93発目
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サイタマとオロチが対面している。
オロチはサイタマから得体の知れない圧を感じていた。
いや、知らないわけではない。
前もこの圧は感じたことがある。
そうだ、アイツだ。趣味で怪人をしているというふざけた女。
初めて、恐怖を感じた。初めて、死を覚悟した。
だが、今目の前に立つ男にそんな感情は抱いていない。
オロチは直感した。
この男こそ、復活の生贄にふさわしいと。
素顔を隠す必要がなくなったオロチは仮面を外した。
「? お面?」
サイタマのそばに仮面を落とす。
それを見てサイタマは首を傾げた。
そして、そのお面のカッコよさに頭には名無しさんを浮かべた。
アイツもあんなお面ではなく、こういう重みのあるやつにすればいいのに。
そんな事を思っていると、いつの間にかオロチに足場を崩された。
地下へ、地下へ、奥に招かれたのだ。
「ここら辺の地盤緩すぎるでしょ」
再び揺れるこの場所を、名無しさんは不機嫌そうに言う。
先ほどから何回揺れているのだ。
いくら地震が起きやすいこの国でも、流石に起こり過ぎだ。
誰か地震を止める能力を持つものはいないか。
タツマキちゃんとかフブキちゃんならいけるかな?
そんな事を考えながら歩いていたら、
「ほえ? わぁぁぁぁぁぁぁ」
足場が無いことに気づかず、下へ下へ落ちて行く名無しさん。
落ちて行く時に考えたのは、この状況はヒーロー着地と呼ばれる着地をできるのでは!?
では自分が怪人着地なるものを発明しようではないか。
そう思い、様々なポーズをしてみる。
地面に近づいているのも、下にいるオロチに気付かなかったのも、着地ポーズに夢中だったから。
『バカな、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!』
「あ」
「ん?」
結果、オロチの脳天に名無しさんの膝が直撃したのだ。
オロチはそのまま潰されペッチャンコになってしまう。
何が起きたのか、サイタマは目を丸くした。
そして変なポーズの名無しさんを見つけて、思わず笑ってしまう。
「名無しさん、何してんだ。後なんだそのポーズ」
「あれサイタマ……ってギャーーー!?!?」
「へぶぅぁッ」
サイタマを見かけた瞬間、名無しさんはサイタマの顔を殴った。
何故なら彼が全裸であったから。
おかげでサイタマは地面に埋まったしまう。
名無しさんは顔を真っ赤にしながら、両手で顔を隠した。
そしてサイタマに向かって暴言を吐き続ける。
「サイタマの変態! エッチ!! 露出魔!! サイテー!!!」
「オメェなぁ!!」
サイタマが起き上がる。
「フロに入ってただけだっつーの」
サイタマもサイタマで、裸を見られたことに恥ずかしながらそばに置いてあった服を掴む。
そして急いでパンツを履いた。
お互いが喧嘩をしている2人を見ないで、残った脚で祭壇へと向かう。
何が起きたのかは分からない。けれど、祭壇が崩れることは理解できた。
オロチは脳という信号がないにも関わらず、残っている身体で祭壇へと登る。
その姿を見たのは名無しさんだった。
名無しさんは顔から血が引いてしまう。
「ね、ねぇアイツ……」
「あぁなんかアイツがここに誘ってくれたんだよ」
「ふ、ふぅん」
名無しさんとサイタマは移動しながら話す。
どうしてサイタマがここにいるのか。どうして名無しさんがここにいるのか。
そして先ほどの状況。
名無しさんはサイタマの話を聞いて胸を撫でおろした。
サイタマはアイツの正体は知らないようであった。
オロチはガロウが倒す予定だったのに、ああなってしまった。
ならば、ガロウ君には内緒にできる。
「ちぇ。こいつの親がどこにいんのか聞いときゃよかったなぁ」
良かった、サイタマが馬鹿で。
心の奥底からそう思う名無しさんであった。
サイタマと別れ、名無しさんはキング探しを再開した。
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