5発目
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
災害レベル鬼。
最初はB級ヒーローとA級ヒーローの数名が向かったが返り討ちにあったようだ。
向かったのはS級ヒーローのゾンビマン。
死んでも死んでも復活する。それがヒーローネームの由来だ。
ゾンビマンの戦闘スタイルは泥臭いものだった。
何度も死んで、何でも生き返って、相手が疲れてきたらトドメを刺す。
今回は3回死ぬぐらいで済んだことに安心した。
怪人に、斧を振り下ろす。しかし──怪人が消えた。
斧の刃先は地面に刺さっている。
何が起きた?
ゾンビマンは周囲を見渡す。すると驚いた光景が目に留まった。
女の子が仮面を被っている。
小さな細い腕で、怪人を抱えている。
現実なのか、復活した際に目玉を上手く再生できなかったのか。
瞬きを数回。現実の光景だ。
「誰だ」
ゾンビマンが言う。
「趣味で怪人をやっている者です」
そう言った瞬間、名無しさんは怪人をボールのように投げた。
そして、一発のキック。
怪人は泡を吹いて動かない。気絶しているようだ。
ゾンビマンは、似合わない汗をかいていた。
目の前にいる人間、いや怪人の強さが測れなかった。
──怪人を助ける、変な仮面を被った奴がいる
協会から言われたことを思い出した。
大した被害は出ていない、危険なことをしているわけでもない。
協会からは簡単な注意喚起しかされなかった。
しかし、いざ目の前にしてみるとどうだろう。忘れていた恐怖が思い出されるような、絶対的敗北を味わせられるような。
斧を持つ手が、震えてしまう。
以前聞いたことがある。なんとS級4位のアトミック侍が一発で倒されたと。
勝てるのか? 俺で。
心配と不安と恐怖が、ゾンビマンの胸の内をかき混ぜる。
名無しさんはゾンビマンを見つめているだけだ。特に攻撃しようとしていない。
それでもゾンビマンは警戒をとかない。
先に攻撃するか? いや、避けられたらどうする? 攻撃してきた隙を狙うほうがいいのでは?
様々なことを考えていると、名無しさんが動いた。
消えた、どこに? 名無しさんの速さをゾンビマンは視認できない。
まずい、まずい!! そう思っていると、名無しさんは目の前にきた。
全身の毛が、いや、内臓までもがのけぞるような感覚。
思わず目を瞑ってしまったのは、条件反射だっただろう。
しかし、思っていた衝撃がこない。
その代わりに、下半身に何かかけられたかのような感触。
おそるおそる目を開けると、目の前には変な仮面。
下半身には目の前に立つ怪人が着ていたコートが巻かれていた。
「あの、その……ヒーローも大変ですね……」
ゾンビマンは今起こっていることを理解しようと頭を回す。
えぇと、コイツは何故下半身にコートを巻いた?
「大変でしょうが、頑張ってくださいね……!!」
そう言って怪人を抱えてどこかへ行ってしまった。
ゾンビマンは未だに斧を構える姿勢から動けない。
ゾンビマンのコートの下は丸出しだ。
戦って死んで生き返る。生き返るのは自身の身体だけだ。洋服も蘇るわけない。
勝利する時はいつも全裸なのは、もう慣れたものだと思っていたけれど。
斧を下したのは、恥ずかしさが全身に回ってからだ。
1/2ページ