七十三発目
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爆煙の中からでてきたのは、人間というには見た目が異形すぎるし怪人というには物腰が柔らかすぎる
全身黒光りするソイツは先ほどと変わらず、薄ら笑いであった
「なっ……その姿は……」
「……」
返事はなかった
ライヤが確かめるように動かす手はもはや人間らしい温もりが感じ取れなかった
指先は尖っており、武器として使うには最高であろう
ソニックはかつての旧友―ほどでもないが、の変わりように目を見開いていた
「すごいだろ?最近の科学ってすごいもんだ」
ソニックは出る言葉もなかった
そんな呆然とするソニックにも関わらずライヤは話続けた
まるで舞台の俳優が観客へむける歌のように
「俺は強さの限界を感じた。努力の限界を感じた。どれだけ修行したってお前に勝てないということを確信してしまった。だから逃げた。そんな俺を拾ってくれたのがここのオッサンだったんだ。奴等色々危ないこと考えてるんだぜ?まぁその実験に俺は付き合ったわけだが」
ソニックは黙ってライヤの話を聞いていた。いや、聞いているフリと言ったほうが正解か
回復を待っていたのだ
除々に火傷した箇所の火照り感が治まってきた
それに気づかずライヤはツラツラと言葉を続ける
「それがこの鋼鉄の人間だ。まだ実験は未完成らしいが、この力。素晴らしい!完成したらどれくらい強くなれるのか……。限界を超えられる!今日はそのための資金稼ぎらしいぜ」
聞いているフリといってもやはり内容は頭に入ってくる
サイボーグではなく、鋼鉄の人間
だからあれ程重い攻撃、クナイが刺さらなかった理由、爆発に耐えられたのか
ソニックは即座に頭の中で整理ができた
―隙を伺っていたが鋼鉄なら攻撃が通じないではないか!
今までの攻撃から傷一つついていないということは、鋼鉄はダイヤモンド以上の硬度があるだろう
ソニックの武器では武が悪い
しかしバカな奴だ。とソニックは思っていた
自分に勝てないからといって、他人に頼る。それこそ弱者のすることだ
言葉にださなかったのは、今自分はライヤに押されているからだ
こちらは右半身に火傷を負い、右目が開かない。しかも顔中、身体中血だらけだ
しかし、それで勝てない理由にはならない
ソニックは走り出す
ライヤは目の前までソニックが迫っているにも関わらず何もしなかった
いや、気づかなかった
音速が本気の本気を見せ始めた
ソニックはライヤを目の前に、スーツのジャケットを顔へ投げた
「うおっ」
ありがちだが目隠しとはよく効くものだ
視界が塞がれ、隙をみせてしまったライヤにソニックが狙ったのはまずは膝だった
さっき膝を蹴った時によろめいたのだから、いくら鋼鉄の人間になったとしても、やはり関節は弱かったのだ
膝を蹴り、ライヤに尻餅をつかせた
「クッ……ソが!」
目隠しなど回りくどいことをするソニックに悪態をつく
しかしこういったのも技術の勝負である
ソニックはライヤの頭へ勢いよく蹴りをかます
風刃脚!
