七十七発目
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まずい。非常にまずいことになってしまった
現在平日お昼三時。いいか、この時間に家にいるからってニートというわけではないぞ
一人、中央のテーブルに週刊誌を広げ信じられない記事に目が回る
そこの記事には
”あの大人気モデル、ボロスが熱愛!?~女性と二人っきりで部屋へと消えていく~”
印刷されている写真にはどう見ても自分の後ろ姿であった
何度も何度も確認をしても、夢であったらよかったのにと思いつつ背丈や体型、髪型は自分であった
そうだすっかり忘れていた
ボロスモデルやってたよねぇそりゃ女と二人っきりで住んでたら大事故だよねぇ
やっちまったテヘ
「ってそれだけで済むわけないだろ!!」
残酷な静寂
一人でノリツッコミをしてまた大人しく座る
私はついに決めた
胡坐をかいて腕を組みボロスの帰りを待った
その間暇になってしまったので寝そべってテレビを観てしまっていた
「帰宅した」
「おかえりボロス。ちょっとここに座りなさい」
「?」
おかしい。もっと神妙な雰囲気でボロスを出迎えるはずであったのに
いつのまにか寝っころがって録画してあったロードショーを観ていた
しかもお菓子まで広げてしまって
まぁそれとこの話は関係ない
机の上に広げっぱなしの週刊誌を指差した
そこには私とボロス二人っきりの後姿写真がでかでかと映し出されている
しかもこのアパート
しかしボロスはきょとんとした顔もままだった
おい何だその顔はデカイ図体でそんなことされても可愛くないぞ
「それがどうかしたか」
「どうかしたって・・・今日周りにめっちゃ何か言われなかった?」
「言われた」
「言われたのかよ」
「でも言っている意味がよくわからなかったから無視した」
「無視かよ」
そうだよね長年宇宙で過ごしてきたもんね
弱小の人間なんかの言葉なんて聞こえてないようなものだもんね
これはメンタルが強いというよりはこの事件の重要さをよくわかっていないだけなのだと知る
本人が気にしてなければ良いという問題ではないのだ
表立った商売とはやはり世間とも一緒に生きていかなければならない
私のことはどうだっていいのだ
例えボロスのファンからどうされようとマスコミにどう言われようと
しかしボロスがどうでもよくない
ボロスはこれから地球で暮らしていくのだからまだ世間に騒がれては困る
なので・・・
机をバンッと壊れない程度に叩いた
「ボロス君。君にはここを出て行ってもらいます」
「は?」
やっとボロスはいつもの淡々とした表情から驚きの表情へと変わった
いや、よくよく考えれば異性同士が同じ屋根の下で過ごすなんておかしいことだ
それに気づくのが私は遅すぎた
いやだって今までそんな経験なかったしあまり異性と関わってこなかったし
そもそも人と関わってこなかったし
割と最近にたくさんの人たちと関わってからおかしいことと気づく
というか最初の時点でここに住まわせなければよかったものを・・・
まぁしてしまったものは戻せないので一旦ここでリセットだ
ボロスももう地球に慣れ自立できるだろう
いつまでも甘やかすわけにはいかない!
「もうこんなことはコリゴリです。だから今月中には出て行ってもらいます」
「俺が一人暮らしするというわけか」
「そゆこと」
稼ぎもあるしどうにでもなるだろう
むしろ一流と言ってもいいほどのモデルさんがこんなみすぼらしいアパートで暮らしているほうが謎だらけだ
どこか別の市にでも行って豪華なマンションでも買いなさい
「俺が家事できるとでも?」
「いや頑張れよ」
「料理しろっていうのか」
「大体は覚えたでしょ」
「自立しろってことか」
「当たり前だろ」
ボロスはいつのまにか外面用の顔から一つ目の紫の肌に戻っていた
家では前の宇宙人スタイルである。このほうが楽だという
ギザギザの歯を見せて不満そうな顔だ
「ここの家賃は誰が払ってる?電気代は?ガス代は?食事代は?」
「べっ別にボロスいなくても払えるちゃ払えるもん」
「・・・」
中々痛いところを突かれた
いやまぁ確かにボロスが来てからというものボロスの稼ぎに甘えてたっちゃ甘えてた
だがしかし、これでは自分までも駄目になってしまう
だからボロスには独り立ちしてもらわなくては
「・・・わかった」
数日後
ボロスは本当に自分の荷物を持ってここから出て行った
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