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世間を大きく騒がせた深海族の事件は新聞を大きく飾る
被害は町だけではなく現場へと向かったヒーロー達もだ
新聞で書かれるヒーロー達への評価はひどいものであった。言葉こそプロが編集し濁しているから一般人はわからないが、ヒーローであるものが読むと悪口が書かれているのがわかる
実際戦ってもないくせに言いたい放題だ
けれどわざわざそういう道へ進んだのは自分たちが選択した結果だ
だから、何も言えない
それでも心の中に反論したい気持ちはあって、
イナズマックスとスティンガーは目を合わせた
「「はぁ~~・・・」」
二人のため息が重なる
言いたい気持ちは目を合わせただけでわかった
自分たちが命を張り、入院するほどの大怪我までしたのに世間からの評価は無慈悲にも等しい
だが、マイナスな気持ちを口から出してしまうのはそれこそヒーローとしての恥であるし負けたような気持ちになる
だからこうしてため息を吐いた
「・・・これからも頑張ろうな」
「あぁ」
互いを励ましあい、読んでいた今日の新聞を閉じ脇に置く
次は明るい話でもしようとスティンガーが首を上げると耳に激しく廊下を走る音が聞こえてきた
その音は段々近づいてくる
そうしてスティンガーとイナズマックスの病室の前でこれまた勢いよく扉が開かれ
「スティンガァーーー!!!!」
扉の前に立っていたはずの女性は瞬く間にスティンガーへと抱きついていた
唐突のことにイナズマックスはついていけず目を丸くしたまんまだ
「病院内では静かにしてください!」
「はぁい」
ちょうどこの病室の前を通りかかったナースが注意を呼びかけた
スティンガーへと抱きついた女性は手を離し謝罪をする
ナースが扉を閉め、三人となった
「名無しさん来てくれたのか!」
「うん!遅くなってごめんね」
「お、おいスティンガー・・・」
イナズマックスが話しの途中に割り込む
女性はイナズマックスのほうを向き目を合わせると微笑んだ
こんなことをされたものだからイナズマックスは軽く頭を下げ「ども」と挨拶をした
いやいや違う違う。と首を振る
疑問を素直に投げつけた
「え・・・この女の人・・・誰?彼女か?」
「そうだぜ!名無しさんっていうんだ。可愛いだろ?羨ましいか」
スティンガーが腕を伸ばし彼女の腰を掴んで自分側へと引き寄せた
そしてそのまま自分のベッドへと座らせる
彼女、と呼ばれた女性は少し照れたようにスティンガーのことを見て微笑む
恥ずかしいよ、なんて言いながらまったく抵抗しない
イナズマックスは掛け布団を強く握り締め下唇を噛む
正直言えば、羨ましい。この一言に限った
だってこんなに可愛い彼女羨ましい。しかもラブラブである
「スティンガーが入院したっていうものだから急いできたの。こんなに怪我して・・・痛そう。大丈夫?」
「あぁ!名無しさんが来てくれたからもう元気いっぱいだぜ」
二人で笑いあい、スティンガーは名無しさんの目尻へとキスをしている
この二人からたくさんハートでも出ているようで、そのハートに触れたイナズマックスは身体が痒くなった
居た堪れなさの限界に視線を逸らすしか方法がなかった
少しでも視線を入れないよう立てかけてある本棚へと手を伸ばし一冊、開いてみる
生憎活字は絵つきでしかほぼ読まない彼にとって、絵のない活字の本は内容が頭に入ってこない
それでも必死に一字一字読もうとする
「大好きだよースティンガー!」
「俺は大好き、じゃなくて愛してるぜ」
「んもー」
そんな会話が聞こえるものだから更に内容は頭に入ってこない
身体の痒さはさらに加速していく
もういっそ、外に出ようか・・・とも思ったら彼女が時計を見て立ち上がった
「じゃあお昼の休憩終わっちゃうから・・・また来るね!」
「待ってるぞー」
名無しさんが扉の前にと行く
そして最後にスティンガーには手を振り、イナズマックスには微笑んで一礼をして「騒がしくしてすみませんでした」と言ってから病室を出た
スティンガーは余韻に浸りニヤけ顔である
話しかけるの躊躇ったが言いたいことはすぐに言わないと忘れるタイプな彼は、思い切って話かける
「おいおいいつからだ?」
「え?んーと、三ヶ月ぐらい前」
「マジかよ・・・しかも可愛いし」
ドヤ顔をしてくるスティンガーに対し拳ストレートを決めたいイナズマックスであったが何とか堪える
最初の印象であぁただのバカップルか・・・と思いきや、初めと終わりの挨拶をきっちりするし騒がしくしてしまったこともきちんと自分で理解していた
案外、いい子なのではとも思う
彼女のことを褒めればスティンガーは幸せをオーラで溢れ出させる
「でも」
とスティンガーが唐突に幸せオーラを消した
下を俯き先ほどとはまるっきり正反対の表情だ
イナズマックスは首を捻る
「ほぼ名無しさんに構ってあげられないんだよなぁ。互いに忙しいっていう理由もあるけど、主は俺が原因なんだよなー・・・」
そうなのだ。ヒーローは常に多忙である
怪人は事前に連絡を入れて出現するものではない
いつ、どこで、出現するのかわからない存在なのだ
だから当然ヒーローも突然呼び出される
それはトイレやお風呂に入ってる時だって、ご飯食べているときだって、寝ている時だって、遊びに行ってる時だって。―もちろん、デートの時だって例外ではない
最近は怪人の出現率が上がっているせいもありヒーローは協会から普及された携帯は手放せないのである
「今日だってなんだかんだいって一週間ちょっとぶりだったし・・・」
悲しそうに言うスティンガーにイナズマックスは肩を叩いてあげた
こういうときかっこいいアドバイスでも言ってあげたいが自分は経験が豊富なほうではないので何も言ってあげられない
だからこうして励ましてあげることしかできなかった
「でもまぁ・・・久しぶりに会った名無しさんめちゃくちゃ可愛かったなぁ」
と、お花を飛ばし始めたので、イナズマッスクの肩を叩く手は自然に握力が上がってしまっていた
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