七十八発目
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人ゴミの中を足早に歩く
顔があまり見えないようにフードを被るものの、人より頭一つでかいせいで完全に目立たないということはできないようであった
しかし目立ちたくないという感情より、彼の感情は手に持っているゲームへと集中していた
「早く家帰ってプレイしよ。……むふっ」
S級七位ヒーロー、キング
その名を見ただけでも戦慄し、怪人たちは大人しくなるほど彼は有名なヒーローだ
ただし、それは仮の姿・・・というよりかは嘘の姿である
彼の本当の姿を知る者はただ一人
「名無しさん氏今日来るんだっけ。掃除してないな……」
名無しさんはキングの唯一と言ってもいい友人であり、ヒーローとは対極の位置に存在する怪人でもある
しかしそんなことはキングは気にしてはいないし、それは彼女も同じだ
一人の友人として接している
決して深いところには干渉せず、けれど信頼しあっている二人だからこそこの関係が保たれているのだろう
実際、彼女には謎というか秘密というか
知られたくないことがちょびちょびあるのが見られる
気にならない、といえば嘘だが聞いたところでキングは自分が解決できそうにないと思っていた
いいのだ。自分にとっても彼女にとっても今この関係が心地いいのだから
家へ帰ったら、すぐに掃除をしないとなと考えながらキングは帰路へ向かっていた
だが怪人が出現するのが当たり前な世の中、平和に帰宅することも困難なようで
「きゃあぁぁぁぁぁぁ」
「怪人よぉぉぉぉ」
「うわーーっ!」
首を完全に上げないと見えないほど大きい
怪人、というよりはロボットだ
複雑なパーツを繋ぎに繋げ、兵器となったロボットはキングへ立ちはばかる
『我が名はG4”組織”によって作られた機神なり。最強ヒーローのキングだな。貴様を抹殺する!!』
もうこの時点で彼は逃げることを考えていた
「”組織”……?俺を地上最強の男。S級ヒーロー七位のキングと知ってのことか!?」
『貴様を殺しに来たと言っている!!』
降り下げられた大剣に、キングは一歩も動けなかった
帽子が吹き飛ばされてもなおキングは考え続ける
しかしあまり考えることに時間は割いていられなそうだ
とりあえず彼は
「わかった。だが一度トイレに行かせてもらおうか」
とりあえず、トイレに逃げ込むことにした
公衆便所の一室。あまり綺麗とは言えない個室で、彼は心臓の音を響かせていた
世間ではキングエンジンと呼ばれているらしい
ただビビりすぎて鼓動が他人にまで聞こえてしまうだけなのだが
キングは今この状況に耐えられず、せっかく買ったゲームまで床に落としてしまう
心臓も胃もはちきれそうで吐きそうだ
携帯を握り、友人の番号を探す
そして通話のボタンを押すかどうか迷っていた
今ここで名無しさんを呼べば万事解決するだろう
けれど、名無しさんは用事があると言っていた。その用事は終わってはいないかもしれない
それにこれしきのことで彼女を呼んでも迷惑か・・・・いやしかし、
ドォン!
「この音は……!?」
最悪な外の状況に更に鼓動の音が大きくなる
どうにか、どうにかこの状況をどうにかしなくては!
「……あっ」
絶対無理だ。どうしようもないなこれ
殺されて終わりだ
結局、キングはこの場を逃げるという選択肢を選び家へと辿り着いた
そうだ、だって掃除もしなくちゃいけないし
こっちを先に約束してたし
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