「イアイ、相談があるんだけど」

「どうした」


真面目な顔で手を組み顎に乗せる名無しさん
彼女がこんな真面目な表情をするのは珍しい
普段なら絶対しない表情だ
相談もさぞかし重大なことなのだろう


「あのさ･･･師匠がかっこよすぎて辛い」

「斬っていいか」


自分がさっき思っていたこと全部取り消したい
やっぱこいつバカだ。しかもかなりの


「師匠のさ、きわどい太ももとかひらひら揺れるちょんまげとかダンディーな髭とかだけで白米何杯いけることか･･･!!」

「何を言ってるのか全然わからない」


誰か同じ門下生として何か言ってやってくれ
俺には無理だ
こいつの師匠大好きトークには付き合えない
カマあたりなら付き合えそうだが･･･


「おーい、お前らやってるか」

「し、ししししし師匠!!こんにちは!!」

「師匠」


名無しさんが騒いでいた本人が来た
不思議なことにさっきまでの変態トークが嘘と思えるぐらいに


「あのですね師匠、昨日こんなことがあって･･･」

「おうおう、そうか」


もし名無しさんに尻尾が生えてたらブンブン振ってあるだろう
引きちぎれるぐらいの勢いで
ガシガシと乱暴に頭を撫でられてる名無しさんの表情は、さっきまの真面目に変態トークをしていたのとは違って


恋する乙女の表情だった


さっきまでの発言はなんだったっていうぐらいには
何故あの威勢で師匠にむかっていかないんだ
名無しさんは師匠の前だと弱いというか･･･大人しくなる
理解できないな


「んもう!イアイはわからないのね～女心が」

「知らなくてもいいだろう･･･それにカマ、お前は女心なんてわからないだろ」

「そんなことないわよ!私だって恋する「おいみんな、そろそろ稽古に戻れ」ちょっとイアイ」


俺の周りにはなんで正常なやつが少ないんだ