※微ヤンデレ注意


暗殺者という裏で生きていく者にも限らず、ソニックには守りたいものができてしまった
気持ちを隠そうと、押し殺そうとしても潜在的に存在しているもので自分の内をかき乱されるようであった
なら表に出してしまえば乱されることは無くなる
堂々としていればいいのだ。人を愛すことは何も悪いことではない


「名無しさん、待たせたか」

「ううん。少ししか待ってないよ」


名無しさん。この女性がソニックの守りたい存在であり、大切な存在であった
名無しさんは特別裏で生きているわけでも、力を持っているわけでもない
普通の所で暮らし、普通の所で働き、普通に生活を送っている
こんな平凡な女性にソニックは惚れこみ、猛烈なアピールを続けた
その結果付き合うというとこまで辿り着けたのだ
ソニックは名無しさんに自身のことを明かしていない
明かしてしまったら、名無しさんに危害が及ぶと思ったからだ
大切な人ができたのならそれなりの責任を背負わなければならない
守るために、嘘は多少なり必要であった


「じゃあ行こうか」

「そうだな」


差し伸べられる手
ソニックは口元を少し緩ませながらその手を取った
かすかに冷たい手がソニックにとってはほど良い
確かな幸せが彼の中に満たされる
自分はこの存在を失ってはならない。元からなかったはずであるのに、失ってしまったら深く身体の内からえぐられるような。
まだそれは現実となっていないためわからないがそんなような気持ちになることがわかる
絶対に失ってはならない。名無しさんのためにも。自分のためにも
名無しさんのことは自分と同等、いや、それ以上に大切にしていた
彼女を守るためなら、ソニックは何でもするだろう
例え法に触れていたとしても








「またね、ソニック」

「あぁ。ゆっくり寝ろ」


名無しさんの家まで送り届けしっかりとドアが閉じられるまで見送った
星が輝く空を一瞬だけ見上げる
そして光が少なくなった道へと消えていった。自分の存在を消すかのように
そうして一人、ソニックは自宅へと帰ってきた
周りと同じように着ている服を脱ぎ、黒い、暗闇に混ざれるようないつもの服を着た。服、というよりはスーツだろうか
ソニックがいつも仕事で着てるものである
腰に携えた刀を確認する。暗いのでその刃の輝きは目立った
チャキ、と刃を鞘へとしまうのと同時にソニックは移動を始める
行く先は･･･


「今日も可愛らしかったな」


ソニックが見つめる先には名無しさん
ここは先ほど来た場所である
来た場所は場所でも木の上、名無しさんの住んでいるアパートの隣に生えている木にソニックはいた
ちょうど高さは名無しさんがいる三階の高さ･･･そして部屋がよく見えるところだ


「窓を開けっぱなしにして無用心だが･･･まぁ俺が監視してるからな」


ソニックはデートが終わったあとも、いや、会っていない日常だってほとんどと言っていいほど名無しさんを見守っていた
見守っていた、とは言葉が良すぎる
普通の一般人がやれば普通に犯罪である
ソニックが犯罪となっていないのは無論警察に見つからないからだ
闇に紛れるソニックのことを民間から作られた人間に見つけられるわけが無い
ソニックの行為はこれだけではなかった


「今日もソニックかっこよかったなー」


聞こえる名無しさんの声
聞こえる元はソニックがつけているブルートゥースからであった


「フフ、そんなこと直接言ってくれても良かったのにな」


なんとソニックは名無しさんの部屋に盗聴器まで仕掛けているのだ
ソニック自身はこれが間違っている行為だと、犯罪の行為だとは微塵ほども思っていない
むしろ当たり前のことだと思っていた
愛する者を守るため。ただそれ一心である
名無しさんに危害が及ばないように
名無しさんを失わないために
彼はどんなことでもやる覚悟を常に持ち合わせていた