六十九発目
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波が揺れるのと同時にソニックの前髪も揺れる
その瞳はいつものように、狼のように鋭い
彼の見つめる先には一隻のクルーズ客船
そう、今回の彼の任務はあの船に乗っている少女達を助けることだ
何でもあの船では少女の人身販売が行われているそうだ
だから正確には助ける、ではなく、阻止すると言ったほうが正しいだろう
そんな自分が「助ける」という正義の味方まがいのことをするとは
馬鹿馬鹿しくて一人笑う
その瞬間に、もう彼はそこにいなかった
普段の黒い服装とは違った黒い服を纏う
白いシャツを覆い隠すような黒いジャケットにネクタイ
履きなれない革靴
そう、ソニックは正装していた
今回の任務は少女達を助けることもそうだったが、それを取り仕切る会社のデータも奪うことも仕事だった
それもここに乗っている観客は傷つけずに、だ
同時にそんな仕事をこなすのは並の者じゃできないだろう
ソニックは一級の裏仕事人だ
きっと依頼人もソニックには厚い信頼を寄せているからこそこの難関な任務を彼に頼んだのだろう
本当は休業中だったが、依頼人が世話になった恩もあり中々断ることができなかったのである
今回の任務を受けたのはその理由もあったが、もっと別の理由があった
依頼人から渡されたリストに知った名前があったからだ
それを確認するためにこの任務を受けたにすぎなかった
さて・・・と、ソニックは辺りを見回す
絢爛豪華な食事、色とりどりのドレスの美女、艶光しているスーツの男性に宝石が液体になったようなお酒
怪人がでるのにも関わらず随分暢気な奴等だ、とソニックは呆れる
この船で開かれているパーティーは一般人ではとても参加できるものではない
簡単に言うと金持ちの遊び場、というわけだ
きっと奥の部屋とかにはカジノでもあるんだろう
ソニックはそれに対して怒っているわけでもなく羨ましいとの気持ちもまったくない。逆に彼は任務で稼いだ金がたんまりとある
ただただ見下しているだけだ
愚かなこいつ等を
基本的自分以外の人間を見下す彼の態度は傲慢そのもだが、彼はそれに見合う速さと強さを兼ね備えている
だからそれをとにかく言えるものは少ない
今日の任務も楽勝だなと思いながら部屋の隅で腕を組みながら壁に背をあずけた
このパーティーの主催者が少女売買の主催者でもあり、データも持っているのだろう
ソイツが来るまで待っていなくてはならない
そしてスキを見て近づき、言葉で煩労し、案内してもらう
そこを一気に突いて少女達を救うだけだ
データは奴に近づけばいつでも盗れるのでこれはいつでもいいだろう
この任務の計画を頭で反復している中、耳障りな声がそれを止めた
「あらあなたお一人?」
「こんな所にいないでお食事楽しみましょうよ」
「私と一緒に踊りましょ」
色っぽい唇に花のコサージュに負けないくらいの綺麗な髪
誰でも振り返ってしまいそうな美女たちがソニックを取り囲んでいた
ソニックは怪訝そうな顔する
そうだ、ソニックは黙っていれば見惚れるような顔立ちをしている
そんな美男がこんなところにいたら美女は放っておけないだろう
しかしソニックは微動しない
彼は仕事以外の無駄なことはしないし、そもそも異性に興味がない
それが絶世の美女であっても、だ
・・・一人の女性を除いて
むしろこう言い寄られてくるのが彼には不快だった
低俗な人間が俺に近づくな、と
無視を決め込んでいたが腕に柔らかいものがあたり、さすがに反応してしまった
「ねぇ楽しみましょうよ」
少し長いため息をはいた後、ソニックは自分の懐へ手を忍ばせる
「失せろ。死にたくなかったらな」
愛用のクナイを持って脅すつもりだった
そう、「だった」
というのも彼は動きが止まってしまったのだ
口も「う」の形のまま
彼は正面を向いたまま静止してしまった
「・・・?ね、ねぇどうしたの」
そんな耳障りと言っていた声も耳に届いていない
ソニックの視線と集中はすべて正面にいっていた
正面、ではなくある一人の女性に
その女性は別段誰もが声をかける美女というわけでもなく、むしろ一人で食事を楽しんでいる
が、見慣れた姿だった
いや見慣れた以上だろう
この場にはそぐわない背丈。アホそうな顔
間違いない。あの顔は・・・
「名無しさん!?」
「ん?」
高そうなエビフライを口に含みながら名無しさんはソニックのほうへ振り向いた
皿には様々な料理がデカ盛り番組のようにのせながら
ソニックは女性を最初からいなかったかのように振り払い名無しさんへ近づく
「なん・・・でお前がここにいるんだ!?」
「いやいやなんでソニックこそ。後何だそのスーツ、珍しい。似合ってるよ」
「に、にあ・・・っ!?」
二十五歳にもなって服装を褒められて本気で照れる忍者なんて後にも先にもソニックだけだろう
照れるのを隠すように頭をかく
「ま、まぁ俺は最強の忍者だからな!」
「いや忍者別に関係なくね」
