずい沈黙が流れる。
しかし、そんな空気をタツマキは分からない。
「(あぁどうすればいいの!? 名無しさんがいるから来たけどこの後のことを考えてなかったじゃない!)」
何故なら彼女の心の中は混乱しているからだ。
タツマキがここにいる理由は、名無しさんに会いに来たというシンプルなものだ。
怪人を倒しに来たとか、そういったヒーロー活動のためではない。
会いに来たものはいいものの、この先どうするか、タツマキは先に進めることは困難だ。
そんな空気に名無しさんは限界だった。
「良かったらこの後、一緒にご飯でも行きませんか」
「はぁ!!?」
あぁしまった。こんな雑魚にご飯を誘われても嬉しくなかっただろうか。と内心泣きながら後悔する。
けど、この空気がどうにかなるのならば、暴言を吐かれても良い。
断られ、馬鹿と言われる覚悟を決める。
「しょ、しょうがないわね! 暇だからいいわよ。……暇だから仕方なくよ!?」
「あ、ありがとうございます……?」
良いのか。まさか誘いに乗ってくれるとは思わず、驚いてしまった。
貴重な時間をいただいてしまって良いのだろうか……と思うが、誘ったのはこちらだ。行くしかない。
タツマキが隣に来る。
「お店選びは任せていいのかしら」
「はい! 任せてください」
そう大声を出したものの、脳みそをフル回転し、ネットのようにお店を調べた。
どこへ行こう? バネヒゲのお店はバネヒゲが緊張してしまう。
この間スティンガー達と行った場所は? いや、カジュアル過ぎる。
うーん、と悩んだ結果、アマイマスクに「下調べ手伝って」と首根っこを掴まれ行ったカフェにしよう。
アマイマスクと一緒なのは嫌だったが、オムライスはとても美味しかった。
個人的にも何回も行った。ご飯も紅茶もデザートも美味しかったし、タツマキさんも気に入ってくれるだろう!
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