第10話 たとえ地雷臭がしても買ってしまうのはお菓子好きならあるよね
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「あ、名無しさん」
「童帝くん」
偶然、協会の廊下でバッタリと出会う2人。
名無しさんは驚いた。S級ヒーローが協会にいるのが珍しいからだ。
他のヒーローと違い、名無しさんはS級を怖がらない。いや、怖いは怖いが、皆とは別の恐怖である。
それは子供である童帝もだ。
「ねー名無しさん、お腹空いちゃった。なんか持ってるでしょ? ちょーだい」
「君は何か透視能力でも持っているのかい?」
実は先ほど名無しさんはコンビニでチョコを買っていたのである。
おやつ、もとい糖分補給用だ。
それをたった10歳の少年にカツアゲされている。
しかも名無しさんのことを呼び捨てでタメ口だ。
でもそれでも名無しさんは童帝に逆らうことができない。
「うわ何"抹茶納豆チョコ"って。何でこんなの買ったの? 馬鹿なの?」
「だって……その、好奇心で」
馬鹿にされても名無しさんは頭を上げられなかった。
過去の恩のせいだ。
童帝に呆れられながら、出会った時のことを思い出す。
あれはいつ頃のことだったか。
協会内でお菓子を食べていたのがいけなかった。
行儀の悪いことをした仕置きなのか、罰なのか。
「食べ物……」
「えっ、うわ、うわああああああ!?!」
S級10位の豚神に、ホラーゲームの化け物のように追いかけられた。
この時はどうして追いかけられているのか理解していなかったので、ただ逃げることしかできなかったのだ。
そこで助けてくれたのが童帝である。
「助けたんだからお礼は?」
そう言われたのを今でも思い出せる。
ここから、名無しさんはお菓子を持つ事は許されなくなった。
童帝に会えば必ずたかられ、お菓子を奪われてしまうのであった。
「ほら、早く座りなよ。食べるよ」
童帝が休憩所を指さす。
名無しさんはずるずると童帝に付いて行き、テーブルに座った。
いつもは奪われるだけであったのに、今回は一緒に食べてくれるのかと驚いた。
名無しさんはそう思っているが、童帝としてはこのゲテモノを食べる巻き添えにしたかっただけだ。
個包装にされたチョコを一粒ずつ配る。
果たして、抹茶納豆チョコの味は……。
「「……」」
この後童帝は名無しさんの腰を殴りながら、ジュースを買わせたのであった。
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