肉にも負けない上等な脂がのった刺身を食べながら冷静に言う名無しさん
が、ソニックにはそれは聞こえてないようだった
都合のいい耳である
違う違う、話の本題が逸れてしまった
ソニックは話を戻そうとする
が、またしても邪魔された
「あら?だぁれその女」
ソニックの腕へ寄り添ってきた女だ
女は眉を眉間へ寄せる
普通の女性がそんな顔をしたら見れない顔だろうがさすがは美女
そんな顔も美しかった
「まさかそっちの女のほうがいいっていう冗談じゃないわよね?あなた趣味が悪すぎよ。だってそんなちんちくりんで美人っていうわけでもなくかわいいっていうわけでも・・・」
女の口が止まった
止められた、といってもいいだろう
でも実際手などで口を塞がれたわけでもない
ソニックはただ睨んでいるだけだ
睨んでいるといっても長い前髪から除くその瞳が訴えているのは殺意
まるでメスを奪われた狼だ
睨んだだけでこれほどまでの殺気が伝わるとは
女は氷風呂に落とされたようだった
やがてソニックの元から逃げていく
後ろに居た女達もだ
それでもソニックは長い間女達の背を睨んでいた
やがて見えなくなると名無しさんへ視線を戻す
「・・・すまなかったな」
「へ?何が」
「何が・・・ってさっき言われたことだ」
「あぁー。あれね」
名無しさんは散々を言われたのに、なんともないようだった
気にしてないようにいつもみたいなヘラヘラした顔で
「だってその通りだから別に反発する必要がなかった!」
自信満々に言う名無しさんにソニックは肩を落とした
そうだ、コイツはそういう奴だった
謝った自分に対し後悔する
でも名無しさんを好き勝手言ってたのに腹がたったのは本当だ
ソニックは今でもそのイラだちが腹のとこで煮沸している
なんだったら殺してやりたいぐらいだった
でもソニックは女達だけでなく、少し名無しさんにもイラついていた
その通りだって?そんなことはない。
確かに名無しさんは特別に美人でもかわいいわけでもない
が、それを名無しさんと仲のいい人達へ言ったらその人はすでにこの世にいないだろう
彼女の良さは彼女の傍にいる者しかわかるまい
ソニックもその一人だ
「そんなことない。お前は、」
出てきて欲しい言葉が喉に引っかかって出てこない
不思議そうな顔する名無しさんを見てソニックはやっと口を開いた
「・・・お前はただの怪力だ」
「はいドーン」
「ぐっふぅ!?!?」
名無しさんから綺麗なチョップをもらった
しばらくソニックはその場から動けず、周囲から不審者を見るような目をいただいていた
その瞳はいつものように、狼のように鋭い
彼の見つめる先には一隻のクルーズ客船
そう、今回の彼の任務はあの船に乗っている少女達を助けることだ
何でもあの船では少女の人身販売が行われているそうだ
だから正確には助ける、ではなく、阻止すると言ったほうが正しいだろう
そんな自分が「助ける」という正義の味方まがいのことをするとは
馬鹿馬鹿しくて一人笑う
その瞬間に、もう彼はそこにいなかった
普段の黒い服装とは違った黒い服を纏う
白いシャツを覆い隠すような黒いジャケットにネクタイ
履きなれない革靴
そう、ソニックは正装していた
今回の任務は少女達を助けることもそうだったが、それを取り仕切る会社のデータも奪うことも仕事だった
それもここに乗っている観客は傷つけずに、だ
同時にそんな仕事をこなすのは並の者じゃできないだろう
ソニックは一級の裏仕事人だ
きっと依頼人もソニックには厚い信頼を寄せているからこそこの難関な任務を彼に頼んだのだろう
本当は休業中だったが、依頼人が世話になった恩もあり中々断ることができなかったのである
今回の任務を受けたのはその理由もあったが、もっと別の理由があった
依頼人から渡されたリストに知った名前があったからだ
それを確認するためにこの任務を受けたにすぎなかった
さて・・・と、ソニックは辺りを見回す
絢爛豪華な食事、色とりどりのドレスの美女、艶光しているスーツの男性に宝石が液体になったようなお酒
怪人がでるのにも関わらず随分暢気な奴等だ、とソニックは呆れる
この船で開かれているパーティーは一般人ではとても参加できるものではない
簡単に言うと金持ちの遊び場、というわけだ
きっと奥の部屋とかにはカジノでもあるんだろう
ソニックはそれに対して怒っているわけでもなく羨ましいとの気持ちもまったくない。逆に彼は任務で稼いだ金がたんまりとある
ただただ見下しているだけだ
愚かなこいつ等を
基本的自分以外の人間を見下す彼の態度は傲慢そのもだが、彼はそれに見合う速さと強さを兼ね備えている
だからそれをとにかく言えるものは少ない
今日の任務も楽勝だなと思いながら部屋の隅で腕を組みながら壁に背をあずけた
このパーティーの主催者が少女売買の主催者でもあり、データも持っているのだろう
ソイツが来るまで待っていなくてはならない
そしてスキを見て近づき、言葉で煩労し、案内してもらう
そこを一気に突いて少女達を救うだけだ