いくら鋼鉄の人間でもそれは表面だけであろう
こんなにも自我を保っていられるのならば少なくとも脳は残っているはずである
ならばそこを叩くまで
だが
「ハッ!こんなものか?」
「クッ」
風刃脚は、腕で防がれた
痛みにすぐには脚を引っ込められなかったソニックは足首を掴まれてしまう
視界が反転する
そのまま壁へ投げられた
「グ……アァ……」
壁に埋まったままソニックは動かなかった
聞えるのは虫のような息だけ
前髪は血で濡れ、滴っている
白いシャツは赤いシミが大きくついているところと、小さいシミが転々とついていた
狼を思い出させる鋭い眼は焦点が定まっていない
内臓の負担と出血から身体が動かなくなってしまったのだ
右手が痙攣する
「俺の勝ちだな」
ソニックに歩み寄りながらライヤは言った
首を回しコキンという音がなる
ソニックはライヤのことを見ていなかったが、ライヤは気にしてないようだった
「この力があれば誰にも負けない。つまり俺は最強になったんだ!この世で俺に勝てる奴なんていない!」
高笑いしながら独り言のように叫んでいる
天井を見上げ、感動を天から受けているように
ライヤは踵を回した
行く先は主催者達が行った部屋だ
仕事が終わったので、主人のところへ戻るのだろう
服が燃えてなくなってしまったため鋼鉄の身体のまま行くしかなかった
セメントと鉄が触れ合う足音が冷たく聞える
「フ……フフ……」
「……?」
冷たく聞えたのは足音だけでなかった
氷のような笑い声がライヤの足を止めた
もちろん笑っていたのはソニックだ
ライヤが振り返る
ソニックは少しだけ肩を震わし笑いを漏らしていた
やがてその笑いは耐え切れなくなったのか、大声で笑い出す
気に食わない笑いにライヤは拳を作った
そして踏み出し、床を蹴る
鈍器と化した拳がソニックの顔の骨を折ろうとしていた
だが、ライヤはソニックの前で止まった
反射的に、本能的に足が止まってしまう
ソニックは何もしていない。ただライヤを見つめているだけだ
しかしその目があまりにも恐ろしかった
金縛りにでも合ったかのような視線
生き物の、生き残るために備えられた恐怖という本能がライヤの全細胞の動きを停止させた
「最強?最強といったのか?クク、それぐらいで笑わせてくれるな」
焦点がやっと定まる
その目で見つめたのはライヤの目だった
「だからお前は弱いんだ。己の技量に傲慢することが」
前髪から見える目は飢えた狼だ
「俺はお前より強い奴を知っている。しかも二人もな」
ライヤが震え始める
やがて張り詰めた糸が切れたようにライヤは動いた
鋼鉄でできた冷たいはずの身体は熱を放っている
その姿は牛頭鬼のようであった
ライヤの怒りが恐怖を上回ったのだ
黒い隕石のような拳がソニックに止めを刺す―
「死ねぇぇソニックゥゥゥグフオッ!?」
吹っ飛んだ
もちろん吹っ飛んだのはソニックではなくライヤのほうであった
今度は逆にライヤが壁に埋まっていた
ソニックは長めの瞬きをした
何が起きたのか理解しようとしていたのだ
説明するとでかい瓦礫が横から飛んできたのだ。すごい音と共に
瓦礫が飛んできた方を見てみると、平然とした顔でそいつはいた
「あれソニックどうしたのそんなにケガして」
全身黒光りするソイツは先ほどと変わらず、薄ら笑いであった
「なっ……その姿は……」
「……」
返事はなかった
ライヤが確かめるように動かす手はもはや人間らしい温もりが感じ取れなかった
指先は尖っており、武器として使うには最高であろう
ソニックはかつての旧友―ほどでもないが、の変わりように目を見開いていた
「すごいだろ?最近の科学ってすごいもんだ」
ソニックは出る言葉もなかった
そんな呆然とするソニックにも関わらずライヤは話続けた
まるで舞台の俳優が観客へむける歌のように
「俺は強さの限界を感じた。努力の限界を感じた。どれだけ修行したってお前に勝てないということを確信してしまった。だから逃げた。そんな俺を拾ってくれたのがここのオッサンだったんだ。奴等色々危ないこと考えてるんだぜ?まぁその実験に俺は付き合ったわけだが」
ソニックは黙ってライヤの話を聞いていた。いや、聞いているフリと言ったほうが正解か
回復を待っていたのだ
除々に火傷した箇所の火照り感が治まってきた
それに気づかずライヤはツラツラと言葉を続ける
「それがこの鋼鉄の人間だ。まだ実験は未完成らしいが、この力。素晴らしい!完成したらどれくらい強くなれるのか……。限界を超えられる!今日はそのための資金稼ぎらしいぜ」
聞いているフリといってもやはり内容は頭に入ってくる
サイボーグではなく、鋼鉄の人間
だからあれ程重い攻撃、クナイが刺さらなかった理由、爆発に耐えられたのか
ソニックは即座に頭の中で整理ができた
―隙を伺っていたが鋼鉄なら攻撃が通じないではないか!
