88発目
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「最近売り上げがよくなくてな」
そう相談するのは昔、栄光と理想を着飾っていたジーナスだ。
そんな彼は、名無しさんとアーマードゴリラの前で少し顔色が悪いまま話始める。
名無しさんも青い顔。アーマードゴリラはやはりか……という顔だ。
売り上げが落ちているのはたこやきの家に限った話ではない。
この世界全体が、経済的に厳しい状況なのだ。
原因は勿論、怪人が頻繁的に出現する事だ。
その影響で市民は外出をしなくなったのだ。
名無しさんは震える。
ひょっとして、時給が減るかシフトを減らされるか、それとも……!
最悪の想定に、名無しさんは喋る事ができない。
おのれ怪人協会。こんな所にまで影響を及ぼすとは。
絶対に滅ぼす、と強く名無しさんは誓う。
「まぁそれでも、お店は開けないとだな」
「そうですね、自分が準備してきます」
アーマードゴリラが立ち上がり、お店の準備をし始めた。
名無しさんはその場で俯き、自身の腿を見つめるばかりだ。
「名無しさんくんもすまないね。最近ずっと暇で」
「いえ……いいんです」
決意したように名無しさんは顔を上げる。
ここがなくなったら、働く場所がなくなってしまう。
今どき何の資格もなく、この歳で雇ってくれる場所なんてないだろう。
名無しさんは”たこやきの家”を失うわけにはいかなかった。
「私、もっとたくさんブッ倒してきますね……!!」
「?。あ、あぁ頼むよ」
名無しさんは立ち上がり、外へ出ようと準備をする。
少しでも多く怪人協会の者を倒すためだ。
しかしその前に、タコの仕込みだけやる事にしよう。アーマードゴリラに任せっきりなのは申し訳ないからだ。
外に出ようとした足を翻し、キッチンへ向かおうとした。
「ジーナスさんタコの仕込みだけやりますねー……って、え?」
名無しさんの目には、現実とは思えない光景が映る。
男の人が、ジーナスに向かって斧を振り下ろそうとしている。
アーマードゴリラはそんな男が彼を止めようとしているが硬直している。
名無しさんもほぼほぼ硬直状態でああるが、何とか声を振り絞る。
「テーブルの上に乗ってはいけません!!」
「……は?」
ぐるり、と首をこちらに向けるのは斧を持つ男性、即ちゾンビマンだった。
「は、名無しさん?」
「え、ゾンビマンさん?」
「……君たち知り合いかね?」
皆が皆、驚いている。
誰も暫く声が出せなかった。
生き物は驚くと声を発する事ができないらしい。
なので、第一声を出してくれたのはアーマードゴリラだった。
「あの……皆さんとりあえず落ち着きましょう」
そう言うと、ゾンビマンは斧をしまいテーブルから降りる。
名無しさんはハッとし、一先ずテーブルを拭くことにする。
ジーナスは止まっていたかのような呼吸を取り戻した。
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