89発目
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「あれ」
サイタマに「鍋をやろう」と言われ、サイタマ宅へ向かっている所、怪人に出くわした。
怪人がアーマーを着た者を襲っている。
アーマーを着た者は何とか応戦しているが、そろそろ負けてしまいそうだ。
名無しさんは怪人へと話しかけてみる。
「ねぇ」
『あ?』
鳥のような怪人が名無しさんを見下ろす。
怪人は大きい。名無しさんのことなど踏みつぶせそうなぐらい。
アーマーの者が攻撃をしたというのに、白い身体には傷ついていなかった。
「貴方も怪人協会の人?」
『どうしてそんなことを? まさか、お前ヒーロー』
「違うし」
ムッ、と顔を顰めてしまう。
何度言われても”ヒーロー”と呼ばれるのは虫唾が走るからだ。
怪人協会関係なく殺してしまおうか。
そんなことを考えていると、アーマーの者が名無しさんの前に立った。
「逃げるんじゃ!!」
機械音声だが、喋り方的におじいちゃんだ。
名無しさんが驚いていると、怪人がこちらに向かって突進してきた。
その速さは一般の者なら捉えることができないだろう。
それは、アーマーの者も一緒だ。
「クッ……!」
せめて、後ろにいる女の子だけは助けなければ!
そう思っていたが、いつの間にか怪人はいなくなっていた。
消えた?
いや、違う。
自分の足元を見ると白いものが飛び散っていた。
何が起きている?
前を見ると、守っていたはずの少女が横蹴りのポーズのまま立っていた。
え、とアーマーの者が驚いていると、名無しさんは脚をおろした。
「大丈夫ですか?」
「……!」
アーマーの者は声を出せない。まだ目の前の現実を受け止めきれていないのだ。
こんな女の子が、推定災害レベル鬼を一発で倒した?
そんなことなど名無しさんは知る由もないので、首を傾げる。
「おーい?」
「はっ!」
名無しさんがアーマーの頭部分をペチペチとしたところで、アーマーの者は現実に返った。
ひとまず、お礼を言わなければ。
顔が分からないように染めていたヘルメット部分を透明にする。
名無しさんは少しだけ驚いた。中身が本当にお爺さんだったから。
そして、キノコのような髪形だったから。
「助けてくれてありがとのぉ。ワシはクセーノじゃ」
「いえいえ、クセーノさん! 私は名無しさんです」
名無しさんが手を差し出したので、アーマーのままで失礼、といい握手をした。
名無しさん、この子はヒーローだろうか? いやしかし、先ほど違うと言っていた。
クセーノは名無しさんを見つめる。そして少し考えた。
名無しさんという名前をどこかで聞いたことがあったからだ。
どこで聞いた? 自分が話す人はジェノスだけだ。
ではジェノスから聞いたのだろうか? ……いや、思い出せない。
ジェノスが話すのは、師であるサイタマ先生とムカつく"アイツ"の話ばかり。
駄目だ、思い出せない。自分の気のせいだろうか。
逆に名無しさんはクセーノという名前を聞いて思い出した。
「もしかして、ジェノスくんの博士?」
「ジェノスのこと知っておるのか」
「はい! 友人です!!」
ジェノスの友人か。ならば、あの強さも納得がいく。
いつの間にか女の子の友達ができていたとは、ジェノスもやりおる、と感心する。
照れ隠しで自分には話してくれなかったのだろうか。これが思春期か。
クセーノがうんうん、と考えているのにも関わらず名無しさんは質問をぶつけた。
「もしかして、これからジェノスくんのところに?」
「そうじゃな。ジェノスの友人ということは……サイタマ君は知っているかね?」
「恋人です」
「そうじゃったのか! ジェノスはおそらくサイタマ君宅にいると思ってのぉ」
「目的地一緒ですね。良かったら一緒に行きませんか」
「ほほ、助かる」
まさかサイタマに恋人がいるとは、クセーノは驚く。
良かった、手土産の肉を多めにしておいて。
それに一緒にサイタマ宅に行けるとはありがたい。
いくらアーマーを着ているからといって、安全とは言い切れないのだから。
先ほどの強さは本物。護衛してもらえるとは大変心強い。
クセーノと名無しさんは会話が途切れることなく歩き続けた。
手土産が究極のプレミアム牛肉極上ギフトセットと聞き、名無しさんは必ずクセーノを守ると決めた。
途中、何度か怪人に襲われたが名無しさんはワンパンだったり、ワンキックだったりで倒していく。
その度に「クセーノさん大丈夫ですか!?」と心配しながら。
クセーノは大変優しい子だと感動した。流石、サイタマ君の彼女だ。
「へっくしゅん!!」
「……」
「サイタマ氏、ジェノス氏どうしたの」
「いや……なんか寒気が……」
「俺には感覚が無いはすだが、何だこの悪寒は……」
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