今までの攻撃から傷一つついていないということは、鋼鉄はダイヤモンド以上の硬度があるだろう
ソニックの武器では武が悪い
しかしバカな奴だ。とソニックは思っていた
自分に勝てないからといって、他人に頼る。それこそ弱者のすることだ
言葉にださなかったのは、今自分はライヤに押されているからだ
こちらは右半身に火傷を負い、右目が開かない。しかも顔中、身体中血だらけだ
しかし、それで勝てない理由にはならない
ソニックは走り出す
ライヤは目の前までソニックが迫っているにも関わらず何もしなかった
いや、気づかなかった
音速が本気の本気を見せ始めた
ソニックはライヤを目の前に、スーツのジャケットを顔へ投げた
「うおっ」
ありがちだが目隠しとはよく効くものだ
視界が塞がれ、隙をみせてしまったライヤにソニックが狙ったのはまずは膝だった
さっき膝を蹴った時によろめいたのだから、いくら鋼鉄の人間になったとしても、やはり関節は弱かったのだ
膝を蹴り、ライヤに尻餅をつかせた
「クッ……ソが!」
目隠しなど回りくどいことをするソニックに悪態をつく
しかしこういったのも技術の勝負である
ソニックはライヤの頭へ勢いよく蹴りをかます
風刃脚!
いくら鋼鉄の人間でもそれは表面だけであろう
こんなにも自我を保っていられるのならば少なくとも脳は残っているはずである
ならばそこを叩くまで
だが
「ハッ!こんなものか?」
「クッ」
風刃脚は、腕で防がれた
痛みにすぐには脚を引っ込められなかったソニックは足首を掴まれてしまう
視界が反転する
そのまま壁へ投げられた
「グ……アァ……」
壁に埋まったままソニックは動かなかった
聞えるのは虫のような息だけ
前髪は血で濡れ、滴っている
白いシャツは赤いシミが大きくついているところと、小さいシミが転々とついていた
狼を思い出させる鋭い眼は焦点が定まっていない
内臓の負担と出血から身体が動かなくなってしまったのだ
右手が痙攣する
「俺の勝ちだな」
ソニックに歩み寄りながらライヤは言った
首を回しコキンという音がなる
ソニックはライヤのことを見ていなかったが、ライヤは気にしてないようだった
「この力があれば誰にも負けない。つまり俺は最強になったんだ!この世で俺に勝てる奴なんていない!」
高笑いしながら独り言のように叫んでいる
天井を見上げ、感動を天から受けているように
ライヤは踵を回した
行く先は主催者達が行った部屋だ
仕事が終わったので、主人のところへ戻るのだろう
服が燃えてなくなってしまったため鋼鉄の身体のまま行くしかなかった
セメントと鉄が触れ合う足音が冷たく聞える
「フ……フフ……」
「……?」
冷たく聞えたのは足音だけでなかった
氷のような笑い声がライヤの足を止めた
もちろん笑っていたのはソニックだ
ライヤが振り返る
ソニックは少しだけ肩を震わし笑いを漏らしていた
やがてその笑いは耐え切れなくなったのか、大声で笑い出す
気に食わない笑いにライヤは拳を作った
そして踏み出し、床を蹴る
鈍器と化した拳がソニックの顔の骨を折ろうとしていた
だが、ライヤはソニックの前で止まった
反射的に、本能的に足が止まってしまう
ソニックは何もしていない。ただライヤを見つめているだけだ
しかしその目があまりにも恐ろしかった
金縛りにでも合ったかのような視線
生き物の、生き残るために備えられた恐怖という本能がライヤの全細胞の動きを停止させた
「最強?最強といったのか?クク、それぐらいで笑わせてくれるな」
焦点がやっと定まる
その目で見つめたのはライヤの目だった
「だからお前は弱いんだ。己の技量に傲慢することが」
前髪から見える目は飢えた狼だ
「俺はお前より強い奴を知っている。しかも二人もな」
ライヤが震え始める
やがて張り詰めた糸が切れたようにライヤは動いた
鋼鉄でできた冷たいはずの身体は熱を放っている
その姿は牛頭鬼のようであった
ライヤの怒りが恐怖を上回ったのだ
黒い隕石のような拳がソニックに止めを刺す―
「死ねぇぇソニックゥゥゥグフオッ!?」
吹っ飛んだ
もちろん吹っ飛んだのはソニックではなくライヤのほうであった
今度は逆にライヤが壁に埋まっていた
ソニックは長めの瞬きをした
何が起きたのか理解しようとしていたのだ
説明するとでかい瓦礫が横から飛んできたのだ。すごい音と共に
瓦礫が飛んできた方を見てみると、平然とした顔でそいつはいた
「あれソニックどうしたのそんなにケガして」
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