データは奴に近づけばいつでも盗れるのでこれはいつでもいいだろう
この任務の計画を頭で反復している中、耳障りな声がそれを止めた
「あらあなたお一人?」
「こんな所にいないでお食事楽しみましょうよ」
「私と一緒に踊りましょ」
色っぽい唇に花のコサージュに負けないくらいの綺麗な髪
誰でも振り返ってしまいそうな美女たちがソニックを取り囲んでいた
ソニックは怪訝そうな顔する
そうだ、ソニックは黙っていれば見惚れるような顔立ちをしている
そんな美男がこんなところにいたら美女は放っておけないだろう
しかしソニックは微動しない
彼は仕事以外の無駄なことはしないし、そもそも異性に興味がない
それが絶世の美女であっても、だ
・・・一人の女性を除いて
むしろこう言い寄られてくるのが彼には不快だった
低俗な人間が俺に近づくな、と
無視を決め込んでいたが腕に柔らかいものがあたり、さすがに反応してしまった
「ねぇ楽しみましょうよ」
少し長いため息をはいた後、ソニックは自分の懐へ手を忍ばせる
「失せろ。死にたくなかったらな」
愛用のクナイを持って脅すつもりだった
そう、「だった」
というのも彼は動きが止まってしまったのだ
口も「う」の形のまま
彼は正面を向いたまま静止してしまった
「・・・?ね、ねぇどうしたの」
そんな耳障りと言っていた声も耳に届いていない
ソニックの視線と集中はすべて正面にいっていた
正面、ではなくある一人の女性に
その女性は別段誰もが声をかける美女というわけでもなく、むしろ一人で食事を楽しんでいる
が、見慣れた姿だった
いや見慣れた以上だろう
この場にはそぐわない背丈。アホそうな顔
間違いない。あの顔は・・・
「名無しさん!?」
「ん?」
高そうなエビフライを口に含みながら名無しさんはソニックのほうへ振り向いた
皿には様々な料理がデカ盛り番組のようにのせながら
ソニックは女性を最初からいなかったかのように振り払い名無しさんへ近づく
「なん・・・でお前がここにいるんだ!?」
「いやいやなんでソニックこそ。後何だそのスーツ、珍しい。似合ってるよ」
「に、にあ・・・っ!?」
二十五歳にもなって服装を褒められて本気で照れる忍者なんて後にも先にもソニックだけだろう
照れるのを隠すように頭をかく
「ま、まぁ俺は最強の忍者だからな!」
「いや忍者別に関係なくね」
肉にも負けない上等な脂がのった刺身を食べながら冷静に言う名無しさん
が、ソニックにはそれは聞こえてないようだった
都合のいい耳である
違う違う、話の本題が逸れてしまった
ソニックは話を戻そうとする
が、またしても邪魔された
「あら?だぁれその女」
ソニックの腕へ寄り添ってきた女だ
女は眉を眉間へ寄せる
普通の女性がそんな顔をしたら見れない顔だろうがさすがは美女
そんな顔も美しかった
「まさかそっちの女のほうがいいっていう冗談じゃないわよね?あなた趣味が悪すぎよ。だってそんなちんちくりんで美人っていうわけでもなくかわいいっていうわけでも・・・」
女の口が止まった
止められた、といってもいいだろう
でも実際手などで口を塞がれたわけでもない
ソニックはただ睨んでいるだけだ
睨んでいるといっても長い前髪から除くその瞳が訴えているのは殺意
まるでメスを奪われた狼だ
睨んだだけでこれほどまでの殺気が伝わるとは
女は氷風呂に落とされたようだった
やがてソニックの元から逃げていく
後ろに居た女達もだ
それでもソニックは長い間女達の背を睨んでいた
やがて見えなくなると名無しさんへ視線を戻す
「・・・すまなかったな」
「へ?何が」
「何が・・・ってさっき言われたことだ」
「あぁー。あれね」
名無しさんは散々を言われたのに、なんともないようだった
気にしてないようにいつもみたいなヘラヘラした顔で
「だってその通りだから別に反発する必要がなかった!」
自信満々に言う名無しさんにソニックは肩を落とした
そうだ、コイツはそういう奴だった
謝った自分に対し後悔する
でも名無しさんを好き勝手言ってたのに腹がたったのは本当だ
ソニックは今でもそのイラだちが腹のとこで煮沸している
なんだったら殺してやりたいぐらいだった
でもソニックは女達だけでなく、少し名無しさんにもイラついていた
その通りだって?そんなことはない。
確かに名無しさんは特別に美人でもかわいいわけでもない
が、それを名無しさんと仲のいい人達へ言ったらその人はすでにこの世にいないだろう
彼女の良さは彼女の傍にいる者しかわかるまい
ソニックもその一人だ
「そんなことない。お前は、」
出てきて欲しい言葉が喉に引っかかって出てこない
不思議そうな顔する名無しさんを見てソニックはやっと口を開いた
「・・・お前はただの怪力だ」
「はいドーン」
「ぐっふぅ!?!?」
名無しさんから綺麗なチョップをもらった
しばらくソニックはその場から動けず、周囲から不審者を見るような目をいただいていた
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