80発目
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『それで・・・結局奴はどうなっているんだ?』
『それが頑なとして協会へ入るのは拒んでいまして。しかも理由が』
『いや、いい。あちら側にその気がないというのなら……消せ。あんなのと我々が一緒の怪人と名乗られると怪人としての誇りが傷つけられる』
『御意』
水色の空にまぶしい太陽
ちょうど良い気温で散歩をするのには丁度いい
今日は昨日と同じ日ではない。今日になれば、公園の花が咲くかもしれない
「んー。今日もいい天気だなぁ」
名無しさんはあくびを一つ
手には仮面を持っていた。彼女はついさきほどまで趣味を行っていたところである
今は帰宅中だ
彼女の趣味はあっという間に終わってしまう。それに対し、寂しいやら退屈やらと思っていた
だが、やめようとは思わない
もはや名無しさんにとって趣味は日常におけるやることの一部なのだ
それに、毎回退屈なわけでもなかった
一人の、サイタマというヒーローのおかげで名無しさんの趣味は輝いた
趣味は、楽しいからこそ趣味なのだ
これを仕事にしようなど言語道断
それが名無しさんの割と最近できた信条であった
ただ単に働きたくないという意味が含まれているが
さて、この後暇だしお昼ご飯を食べてからキングの家に行こうかなーと考えていた時である
『名無しさんちゃん』
「おやあなたは・・・キリサキングちゃん!」
全身包帯の両手が刃な人間
いや、人間ではない。明らかに怪人だ
災害レベルは鬼。こんなところに白昼堂々歩いていたら確実にヒーロー協会へ通報されるだろう
だが、ここら辺に市民がいないことはキリサキングは事前に調べておいた
まだ、市民にバレるのも暴れるのも早い
「どうしたのー。ひょっとしてまたお誘い?それは嫌だけど、それ以外だったらぜひ遊ぼう」
『……』
キリサキングはちょくちょく名無しさんと会っていた
それは怪人協会の勧誘のため
ことごとく断られていたがキリサキングは諦めなかった
諦めなかった、というより上から命令されて動いていただけだが
だが会っているうちに勧誘より名無しさんに会うことのほうが上回ってしまっていた
それはキリサキング自身も気づいている
名無しさんも勧誘ではなく、普通に話してくれるからキリサキングのことを煩わしく思っていなかった
だから今日も同じように、この世界の世知辛さを語り合うかと思っていた
『ねぇ名無しさんちゃん。怪人協会に入って』
「だからー」
『これは勧誘じゃなくてお願いなの。私からのお願い』
「?」
『お願いよ名無しさんちゃん。お願いと同時にこれは警告でもあるの』
いつもと違うキリサキングの様子に名無しさんは首をかしげる
キリサキングが目だけで必死さを訴えていた
さすがの名無しさんもヘラヘラとした顔は消したようだ
「……」
『名無しさんちゃん……!!』
「……だ」
『え?』
「趣味を仕事にしてはダメだっ!」
『……!!』
名無しさんの信条―というより、働きたくないという気持ちは友情よりも硬かったようだ
真剣な目つきでキリサキングを見返した
キリサキングは長い瞬きをし、全てを諦めたようであった
『なら、仕方ないね。ごめんね』
「いやいや私こそごめん――……え?」
途端、名無しさんの場所に雷が落ちた
「これは、夕立!?」
『いやいやどう見たって違うでしょ』
「キリサキングちゃんツッコミが両手の刃みたく鋭くなったね」
『褒められても嬉しくない……』
もちろん名無しさんは軽い調子で交わした
元名無しさんがいた場所の地面は雷の圧でへこんだ
キリサキングの隣に立つ
『あらあらぁ。小娘さんやりますなぁ』
『あんたの狙いが悪いだけじゃないのかい。へぇ女の子を下僕にするのも……いいじゃないか!』
『あーあ、こんな無名の奴倒したって俺の災害レベルなんて上がらないだろうよ』
『お嬢さんの血はどんな味がするのかな?』
『ククク……顔面、もうおうか』
『おっと、私のビジュアルは……女の子には厳しいかな?』
『紹介するね名無しさんちゃん。こいつらが私の仕事仲間……怪人協会の怪人たちだよ』
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