ヒーローなんて、やめてやる
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頑張っていれば、報われるよ
そんな言葉なんて嘘っぱちだ
自分で頑張っていると言うのは自意識過剰かもしれないが、俺は俺で頑張っていると思う
怪人を倒して市民を守り、家に帰れば自分ですべてのことをする
弱音を吐く事だってあったがそれでも乗り越えてきた
自分なりに、この人生頑張っているつもりだ
だが神様は無情にも俺を見捨てた
「やっりー!名無しさんの負けー!!」
机の上に広がる表側のトランプ
数字が揃って置いてあり双子のよう
それとは対照的に俺の前には口角を不自然に上げ、馬鹿にするような笑みを浮かべているピエロのトランプだった
周りの明るい声だけが俺に生きている実感を与えた
まぁこんな大げさなことを言って、ババ抜きをしていただけだが
だが、死にたくなっているのはこのババ抜きには罰ゲームがあるということだ
罰ゲームに反対してくれたイアイとゲンジに今からでも土下座して謝りたい
どうせ俺はノリノリでオッケーしてしまった勢である。イナズマックスとスティンガーも
よく考えて欲しい。このメンバーでの罰ゲームだ
「さぁ名無しさん、紙を引け」
罰ゲームの内容はそれぞれ紙に書きそこらへんにあった箱に入れた
ランダム形式である
あぁ、きっとこいつらのことだからえげつない罰ゲームでも書いただろう
だから願うのは、自分のかイアイのだ
箱の中に勢いよく手を入れ一枚の紙を引き抜いた
周りの輝いた目とは反対に恐る恐る中身を見た
その紙には、中央にでかでかと
”女装で買い物”
「いよっしゃーーーー!!!」
拳を上げて喜んでいるのはイナズマックス
紙を呆然と見つめ開いた口が塞がらない俺を、ゲンジは優しく顎を押して塞いでくれた
目が点のまま必死に内容を脳へ理解させようとする
ほうほうなるほど・・・
「ざっけんなやらねーーよ!!」
勢いよく紙を床へ叩きつけたが、質量のない紙は床と情けない音しか出さなかった
すると横からニュッとスティンガーが
「あれあれ・・・?この契約書を忘れたのかね・・・?」
そこには「私は罰ゲームを必ず実行することを契約します」と手書きで書かれた紙
そこにはまぎれもなく自分の名前が自分の字で書いてある
そう、この罰ゲーム付きババ抜きをする前に雑な契約書を書かされたのだ
おそらく俺とイアイが断ることを予想していたのだろう
なんて汚いやつらだ
下唇を噛み締め眉間に深い皺を作った
・・・だが、仕方ない
「・・・わかった。わかったよ。やるよ」
「そうそう男はスッパリとしちゃったほうがいいぜ!」
と笑うスティンガーの横を通り過ぎ、イアイの隣に並んだ
そして肩へ手を置く
「・・・イアイが」
「!?」
「代わりにイアイが女装してくれるよー」
「どうして俺にふる!」
「なぁ頼むよイアイ。俺はイアイのことすごく親友だと思ってるしお互い支え支えられの関係だと思ってる。だから俺を助けてくれ。一生のお願い。罰ゲーム代わって」
「今だけ絶交しよう」
「あ゛ぁーー!!見捨てないでイアイーー!!」
部屋から出て行こうとするイアイを背から抱きしめ助けを乞う
わんわんぎゃんぎゃん騒いでいた俺が落ち着いた頃にやっと決心がついた
やるしかない。俺だって、契約書にサインしてしまったのだから
なんかもう女装が恒例になってきてつまらない気がするから他の奴らがやったほうが需要がある気がする
俺はイアイにミニスカポリスをいつか着せるという決心もした
「せっかくだから罰ゲーム、みんながどんなの書いたか見てみるか」
箱を抱えたゲンジがそう言ったのでみんな頷いた
まず”女装で買い物”はイナズマックスであった
一枚、紙を取り出した
そこに書いてあったのは
”鼻の穴にどれだけ大豆が入るか挑戦する”
「おい誰だこれ」
「俺ー!」
元気よく手を挙げたのはスティンガー君であった
うん。君だと思ってたよこんなアホなこと考えるのは
この罰ゲームに当たらなくてよかったと心底思った
次の紙を引く
”一緒にゴルフか旅行に付き合ってもらう”
「おい誰だこんな可愛い罰ゲーム書いたの」
「・・・俺だ」
低めに手を挙げたのはイアイ
目をみんなに合わせないので照れている
「いや、その、みんな忙しいからな・・・それに金銭的な理由もあるし気軽に誘えないから、この場で行けたらいいな、と」
キュン・・・。まさに胸がキュンとしてしまった
イアイお前可愛い奴だな。そんなのいつでも誘ってくれていいというのに・・・!!
他の三人を見るとスティンガーとイナズマックスは口に手を添えていてゲンジは優しい目でイアイをみていた
きっと思っていることは俺と同じだろう
どうしてこの罰ゲームに当たってくれなかったのか。神を恨む
また次の紙を引く
”アマイマスクにビンタ一発かましてくる”
「バカ誰だよこれ書いたの殺したいのか」
「俺」
手を挙げた
いやだって一昨日あいつが「君はいつまでそんなところで満足しているつもりだい?さっさと僕に追いついてみたまえ」とかうざいこと言ってきたのでその仕返しに何かしてやりたかった
冷めた目をしている俺に四人は焦るような目を俺に向けていた
これ俺に当たってもよかったなーアマイにビンタかましたかったなー
そして最後の一枚である
残っているのはゲンジしかいない
書かれていたのは
”ぷりぷりプリズナーさんとディープキス”
「「「「・・・!!!!」」」」
ゴクリと息を呑んだ
え・・・これは夢・・・?
恐る恐るゲンジを見てみるとシレッとした顔をしている
ゲンジ・・・お前意外とえげつない性格だったんだな・・・
この罰ゲームに当たらなかったことに最大の感謝をした
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