8発目
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「何故貴様がここにいる」
「いや、私のセリフでもあるんですけど」
ジェノスと名無しさんが対面しているのは、アパートのとある一室の前。
勿論2人の目的はサイタマだ。
ジェノスは今日もサイタマの強さを知りに。名無しさんは暇つぶしに。
生憎、家の中には誰もいない。
少しの間、2人は見つめ合ってしまう。何でこんな所で会うのだ、という驚きだ。
「バッタリ会うとか……もしかしてう・ん・め・い」
「殺すぞ」
名無しさんが少女漫画のような目をしてジェノスに言う。
しかしジェノスは名無しさんの発言に、怒りと虫唾が脳内を走る。
咄嗟に出たのが、最大の憎悪を込めた命を奪う言葉だ。
今すぐに名無しさんに攻撃を浴びせたいところだが、ここはサイタマ宅の前だ。
暴れるな、と言われているのでこの場では我慢しなければ。
そんな堪えているジェノスのことなど気にせず、名無しさんは問いかけた。
「ていうか、なんでジェノスくんはここに?」
「何故貴様に教えなければならない」
「そろそろデレろよぉ!! あと貴様じゃなくて名前で呼べよぉ!! 名無しさんって!!」
名無しさんが腕を目元に当て、泣いたふりをする。
そんな姿にも、ジェノスの苛立ちは募っていくばかりだ。
消したい。場所を変えて消し炭にしようか。
そう考えるが、自分の攻撃が名無しさんに当たることがイメージできない。
理解していた。名無しさんがどれくらいなのか。
思いたくはない。でも、考える前に勝手にサイタマと名無しさんが等しい強さを持っていると結論づけてしまう。
それがジェノスにとって、更に気に食わないことだった。
そんな思いは、名無しさんは知るはずもない。
「うーん……サイタマいないならしょうがないな。……飯でも食べて交流深めようぜジェノスくん」
「断る」
自分でも驚くほど拒絶の言葉が出た。
ジェノスはサイタマがいないならこの場にいる必要がない。
名無しさんと反対方向に向き、ジェノスは階段のほうへ歩こうとした。
「行く所サイタマもよく行くところなんですけど」
ジェノスの歩いていた足が止まった。
少し考える。
もしかしてサイタマ先生の強さの秘訣は食べているものが関係しているのでは?
振り返り、名無しさんの方を見る。
「行く」
「(あ、ちょろい)」
心の声など読める人などいないだろう。勿論、サイボーグになった身体でも聞くことはできない。
名無しさんは学んでしまった。ジェノス相手にはサイタマの名前を出せばいいことを。
クックッと笑っている名無しさんに、理由もなく睨みつることしかできないジェノスであった。
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