27発目
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「ねー知ってる? Z市のこと」
「あぁ、なんかハゲがやったんでしょ? 許せない!」
「おかげで住む所が無くなっちゃったじゃん!!」
Z市には様々な声が発せられている。
それはどれも不満だったり、嫌悪だったり、愚痴だったり。
そして、その暴言の的はたった1人。
隕石を壊して、Z市を壊滅させなかったヒーロー、サイタマ。
その成果は讃えられるべきだというのに、皆はサイタマを凶弾した。
どうして、ヒーローは完璧だと思っているのだろうか。
どうして、ヒーローは完璧ではなくてはいけないと思っているのだろうか。
これだから人間は。人間という生き物は。
そういったストレスで怪人となってしまう生物は少なくない。
では最強の怪人、名無しさんはどうだろうか。
「あ! 気になってたお店も無くなってる……。まぁしょうがないよね」
名無しさんはZ市の惨状も、憎悪の言葉も気にしていない。
そもそも、人間を気にかけていないのだ。
そんな名無しさんが向かう先はサイタマの家である。
手にはスーパーの袋。
袋の中身には肉が入っていた。
祝・隕石落下防止会をしようと思ってのことだ。
「ん……?」
サイタマの姿を発見し、近寄る。
すると、虎柄と黒のタンクトップを来た者がサイタマの行く手を塞ぐように立っていた。
喧嘩? 近くの建物に隠れ、様子を見守る。
隠れたのは、巻き込まれそうだったから。
「恥ずかしくないのか!? おぉ!?」
確かに。
名無しさんはずっと思っていた。
そのまっ黄色なスーツは恥ずかしくないのかと。
その姿目立つし、飛ばないのにマントをつけているのが謎だ。
そう思っていると、また大声が聞こえる。
「一番残酷な方法でな」
大声は周囲の市民を呼んだ。
そして、皆も叫ぶ。
「「「ヒーローや・め・ろ! や・め・ろ!や・め・ろ!」」」
あっという間にZ市の市民は集まり、サイタマへと憎悪の限りをぶつけた。
これが集団心理というもの。
名無しさんが嫌いな人間の性である。
しかし名無しさんも参加した。
「ヒーローやめちまえー!!」
もう一度、息を吸い込む。
言うのだ。今までのサイタマのストレスをぶつけてやる!
「ハゲー! バカー!! タコの助ーー!!!」
「なにやってんだよ名無しさん」
ハッと気づけば、市民は静かになっており名無しさん
を見ていた。
まるで不審者を見るかのように。
1人だけ、子供のように悪口を言っていたからである。
名無しさん浮いていることに気付かなかった。
「……なんかくだらなくなってきた」
「帰ろ帰ろー」
人がはけていく。
残ったのはサイタマと名無しさんとタンクトップの2人だ。
サイタマが黒タンクトップから手を離す。
タンクトップの2人は、幽霊に追いかけられたかのように逃げて行った。
やがて、名無しさんとサイタマ2人となる。
「こんなとこで何してんだよ」
サイタマが名無しさんに聞く。
「人間界の潜入捜査」
「なんだそりゃ」
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